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第5章 世界大戦
第204話 女同士の戦い
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「私から離れないで! あの程度の攻撃なら防御魔法で防げるわ!」
ベフラウィングの兵の中で、ひときわ大きな声を上げている者が居る。
フランチェスカ。
修斗のお気に入りの1人であり、学園の元生徒会長だった彼女が今、ザナドゥ王国に攻め込んでいる。
防御魔法の範囲が少しづつ広がっていき、半径100メートル程の安全地帯が完成していた。
防御魔法だけではなく、フランチェスカの頭上に5つの巨大な炎が浮かび上がる。
「いけない! あの魔法を食らったら防壁が破壊されてしまいます!」
ルルナラが悲鳴に近い叫び声をあげるが、5つの炎は門に向かって飛んで行く。
門に同時に着弾し、門どころか周囲の防壁まで破壊してしまい、都市に大きな入り口が完成する。
「弓兵と魔法兵は門周辺の敵を狙ってください! 騎士団は防衛隊と協力して防護柵の配置を変更して、敵を都市に入れないようにしてください!」
ルルナラが素早く指示を出し、何とか侵入を食い止める事に成功する。
しかし敵の数は圧倒的であり、このままでは敵の侵入を許してしまう可能性が高い。
「ちょっと行ってくる……後はよろしく」
「あ、ヴァージニア様!?」
防壁の上から外に飛び降り、音もたてずに着地したかと思うと、一瞬で姿が見えなくなる。
20メートル以上ある防壁から飛び降りたうえ、一瞬で高速移動してフランチェスカの前に現れる。
「なにやってるの……? さっさとご主人様の所に帰って来て」
ヴァージニアを確認したフランチェスカは、特に動揺する事もなく冷静に口を開ける。
「あなたのご主人様に伝えてもらえるかしら。2重スパイはもう終わり、私は本来の場所に戻ると」
「……本気? ご主人様を裏切るの?」
「裏切る? そもそも忠誠など誓ってもいないのだけれど。無理やり犯されて、抵抗しなかったから自分の女扱い? そんな物で忠誠が得られると思っているのかしら」
2人の間に静寂が流れる。
兵士は破壊された門に殺到しているため、2人の会話を気にも留めない。
「分かった。ご主人様に伝えておく……フランチェスカは死んでたって」
ヴァージニアの姿がフランチェスカの目前に現れ、その胸に短剣を突き立てようとするが、防御魔法に阻まれてしまう。
「ど、どれだけ動きが早くても、あなたの短剣では防御魔法は貫けない様ね」
流石にいきなり目の前に現れたため、焦ってはいたようだ。
しかしすでに展開してあった防御魔法によって、ヴァージニアの攻撃は防がれてしまう。
ヴァージニアの基本職種は盗賊なため、直接的な攻撃は得意ではない。
戦う際も速度を生かした攻撃が多い為、防御が硬い相手とは相性が悪い。
「その武器と防具……ご主人様の信頼の証し……それを裏切るのなら……許さない!!!」
防御魔法など知った事かといわんばかりに、ヴァージニアは短剣で切りつけまくる。
当然魔法で防がれるのだが、それでも手を休める事なく打ち続け、遂に防御魔法にヒビが入った。
「う、ウソ!? いくら特殊効果のある短剣でも、私の魔法を打ち破る力があるとでも言うの!?」
ヒビを確認し、さらに力を入れ速度を増して打ち付ける。
そして遂に防御魔法を粉砕し、その短剣がフランチェスカの体に……もう1枚防御魔法が張られていた。
フランチェスカの持つ杖は『スピードマジシャン』。
詠唱速度を上げ、更には魔法をストックしておくことが出来るものだ。
ヒビが入った瞬間に、次の防御魔法を展開していたのだ。
「……生意気。一番新入りの癖に、ご主人様に沢山アイテムをもらって……それなのに……どうして!」
「あの国王が今までやった事を考えてみてはどうかしら? マイルフィック様とはまるで太陽と月だわ。他人の力を利用するしか出来ない者が、自らの力で輝く者に勝てるはずがないと思わない?」
「ご主人様は輝いてる! 誰よりも強い光で道を照らしてくれる! それを直視できないのはやましい心を持ってるから!」
「ふふふ。本当に道を照らしているのかしら? ただの幻かも知れないわよ?」
都市の防壁の方で爆音が鳴り響く。
どうやらルルナラが範囲魔法を使った様だ。
「やっぱりダメね、私1人じゃ2人の相手は出来ないもの。今日はこれ位でやめておくわ、じゃあね」
フランチェスカが後ろに滑るように後退すると、ベフラウィング全軍も後退を開始する。
今回の戦いで、この都市が初めてダメージを受けた都市となる。
しかも被害は甚大だ。
「気に食わない女……でも殺すなって言われてる……魔獣に殺されればいいのに」
トンっとジャンプをして防壁の上に戻ると、ルルナラがあちこちに指示を出していた。
「ごめん、逃げられた」
「ヴァージニア様、お帰りなさいませ。お気になさらず、防衛は成功したのですから」
成功……言葉としては間違ってはいない。
間違ってはいないが、この惨状では失敗に限りなく近い成功だろう。
ベフラウィングの兵の中で、ひときわ大きな声を上げている者が居る。
フランチェスカ。
修斗のお気に入りの1人であり、学園の元生徒会長だった彼女が今、ザナドゥ王国に攻め込んでいる。
防御魔法の範囲が少しづつ広がっていき、半径100メートル程の安全地帯が完成していた。
防御魔法だけではなく、フランチェスカの頭上に5つの巨大な炎が浮かび上がる。
「いけない! あの魔法を食らったら防壁が破壊されてしまいます!」
ルルナラが悲鳴に近い叫び声をあげるが、5つの炎は門に向かって飛んで行く。
門に同時に着弾し、門どころか周囲の防壁まで破壊してしまい、都市に大きな入り口が完成する。
「弓兵と魔法兵は門周辺の敵を狙ってください! 騎士団は防衛隊と協力して防護柵の配置を変更して、敵を都市に入れないようにしてください!」
ルルナラが素早く指示を出し、何とか侵入を食い止める事に成功する。
しかし敵の数は圧倒的であり、このままでは敵の侵入を許してしまう可能性が高い。
「ちょっと行ってくる……後はよろしく」
「あ、ヴァージニア様!?」
防壁の上から外に飛び降り、音もたてずに着地したかと思うと、一瞬で姿が見えなくなる。
20メートル以上ある防壁から飛び降りたうえ、一瞬で高速移動してフランチェスカの前に現れる。
「なにやってるの……? さっさとご主人様の所に帰って来て」
ヴァージニアを確認したフランチェスカは、特に動揺する事もなく冷静に口を開ける。
「あなたのご主人様に伝えてもらえるかしら。2重スパイはもう終わり、私は本来の場所に戻ると」
「……本気? ご主人様を裏切るの?」
「裏切る? そもそも忠誠など誓ってもいないのだけれど。無理やり犯されて、抵抗しなかったから自分の女扱い? そんな物で忠誠が得られると思っているのかしら」
2人の間に静寂が流れる。
兵士は破壊された門に殺到しているため、2人の会話を気にも留めない。
「分かった。ご主人様に伝えておく……フランチェスカは死んでたって」
ヴァージニアの姿がフランチェスカの目前に現れ、その胸に短剣を突き立てようとするが、防御魔法に阻まれてしまう。
「ど、どれだけ動きが早くても、あなたの短剣では防御魔法は貫けない様ね」
流石にいきなり目の前に現れたため、焦ってはいたようだ。
しかしすでに展開してあった防御魔法によって、ヴァージニアの攻撃は防がれてしまう。
ヴァージニアの基本職種は盗賊なため、直接的な攻撃は得意ではない。
戦う際も速度を生かした攻撃が多い為、防御が硬い相手とは相性が悪い。
「その武器と防具……ご主人様の信頼の証し……それを裏切るのなら……許さない!!!」
防御魔法など知った事かといわんばかりに、ヴァージニアは短剣で切りつけまくる。
当然魔法で防がれるのだが、それでも手を休める事なく打ち続け、遂に防御魔法にヒビが入った。
「う、ウソ!? いくら特殊効果のある短剣でも、私の魔法を打ち破る力があるとでも言うの!?」
ヒビを確認し、さらに力を入れ速度を増して打ち付ける。
そして遂に防御魔法を粉砕し、その短剣がフランチェスカの体に……もう1枚防御魔法が張られていた。
フランチェスカの持つ杖は『スピードマジシャン』。
詠唱速度を上げ、更には魔法をストックしておくことが出来るものだ。
ヒビが入った瞬間に、次の防御魔法を展開していたのだ。
「……生意気。一番新入りの癖に、ご主人様に沢山アイテムをもらって……それなのに……どうして!」
「あの国王が今までやった事を考えてみてはどうかしら? マイルフィック様とはまるで太陽と月だわ。他人の力を利用するしか出来ない者が、自らの力で輝く者に勝てるはずがないと思わない?」
「ご主人様は輝いてる! 誰よりも強い光で道を照らしてくれる! それを直視できないのはやましい心を持ってるから!」
「ふふふ。本当に道を照らしているのかしら? ただの幻かも知れないわよ?」
都市の防壁の方で爆音が鳴り響く。
どうやらルルナラが範囲魔法を使った様だ。
「やっぱりダメね、私1人じゃ2人の相手は出来ないもの。今日はこれ位でやめておくわ、じゃあね」
フランチェスカが後ろに滑るように後退すると、ベフラウィング全軍も後退を開始する。
今回の戦いで、この都市が初めてダメージを受けた都市となる。
しかも被害は甚大だ。
「気に食わない女……でも殺すなって言われてる……魔獣に殺されればいいのに」
トンっとジャンプをして防壁の上に戻ると、ルルナラがあちこちに指示を出していた。
「ごめん、逃げられた」
「ヴァージニア様、お帰りなさいませ。お気になさらず、防衛は成功したのですから」
成功……言葉としては間違ってはいない。
間違ってはいないが、この惨状では失敗に限りなく近い成功だろう。
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