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第5章 世界大戦
第226話 1人ずつ、順番に
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「な、なぜ貴様がそこにいる!」
「なぜ? 漆賢人の皆様にご挨拶にうかがったのさ」
薄暗い部屋の中で、水晶を囲むように鏡が置かれている。
鏡には漆賢人の顔が映っているのだが、前垂れで表情が見えないはずだが焦っている様子が良くわかる。
「その場所は関係者でもごく一部の人間しか知りません。裏切り者がいるという事ですね」
「そうだな、すっかり俺の物になったよ。今は3尊じゃなく2尊になったがな」
「バカな! ヤクシ達が裏切ったというのか!?」
「ありえぬ、あ奴らは幼い頃より歯向かえぬ様に洗脳していたはずじゃ」
「なら洗脳が解けるほど気持ちよかったんだろうさ」
会話に付き合うのが面倒になったのか、水晶に手を乗せて鏡を見回した。
「おしゃべりするために来たわけじゃないからな。お前達に選択肢をやろう、俺の配下になるか死ぬか、どっちがいい?」
「ふぁっふぁっふぁっ、若い者が調子に乗るのは仕方がないが、礼儀というモノをわきまえんといかんな」
「その通りだ。お前を見逃してやっていた事に気が付かないとは、とんだ愚か者だ」
「アナタなどに仕えるはずもありません。いま謝罪したら許してあげましょう」
「そうか、それなら仕方が無いな」
「そうじゃそうじゃ、若いうちは年寄りの意見を素直に聞くものじゃ」
「順番に殺すか」
修斗の言葉に笑いがおこる。
自分たちは絶対に安全だ、だからこそ今まで生きて来れたのだから、これからもそれは揺るがない。
修斗が自分たちの場所に現れる事は無い、そう思っているのだ。
「若いというのは罪ですね。しかし愚か者がのさばると生産性が落ちます」
「ああ、これはお仕置きが必要だ」
水晶玉から手を離し、ため息をつきながら修斗は首を横に振る。
「お前達にはがっかりした。まがりなりにもこの大陸を裏で操っていたんだ、それなりの頭はあると思っていたが、お山の大将だったとはな」
鏡から罵詈雑言が飛び交うが、その言葉を最後まで聞くことなく修斗は部屋を出て行った。
「今日は肆が来ませんね」
定期報告の時間になっても、漆賢人の一人の鏡が反応しない。
「なに、奴の事だから拾い食いでもして腹を壊したのだろう」
「そうじゃな、明日は現れるじゃろう」
「おい、陸も来ないんだが?」
「……偶然でしょう。あ、来たようです」
鏡に映し出されたのは陸の文字ではなく部屋の中だった。
部屋の中を沢山の兵士が暴れ回り、人が殺され連れ去られている。
映像が横になるとヒビが入り、そこで映像が途切れた。
「昨日のアレだがな……まさか本当に」
「あり得ません! それに今日は肆と陸以外は揃っているではありませんか!」
「そうだな、余計な事を言った」
「壱も何か言って下さい、みんなが不安になってしまいます。……壱?」
鏡に映っていた顔がゴロリと横になる。
ソレは生首が置かれていただけで、切り口からは赤い液体がしたたり落ちていた。
「もう定期報告はやめないか?」
「何を言っているのですか! 我々がしっかりしないと、アイツの思うつぼです!」
「じゃがな、アイツは間違いなくワシらを狙っておる」
「それにアイツはギャーーー! な、なにをす、やめ、やめてくっ……!!!」
突然何かに怯え始め、横を向いたかと思うと動かなくなった。
鏡には剣で胸を貫かれた映像が映り、ゆっくり引き抜かれると、今度は鏡に向けて剣を突き刺す。
だが同時に映像が途切れてしまう。
「……今日は3人だけですね」
「……そうだな。まだ生きているよ。それで、弐が来ていないが」
「心配ありません! あのご老人は人一倍警戒心が強いのですから! あ! ほら来ましたよ」
「はぁ~い、みんな元気~?」
「……弐? どうしたのですか?」
「ああ、俺は弐だったっけ? バァ」
前垂れをめくると、修斗の顔が映し出される。
「今日は私1人でしょうか……いえ、まだまだ、そんな簡単に……」
一枚の鏡に文字が映し出された。
そこには『タスケテクレ』と赤い鏡文字で書かれており、背景は真っ黒いままだ。
文字は書かれたばかりなのか、赤いインクが垂れている。
薄暗い部屋の中で、30~40代の女性が鏡の前に座っている。
「……もう、誰もいないのでしょうか。いえ、まだ居なくなったと決まったわけではないわ、きっと無事な人が居るはず」
そういって鏡に向かって何かを呟くと、鏡には水晶玉が映し出された。
他の鏡は……何も映っていない。
「やっぱりダメ……だったのかしら」
どこか少し離れた場所で大きな音が鳴り響く。
ドアを力いっぱい開け放ち、壁にぶつかったような音だ。
「ひ! ま、まさか!」
慌ててイスから立ち上がり、上に繋がる石でできた階段から離れる。
どうやらこの部屋は石造りのようだ。
コツン、コツンと階段を降りてくる音がするが、音からすると1人だけのようだ。
「こんにちは、漆賢人最後の1人ね」
ひょっこりと階段から顔を見せたのはフランチェスカだ。
周囲を見回すが暗くて何も見えず、手に持ったランタンをかざすが何も見えない。
呪文を唱えて灯りを作り出し、部屋の中が照らされて良く見えるようになる。
とある一角で、物が小刻みに揺れているのが見えた。
「ここに居たのね。隠れても無駄よ、出てらっしゃい」
ガタンと木箱が落ちると小さな悲鳴が上がり、足が少し見えた。
「隠れても無駄よ。ここにいるのは分かっているのだもの」
乱暴に物をどかすと、そこには女性が震えてうずくまっている。
必死に顔を背け、フランチェスカの顔を見ないように下を見たままだ。
「あらあら、漆賢人最後の1人だっていうのに、こんな情けない姿をさらしてもいいのかしら?」
そういうとナイフを取り出し、腕を軽く傷つける。
するとどうした事か、皮一枚を切っただけのかすり傷だというのに大きな声で悲鳴を上げた。
「イギャー! やめて! 何をするのですか! こんな乱暴な事を……あら?」
自分の腕を見て、何となく赤い筋が出来ているだけの傷口を見ると、どうしてあんな悲鳴を上げたのか自分でも分からない顔をしている。
そして今度はもう少し深い傷をつけた。
「ウガア!!! 痛い! 痛い痛い痛い!!! どうして、どうしてこの程度の傷でこれほど激痛が!?」
「このナイフはね、痛覚のみを10倍以上に引き上げるそうよ。便利でしょ? あなたを長時間苦しめるためにシュウト君が作ってくれたのよ。最後の1人は私の好きにしていいって言ってくれたから、あなたには私の名誉を回復するために役立ってもらうわ」
腕を深く斬りつけると血がしたたり落ちる。
女は腕を押さえて大声で泣き叫び、地面を転がっていた。
フランチェスカの気が済むまでに要した時間は2日間。
その間はひたすら女性は拷問を受けていたのだ。
「なぜ? 漆賢人の皆様にご挨拶にうかがったのさ」
薄暗い部屋の中で、水晶を囲むように鏡が置かれている。
鏡には漆賢人の顔が映っているのだが、前垂れで表情が見えないはずだが焦っている様子が良くわかる。
「その場所は関係者でもごく一部の人間しか知りません。裏切り者がいるという事ですね」
「そうだな、すっかり俺の物になったよ。今は3尊じゃなく2尊になったがな」
「バカな! ヤクシ達が裏切ったというのか!?」
「ありえぬ、あ奴らは幼い頃より歯向かえぬ様に洗脳していたはずじゃ」
「なら洗脳が解けるほど気持ちよかったんだろうさ」
会話に付き合うのが面倒になったのか、水晶に手を乗せて鏡を見回した。
「おしゃべりするために来たわけじゃないからな。お前達に選択肢をやろう、俺の配下になるか死ぬか、どっちがいい?」
「ふぁっふぁっふぁっ、若い者が調子に乗るのは仕方がないが、礼儀というモノをわきまえんといかんな」
「その通りだ。お前を見逃してやっていた事に気が付かないとは、とんだ愚か者だ」
「アナタなどに仕えるはずもありません。いま謝罪したら許してあげましょう」
「そうか、それなら仕方が無いな」
「そうじゃそうじゃ、若いうちは年寄りの意見を素直に聞くものじゃ」
「順番に殺すか」
修斗の言葉に笑いがおこる。
自分たちは絶対に安全だ、だからこそ今まで生きて来れたのだから、これからもそれは揺るがない。
修斗が自分たちの場所に現れる事は無い、そう思っているのだ。
「若いというのは罪ですね。しかし愚か者がのさばると生産性が落ちます」
「ああ、これはお仕置きが必要だ」
水晶玉から手を離し、ため息をつきながら修斗は首を横に振る。
「お前達にはがっかりした。まがりなりにもこの大陸を裏で操っていたんだ、それなりの頭はあると思っていたが、お山の大将だったとはな」
鏡から罵詈雑言が飛び交うが、その言葉を最後まで聞くことなく修斗は部屋を出て行った。
「今日は肆が来ませんね」
定期報告の時間になっても、漆賢人の一人の鏡が反応しない。
「なに、奴の事だから拾い食いでもして腹を壊したのだろう」
「そうじゃな、明日は現れるじゃろう」
「おい、陸も来ないんだが?」
「……偶然でしょう。あ、来たようです」
鏡に映し出されたのは陸の文字ではなく部屋の中だった。
部屋の中を沢山の兵士が暴れ回り、人が殺され連れ去られている。
映像が横になるとヒビが入り、そこで映像が途切れた。
「昨日のアレだがな……まさか本当に」
「あり得ません! それに今日は肆と陸以外は揃っているではありませんか!」
「そうだな、余計な事を言った」
「壱も何か言って下さい、みんなが不安になってしまいます。……壱?」
鏡に映っていた顔がゴロリと横になる。
ソレは生首が置かれていただけで、切り口からは赤い液体がしたたり落ちていた。
「もう定期報告はやめないか?」
「何を言っているのですか! 我々がしっかりしないと、アイツの思うつぼです!」
「じゃがな、アイツは間違いなくワシらを狙っておる」
「それにアイツはギャーーー! な、なにをす、やめ、やめてくっ……!!!」
突然何かに怯え始め、横を向いたかと思うと動かなくなった。
鏡には剣で胸を貫かれた映像が映り、ゆっくり引き抜かれると、今度は鏡に向けて剣を突き刺す。
だが同時に映像が途切れてしまう。
「……今日は3人だけですね」
「……そうだな。まだ生きているよ。それで、弐が来ていないが」
「心配ありません! あのご老人は人一倍警戒心が強いのですから! あ! ほら来ましたよ」
「はぁ~い、みんな元気~?」
「……弐? どうしたのですか?」
「ああ、俺は弐だったっけ? バァ」
前垂れをめくると、修斗の顔が映し出される。
「今日は私1人でしょうか……いえ、まだまだ、そんな簡単に……」
一枚の鏡に文字が映し出された。
そこには『タスケテクレ』と赤い鏡文字で書かれており、背景は真っ黒いままだ。
文字は書かれたばかりなのか、赤いインクが垂れている。
薄暗い部屋の中で、30~40代の女性が鏡の前に座っている。
「……もう、誰もいないのでしょうか。いえ、まだ居なくなったと決まったわけではないわ、きっと無事な人が居るはず」
そういって鏡に向かって何かを呟くと、鏡には水晶玉が映し出された。
他の鏡は……何も映っていない。
「やっぱりダメ……だったのかしら」
どこか少し離れた場所で大きな音が鳴り響く。
ドアを力いっぱい開け放ち、壁にぶつかったような音だ。
「ひ! ま、まさか!」
慌ててイスから立ち上がり、上に繋がる石でできた階段から離れる。
どうやらこの部屋は石造りのようだ。
コツン、コツンと階段を降りてくる音がするが、音からすると1人だけのようだ。
「こんにちは、漆賢人最後の1人ね」
ひょっこりと階段から顔を見せたのはフランチェスカだ。
周囲を見回すが暗くて何も見えず、手に持ったランタンをかざすが何も見えない。
呪文を唱えて灯りを作り出し、部屋の中が照らされて良く見えるようになる。
とある一角で、物が小刻みに揺れているのが見えた。
「ここに居たのね。隠れても無駄よ、出てらっしゃい」
ガタンと木箱が落ちると小さな悲鳴が上がり、足が少し見えた。
「隠れても無駄よ。ここにいるのは分かっているのだもの」
乱暴に物をどかすと、そこには女性が震えてうずくまっている。
必死に顔を背け、フランチェスカの顔を見ないように下を見たままだ。
「あらあら、漆賢人最後の1人だっていうのに、こんな情けない姿をさらしてもいいのかしら?」
そういうとナイフを取り出し、腕を軽く傷つける。
するとどうした事か、皮一枚を切っただけのかすり傷だというのに大きな声で悲鳴を上げた。
「イギャー! やめて! 何をするのですか! こんな乱暴な事を……あら?」
自分の腕を見て、何となく赤い筋が出来ているだけの傷口を見ると、どうしてあんな悲鳴を上げたのか自分でも分からない顔をしている。
そして今度はもう少し深い傷をつけた。
「ウガア!!! 痛い! 痛い痛い痛い!!! どうして、どうしてこの程度の傷でこれほど激痛が!?」
「このナイフはね、痛覚のみを10倍以上に引き上げるそうよ。便利でしょ? あなたを長時間苦しめるためにシュウト君が作ってくれたのよ。最後の1人は私の好きにしていいって言ってくれたから、あなたには私の名誉を回復するために役立ってもらうわ」
腕を深く斬りつけると血がしたたり落ちる。
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