ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第277話 2つの加護

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 朝になり、3人と軽く数回ヤったのち、宿屋で食事を取るとポリン・シャロンを空間魔法で学園へと届け、遺跡へ向かって歩き出す。
 そして修斗とターニャの2人きりになると、修斗は気になっていた事を尋ねる。

「お前の強靭な肉体はスキルによるモノか?」

「強靭って……女の子に言う言葉じゃ無いと思うけど。私は加護を受けているの。」

「ほう? 加護というと神からの贈り物と言われるアレか?」

「そうよ。私の場合はあだ名の通り鋼鉄化。自分の意思ではがねの様に体を硬くできるの」

「鋼鉄化か。他にもまだあるだろう?」

「それは……今晩言うわ」

 少し目をそらし、自然と腕を組んで修斗の腕に頭を預ける。
 今朝のターニャは長い髪を頭の後ろでまとめ上げ、顔の左右だけ少し垂れている。
 相変わらず白いドレスを着ているが、これしか持っていないのだろうか。

 

 茶色い石造りの遺跡内部はゾンビ・マミーなどのアンデッドが多く徘徊しいるが、ターニャはそんな相手でも平気で拳で破壊していく。
 あまりグチャグチャドロドロを気にしないのだろうか。

「う~ん、ゾンビは簡単に倒せるから楽でいいが、イマイチ殴りがいがないな」

「お前は武器は使わないのか?」

「俺は殴る感触が好きなんだ! 拳を握りしめ、相手に当たった瞬間に感じる感触や衝撃、そして形を変える相手の様子! ああ……シビれる」

 生粋の変態だった! そしてダンジョン内だからか、また男言葉になっている。
 どうやら鋼鉄化という神の加護があるため、下手に武器を使うよりも破壊力があるのだ。

「その加護は生まれた時からあるのか?」

「そうだ。というよりも気が付いたのが子供の頃だったんだが、ステータスにはずっと書かれていたが意味が分からなくてな。幼い少女が『鋼鉄化』と書かれていても、その意味は理解できないだろう?」

「なるほど。加護とスキルは違うのか?」

 敵の出ないセーフティエリアに入ると、地面に座って水を飲んでいる。

「俺も詳しくは知らないが、スキルは磨けばさらに能力が上がるんだろう? 加護は何をしようが能力は変わらない。そのかわり最初から凄まじい能力を発揮するんだ」

「お前の鋼鉄化は確かにすごい力だな」

「ふふ、そうだろう? シュウトには効かなかったが、全力で殴れば全ての物を破壊できた。岩でも鉄でも、俺の前では意味が無かった」

 名前こそ鋼鉄だが、その堅さは鉄どころではないようだ。
 以前ターニャは盗賊に襲われた事があったが、その時は金属の鎧を紙のように打ち破り、剣を突き立てられても皮膚の表面がへこむだけだった。

 修斗のスキルは女神から貰ったものだが、あれはスキルとして貰ったモノであり加護とは違う。
 その違いはハッキリとしないが、加護というモノを修斗は初めて見た。
 地球にいた頃にマンガやラノベで見た程度だ。

 休憩が終わり遺跡探索を進めると、キツネやネコの仮面をかぶったような彫像が剣を構えて徘徊していた。
 まるで壁画に出てくるような姿だが、何かを守っているようにも見える。

「あれはスタチューか。確かその奥にある墓を守っているらしいが……まぁ問題はないだろう」

 ターニャは地図を見ながらフロア情報を確認している。
 数体のスタチューがいるようだが、鋼鉄化を持つターニャの敵ではない。
 いつも通りに正面から突っ込み、拳で武器だろうが石だろうが破壊していく。

 あっという間に終わり、彫像が瓦礫となって散乱している。

「お前は能力自体は高いんだから、もう少し戦い方を考えたらどうだ?」

「そうか? その時が来たら考えよう」

 なにぶん鎧も武器も関係なしに破壊できるため、力技しか知らないようだ。
 今のところ通用しないのは修斗だけであり、その必要性を感じていないのだろう。

 この日も5階ほど探索し、町に戻ってきた。
 相変わらず見つけた物はすべて換金し、孤児院に寄付をする。
 風呂に入り食事をすると、当たり前のように修斗と同じ部屋に入るのだが……始める前に修斗は確認がしたかったようだ。

「それで、もう1つの加護は何だ?」

「ああ、それ? 私のもう一つの加護はね『聖女』だよ」

 聖女。
 9人の悪夢の騎士トリプルナインの1人であり、第2王妃であるバーバラと同じものだ。
 バーバラは『聖女の輝き』と『万物を拒否する盾』が聖女の証であるが、ターニャは『聖女』という加護を持っているらしい。
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