ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
297 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第296話 第3王妃

しおりを挟む
「お前達を呼んだのは他でもない、そろそろ第3王妃を決めようと思ってな」

 執務室に呼ばれた4人、魔法兵長レベッカ都市開発長フローレンス内政・人事キャロルハイエルフカーリンは、目を大きく見開いて修斗の机の前まで詰め寄った。

「遂にアタシの番なんですね! ああ、どれだけ待ちわびた事か!」

「第2王妃から少し間が空いていましたからね、少し諦めていたところでした」

「ヤット、ワタシたちの番なのデスネ!」

「う、うむ、ハイエルフと人との結婚だから、きっと長老たちも喜んでくれるでしょう!」

 それぞれが待ち望んでいたらしく、ようやくきさきと名乗る事が出来るという期待で一杯だ。
 しかし一度まったがかかる。

「落ち着けお前達。第3王妃だがな? これからは3人ずつ嫁にしようと思っている。だからお前達の中から3人を選ぶんだが……実はもう決まっている」

 3人、しかし今いるのは4人なので、1人が外れる事になる。
 しかしどうやら4人は予想していたらしく、思ったよりも慌てていない。

「ああ、やはりそうでしたかシュウト殿。では私は次回に期待してよろしいのですね?」

 カーリンが少しうな垂れて、諦めたように静かな声でしゃべっている。
 重鎮の中で“次の嫁は誰なのか”談議が行われており、第3王妃は3人、第4王妃は4人となるか、それとも3人で行くか、というのが話題の中心だった。
 第3王妃が3人の場合、9人の悪夢の騎士トリプルナインから選ばれるのは誰かと考えた場合、どう考えても功績の少ないカーリンが外れる事になる。

 そしてその予想は当たっていた。

「そうだな、お前は第4王妃になるから、次は確定だ。その時まで待っていろ」

「わかりました。約束して頂けるのならば、今しばらく待つとしましょう」

 第4王妃が確定と聞いて、表情が明るくなるカーリン。
 しかし少しは残念なようで、第3王妃確定の3人の会話には入れないようだ。

「お前達との結婚式だが、お前達がやりたいような式にしたらいい。3回目だからとマンネリにならないように、俺を飽きさせないようにしろよ?」

「もちろんです! ずっと考えていた事がありますから、是非楽しみにしていてください!」

「お任せを。必ずや満足のいく式にしてみせましょう」

「ダイジョウブです! ワタシに任せてくだサイ!」

 3人ともやりたい式があるようで、その目はとても輝いている。
 さて、放置されている人物が1人いる。

「しゅ、シュウト? ウチは? ウチと結婚しないの?」

 アイン・アール首長国の第3王女、フィルヤールだ。
 腹を撫でられただけでイッてしまうほど感じやすく、しかも男性経験というか、男とまともに付き合った事すらない女だが、結婚願望はあるようだ。

「なぜお前と結婚すると思ったんだ?」

「だ、だって、ウチの体を確かめたんでしょ?」

「ああ、感じやすかったな」

「じゃあOKなんじゃないの!?」

「それだけで結婚するはずがないだろうが。少しは考えろ」

「そうですよフィルヤールさん! シュウト君との結婚には順番があるんです! 私だってまだなのに、自分だけ結婚できるなんて思ったらダメですよ!」

 アイカは怒り心頭だ。
 第3王妃となる3人やカーリンが第4王妃確定なのは納得がいくが、恐らく第4王妃には自分も選ばれると予想しているにもかかわらず、来たなりのフィルヤールは体を重ねる事すら無く王妃になろうとしている。
 それが我慢できないようだ。

「アイカ!? アイカはウチを応援してくれるって言ったじゃん!」

「応援はしますよ? アイン・アール首長国の第3王女として、シュウト君と仲良くなるのは全然かまわないの。でも結婚は別! 私だって頑張ってるんだから!」

「え~!? アイカ待ってよ~、ウチはシュウトと結婚したいの~」

「今はシュウト君の女で我慢して! ていうか、シュウト君の女ってだけでも最難関なんだからね!?」

「……そなの?」

「そうなの! 各国のお姫様が放置されるくらいなんだから」

「ウチ、お姫様でも3番めなんだけど?」

「じゃあもっと大変ね」

「アイカぁ~!」

「だから結婚どころかシュウト君に気に入られるだけでも凄いんだよ? だから今は諦めて」

 フィルヤールは大げさに泣いて見せるものの、フィルヤールが結婚する順番が来るかどうかも怪しい所だろう。
 修人に対する功績で考えるならば、今のところ候補にすら入っていないのだから。
 いや、勝手に来て勝手に騒いでいるだけだから、マイナスかもしれない。

「抱いてもいない女を、嫁にするはずがないだろうが。女に困っていないから、面倒なら帰れ」

「じゃあ抱いて」

「今晩な」

「うん、待ってるね!」

 このフィルヤールという女、めげたかと思ったらいきなり元気になった。
 前向きと言えば前向きだが、能天気なだけかもしれない。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...