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第5章 世界大戦
第222話 魔王vs鬼
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「お主、そんな攻撃で我を倒すつもりかえ?」
エルノヴァはすその長い花の刺繍が入った紺色のチャイナドレスをまとい、長く体にまとわりつく首筋の髪を左手でかきあげると、ニッコウと名乗る男の前に立つ。
ニッコウは膝をつき、濃い金色の短い髪をエルノヴァに向けて垂れていた。
ニッコウの両脇には折れた4本の剣と大きな木槌、弓や斧など様々な武器が壊れていた。
「武器が……効かないとは不本意だ」
「他にもあるのじゃろう? ほらほら、はよう見せんと死んでしまうぞ?」
エルノヴァが武器に手をかざすと、地面に落ちている武器が順番に弾けるように破壊されていく。
その破片がニッコウの左頬をかすめると、一筋の赤い線ができて血がにじみ出す。
それを右手でぬぐい、少しだけ赤くなった手を眺めると体がプルプルと震えだした。
「俺の……俺の血がーーー!!! うがぁーーー!!! 高貴な俺の血が流れてるーーー!!!」
いきなり大声を上げて立ち上がり、両手で左頬を押さえると、歯ぎしりをしながらエルノヴァを睨みつける。
「貴様……貴様許さんぞ! 女だからと手を抜いてやれば図に乗りおって! 俺の本当の力を見せてやる! オン・ソリヤ・ハラバヤ・ソワカ!」
周囲にいたメイド達がスススと離れていく。
自分達では防ぎきれないと判断したのだろう。
ニッコウの体は1回り大きくなり、筋肉が服を破って現れる。
いや1回りではない、2回りも3回りも大きくなると完全に服は破れ落ち、その姿は人のモノではなくなっていた。
「オレ様ハ コノ身ニ 膨大ナ 太陽ノ様ナ 魔力ヲ 宿シテイル。ソノ力ヲ 解放シタ今 オ前ノ体ハ 肉片スラ 残ル事ハナイ!」
化け物……鬼といった方がいいだろうか、額からは2本の角が生え、体が真っ赤に染まり、手足の爪は獣のように鋭い。
残念ながら棍棒は持っていない様だ。
「……恐ろしい姿じゃな」
「ソウダロウ ソウダロウ。オレ様ハ 全テヲ 破壊スル 魔人ダカラナ!」
「全く、メイド達が服が汚れるのを怖がるとはのぅ、我も嫌なのじゃがな」
どうやらメイド達はエルノヴァとニッコウの戦いで、自分たちの服が汚れるのが嫌で距離を取ったようだ。
シンプルなスカートの長いメイドから、ビキニやセーラー服の様なメイドまで居るのだが、その服装は修斗指定なため目に留まりやすく、可愛がってもらいやすいようだ。
ちなみに最新のメイド服はスク水メイド服らしい。
「服……? 服ガ 汚レルカラ ダト……? 」
小刻みに震え、右手を顔に当てると大声を出して笑いだす。
「ゲボハハハハハ! 頭ガ オカシクナッタカ! オレ様ノ 姿ヲ見タカラ 恐怖で 狂ッタカ!」
そんな鬼の様なニッコウの様子を見て、エルノヴァは口に手を当てて笑っていた。
『滑稽じゃな』と。
「いや、まぁある意味では狂っておるのかもしれんな。たった一人の男のために、大陸全てを敵に回しておるのじゃから」
ザナドゥ王国の重鎮だけでなく、各国の姫たちも自国より修斗を優先させている。
どちらが正しいのかといえば自国を優先するのが正しいだろう。
しかし自国の家族を捨ててでも、姫たちはザナドゥ王国を取ったのだ。
「フン! ヤハリ 愚カ者ノ 集マリカ。オレ様ガ 救ッテ ヤロウ! 死トイウ 救済ヲナ!」
筋肉の塊の様な拳を振り上げてエルノヴァ目がけて振り下ろすが、エルノヴァは素早くかわすと地面がへこんでしまった。
ニッコウは地面から拳を引き抜くと、パラパラと石が落ちていく。
「クッ! これはいかん!」
「逃ガスカ!」
もう一度エルノヴァ目がけて拳を振り下ろすと、今度は逃げられなかったのか直撃してしまう。
「ゲボハハハハ! 弱イ! 弱イゾ! オレ様ノ 拳1ツデ ペシャンコダ!」
だがその拳は地面に付いていなかった。
いや、逆に地面からゆっくりと離れていっているように見える。
「うむ、これ以上城内に穴が増えては面倒じゃからのぅ。ほら」
拳の下ではエルノヴァが左手1本で受け止めており、手首で押し返すとニッコウは押し返されてしまった。
「ナ、ナンダト!? オレ様ガ 押シ返サレタ ダト!?」
「我が主の城じゃから、これ以上破壊されては困るのじゃ。これ以上時間をかけても無駄のようじゃから、終わらせるとしようかの」
フッとニッコウの顔の前までジャンプすると、珍しくエルノヴァは拳を叩きつける。
顔がひしゃげ、何度も後ろに回転して大の字になって動かなくなってしまった。
「ん? これで終わりかえ? 流石に力を入れ過ぎたかのぅ」
地面に降り立ち、動かなくなったニッコウと自分の拳を交互に見ている。
エルノヴァの拳には傷一つ付いていない。
ピクリと腕が動き、顔を押さえながら体を起こす。
顔を数回横に振ると、顔を押さえている手を見て驚いている。
「血! 血ダ! ヒ、ヒィィィィイイイ! ヤクシ様! 治療ヲ 怪我ヲ 直シテクダサイ! ……ヘ?」
体が赤くて分かりにくいが、どうやら顔から血が流れているようだ。
そして治療をヤクシに頼もうをヤクシを見ると……服が破られ、修斗に体をまさぐられているヤクシが目に入った。
「お、おやめなさい……クッ! このような、このような事をヒグゥ! か、快楽になど、ま、負けは、し、しません!」
エルノヴァはすその長い花の刺繍が入った紺色のチャイナドレスをまとい、長く体にまとわりつく首筋の髪を左手でかきあげると、ニッコウと名乗る男の前に立つ。
ニッコウは膝をつき、濃い金色の短い髪をエルノヴァに向けて垂れていた。
ニッコウの両脇には折れた4本の剣と大きな木槌、弓や斧など様々な武器が壊れていた。
「武器が……効かないとは不本意だ」
「他にもあるのじゃろう? ほらほら、はよう見せんと死んでしまうぞ?」
エルノヴァが武器に手をかざすと、地面に落ちている武器が順番に弾けるように破壊されていく。
その破片がニッコウの左頬をかすめると、一筋の赤い線ができて血がにじみ出す。
それを右手でぬぐい、少しだけ赤くなった手を眺めると体がプルプルと震えだした。
「俺の……俺の血がーーー!!! うがぁーーー!!! 高貴な俺の血が流れてるーーー!!!」
いきなり大声を上げて立ち上がり、両手で左頬を押さえると、歯ぎしりをしながらエルノヴァを睨みつける。
「貴様……貴様許さんぞ! 女だからと手を抜いてやれば図に乗りおって! 俺の本当の力を見せてやる! オン・ソリヤ・ハラバヤ・ソワカ!」
周囲にいたメイド達がスススと離れていく。
自分達では防ぎきれないと判断したのだろう。
ニッコウの体は1回り大きくなり、筋肉が服を破って現れる。
いや1回りではない、2回りも3回りも大きくなると完全に服は破れ落ち、その姿は人のモノではなくなっていた。
「オレ様ハ コノ身ニ 膨大ナ 太陽ノ様ナ 魔力ヲ 宿シテイル。ソノ力ヲ 解放シタ今 オ前ノ体ハ 肉片スラ 残ル事ハナイ!」
化け物……鬼といった方がいいだろうか、額からは2本の角が生え、体が真っ赤に染まり、手足の爪は獣のように鋭い。
残念ながら棍棒は持っていない様だ。
「……恐ろしい姿じゃな」
「ソウダロウ ソウダロウ。オレ様ハ 全テヲ 破壊スル 魔人ダカラナ!」
「全く、メイド達が服が汚れるのを怖がるとはのぅ、我も嫌なのじゃがな」
どうやらメイド達はエルノヴァとニッコウの戦いで、自分たちの服が汚れるのが嫌で距離を取ったようだ。
シンプルなスカートの長いメイドから、ビキニやセーラー服の様なメイドまで居るのだが、その服装は修斗指定なため目に留まりやすく、可愛がってもらいやすいようだ。
ちなみに最新のメイド服はスク水メイド服らしい。
「服……? 服ガ 汚レルカラ ダト……? 」
小刻みに震え、右手を顔に当てると大声を出して笑いだす。
「ゲボハハハハハ! 頭ガ オカシクナッタカ! オレ様ノ 姿ヲ見タカラ 恐怖で 狂ッタカ!」
そんな鬼の様なニッコウの様子を見て、エルノヴァは口に手を当てて笑っていた。
『滑稽じゃな』と。
「いや、まぁある意味では狂っておるのかもしれんな。たった一人の男のために、大陸全てを敵に回しておるのじゃから」
ザナドゥ王国の重鎮だけでなく、各国の姫たちも自国より修斗を優先させている。
どちらが正しいのかといえば自国を優先するのが正しいだろう。
しかし自国の家族を捨ててでも、姫たちはザナドゥ王国を取ったのだ。
「フン! ヤハリ 愚カ者ノ 集マリカ。オレ様ガ 救ッテ ヤロウ! 死トイウ 救済ヲナ!」
筋肉の塊の様な拳を振り上げてエルノヴァ目がけて振り下ろすが、エルノヴァは素早くかわすと地面がへこんでしまった。
ニッコウは地面から拳を引き抜くと、パラパラと石が落ちていく。
「クッ! これはいかん!」
「逃ガスカ!」
もう一度エルノヴァ目がけて拳を振り下ろすと、今度は逃げられなかったのか直撃してしまう。
「ゲボハハハハ! 弱イ! 弱イゾ! オレ様ノ 拳1ツデ ペシャンコダ!」
だがその拳は地面に付いていなかった。
いや、逆に地面からゆっくりと離れていっているように見える。
「うむ、これ以上城内に穴が増えては面倒じゃからのぅ。ほら」
拳の下ではエルノヴァが左手1本で受け止めており、手首で押し返すとニッコウは押し返されてしまった。
「ナ、ナンダト!? オレ様ガ 押シ返サレタ ダト!?」
「我が主の城じゃから、これ以上破壊されては困るのじゃ。これ以上時間をかけても無駄のようじゃから、終わらせるとしようかの」
フッとニッコウの顔の前までジャンプすると、珍しくエルノヴァは拳を叩きつける。
顔がひしゃげ、何度も後ろに回転して大の字になって動かなくなってしまった。
「ん? これで終わりかえ? 流石に力を入れ過ぎたかのぅ」
地面に降り立ち、動かなくなったニッコウと自分の拳を交互に見ている。
エルノヴァの拳には傷一つ付いていない。
ピクリと腕が動き、顔を押さえながら体を起こす。
顔を数回横に振ると、顔を押さえている手を見て驚いている。
「血! 血ダ! ヒ、ヒィィィィイイイ! ヤクシ様! 治療ヲ 怪我ヲ 直シテクダサイ! ……ヘ?」
体が赤くて分かりにくいが、どうやら顔から血が流れているようだ。
そして治療をヤクシに頼もうをヤクシを見ると……服が破られ、修斗に体をまさぐられているヤクシが目に入った。
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