278 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第277話 2つの加護
しおりを挟む
朝になり、3人と軽く数回ヤったのち、宿屋で食事を取るとポリン・シャロンを空間魔法で学園へと届け、遺跡へ向かって歩き出す。
そして修斗とターニャの2人きりになると、修斗は気になっていた事を尋ねる。
「お前の強靭な肉体はスキルによるモノか?」
「強靭って……女の子に言う言葉じゃ無いと思うけど。私は加護を受けているの。」
「ほう? 加護というと神からの贈り物と言われるアレか?」
「そうよ。私の場合はあだ名の通り鋼鉄化。自分の意思で鋼の様に体を硬くできるの」
「鋼鉄化か。他にもまだあるだろう?」
「それは……今晩言うわ」
少し目をそらし、自然と腕を組んで修斗の腕に頭を預ける。
今朝のターニャは長い髪を頭の後ろでまとめ上げ、顔の左右だけ少し垂れている。
相変わらず白いドレスを着ているが、これしか持っていないのだろうか。
茶色い石造りの遺跡内部はゾンビ・マミーなどのアンデッドが多く徘徊しいるが、ターニャはそんな相手でも平気で拳で破壊していく。
あまりグチャグチャドロドロを気にしないのだろうか。
「う~ん、ゾンビは簡単に倒せるから楽でいいが、イマイチ殴りがいがないな」
「お前は武器は使わないのか?」
「俺は殴る感触が好きなんだ! 拳を握りしめ、相手に当たった瞬間に感じる感触や衝撃、そして形を変える相手の様子! ああ……シビれる」
生粋の変態だった! そしてダンジョン内だからか、また男言葉になっている。
どうやら鋼鉄化という神の加護があるため、下手に武器を使うよりも破壊力があるのだ。
「その加護は生まれた時からあるのか?」
「そうだ。というよりも気が付いたのが子供の頃だったんだが、ステータスにはずっと書かれていたが意味が分からなくてな。幼い少女が『鋼鉄化』と書かれていても、その意味は理解できないだろう?」
「なるほど。加護とスキルは違うのか?」
敵の出ないセーフティエリアに入ると、地面に座って水を飲んでいる。
「俺も詳しくは知らないが、スキルは磨けばさらに能力が上がるんだろう? 加護は何をしようが能力は変わらない。そのかわり最初から凄まじい能力を発揮するんだ」
「お前の鋼鉄化は確かにすごい力だな」
「ふふ、そうだろう? シュウトには効かなかったが、全力で殴れば全ての物を破壊できた。岩でも鉄でも、俺の前では意味が無かった」
名前こそ鋼鉄だが、その堅さは鉄どころではないようだ。
以前ターニャは盗賊に襲われた事があったが、その時は金属の鎧を紙のように打ち破り、剣を突き立てられても皮膚の表面がへこむだけだった。
修斗のスキルは女神から貰ったものだが、あれはスキルとして貰ったモノであり加護とは違う。
その違いはハッキリとしないが、加護というモノを修斗は初めて見た。
地球にいた頃にマンガやラノベで見た程度だ。
休憩が終わり遺跡探索を進めると、キツネやネコの仮面をかぶったような彫像が剣を構えて徘徊していた。
まるで壁画に出てくるような姿だが、何かを守っているようにも見える。
「あれはスタチューか。確かその奥にある墓を守っているらしいが……まぁ問題はないだろう」
ターニャは地図を見ながらフロア情報を確認している。
数体のスタチューがいるようだが、鋼鉄化を持つターニャの敵ではない。
いつも通りに正面から突っ込み、拳で武器だろうが石だろうが破壊していく。
あっという間に終わり、彫像が瓦礫となって散乱している。
「お前は能力自体は高いんだから、もう少し戦い方を考えたらどうだ?」
「そうか? その時が来たら考えよう」
なにぶん鎧も武器も関係なしに破壊できるため、力技しか知らないようだ。
今のところ通用しないのは修斗だけであり、その必要性を感じていないのだろう。
この日も5階ほど探索し、町に戻ってきた。
相変わらず見つけた物はすべて換金し、孤児院に寄付をする。
風呂に入り食事をすると、当たり前のように修斗と同じ部屋に入るのだが……始める前に修斗は確認がしたかったようだ。
「それで、もう1つの加護は何だ?」
「ああ、それ? 私のもう一つの加護はね『聖女』だよ」
聖女。
9人の悪夢の騎士の1人であり、第2王妃であるバーバラと同じものだ。
バーバラは『聖女の輝き』と『万物を拒否する盾』が聖女の証であるが、ターニャは『聖女』という加護を持っているらしい。
そして修斗とターニャの2人きりになると、修斗は気になっていた事を尋ねる。
「お前の強靭な肉体はスキルによるモノか?」
「強靭って……女の子に言う言葉じゃ無いと思うけど。私は加護を受けているの。」
「ほう? 加護というと神からの贈り物と言われるアレか?」
「そうよ。私の場合はあだ名の通り鋼鉄化。自分の意思で鋼の様に体を硬くできるの」
「鋼鉄化か。他にもまだあるだろう?」
「それは……今晩言うわ」
少し目をそらし、自然と腕を組んで修斗の腕に頭を預ける。
今朝のターニャは長い髪を頭の後ろでまとめ上げ、顔の左右だけ少し垂れている。
相変わらず白いドレスを着ているが、これしか持っていないのだろうか。
茶色い石造りの遺跡内部はゾンビ・マミーなどのアンデッドが多く徘徊しいるが、ターニャはそんな相手でも平気で拳で破壊していく。
あまりグチャグチャドロドロを気にしないのだろうか。
「う~ん、ゾンビは簡単に倒せるから楽でいいが、イマイチ殴りがいがないな」
「お前は武器は使わないのか?」
「俺は殴る感触が好きなんだ! 拳を握りしめ、相手に当たった瞬間に感じる感触や衝撃、そして形を変える相手の様子! ああ……シビれる」
生粋の変態だった! そしてダンジョン内だからか、また男言葉になっている。
どうやら鋼鉄化という神の加護があるため、下手に武器を使うよりも破壊力があるのだ。
「その加護は生まれた時からあるのか?」
「そうだ。というよりも気が付いたのが子供の頃だったんだが、ステータスにはずっと書かれていたが意味が分からなくてな。幼い少女が『鋼鉄化』と書かれていても、その意味は理解できないだろう?」
「なるほど。加護とスキルは違うのか?」
敵の出ないセーフティエリアに入ると、地面に座って水を飲んでいる。
「俺も詳しくは知らないが、スキルは磨けばさらに能力が上がるんだろう? 加護は何をしようが能力は変わらない。そのかわり最初から凄まじい能力を発揮するんだ」
「お前の鋼鉄化は確かにすごい力だな」
「ふふ、そうだろう? シュウトには効かなかったが、全力で殴れば全ての物を破壊できた。岩でも鉄でも、俺の前では意味が無かった」
名前こそ鋼鉄だが、その堅さは鉄どころではないようだ。
以前ターニャは盗賊に襲われた事があったが、その時は金属の鎧を紙のように打ち破り、剣を突き立てられても皮膚の表面がへこむだけだった。
修斗のスキルは女神から貰ったものだが、あれはスキルとして貰ったモノであり加護とは違う。
その違いはハッキリとしないが、加護というモノを修斗は初めて見た。
地球にいた頃にマンガやラノベで見た程度だ。
休憩が終わり遺跡探索を進めると、キツネやネコの仮面をかぶったような彫像が剣を構えて徘徊していた。
まるで壁画に出てくるような姿だが、何かを守っているようにも見える。
「あれはスタチューか。確かその奥にある墓を守っているらしいが……まぁ問題はないだろう」
ターニャは地図を見ながらフロア情報を確認している。
数体のスタチューがいるようだが、鋼鉄化を持つターニャの敵ではない。
いつも通りに正面から突っ込み、拳で武器だろうが石だろうが破壊していく。
あっという間に終わり、彫像が瓦礫となって散乱している。
「お前は能力自体は高いんだから、もう少し戦い方を考えたらどうだ?」
「そうか? その時が来たら考えよう」
なにぶん鎧も武器も関係なしに破壊できるため、力技しか知らないようだ。
今のところ通用しないのは修斗だけであり、その必要性を感じていないのだろう。
この日も5階ほど探索し、町に戻ってきた。
相変わらず見つけた物はすべて換金し、孤児院に寄付をする。
風呂に入り食事をすると、当たり前のように修斗と同じ部屋に入るのだが……始める前に修斗は確認がしたかったようだ。
「それで、もう1つの加護は何だ?」
「ああ、それ? 私のもう一つの加護はね『聖女』だよ」
聖女。
9人の悪夢の騎士の1人であり、第2王妃であるバーバラと同じものだ。
バーバラは『聖女の輝き』と『万物を拒否する盾』が聖女の証であるが、ターニャは『聖女』という加護を持っているらしい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる