ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
316 / 373
第7章 改変された世界

第315話 踊り子・キャロル

しおりを挟む
 国境を越えて最初の街、そこで受付を終わらせて門をくぐると石造りの建物が立ち並び、人々が大勢行きかっていた。
 高い防壁に囲まれているが、街が広いため圧迫感もない。

「この街は兵士が多いわね。冒険者の数は……少なめ?」

「それはそうだよキャロライン。この国は冒険者の扱いがあまり良くないと評判なのだからね」

「国境の防衛は兵士しか参加しないのかしら」

「ある意味正解かもしれないが、遊撃隊として冒険者が居ないのは、総兵数の減少につながるな」

「きっと兵士の訓練に抜かりが無いのでしょう! 国に忠誠を誓う兵士の方が、士気が上がりやすいはずですから!」

 魔道車の中から街中を見ているが、街中は武装した兵士が多く、防壁の上にも規則正しく兵士が並んでいる。
 規律が取れているというのは士気の高さにもつながる。
 冒険者は命令をしたら忠実に実行し、金銭によっては命を懸けて戦う。
 だが武装はバラバラなため、乱戦になると敵味方の区別が瞬間的に出来ない。

 間違って味方の冒険者を殺しでもしたら、士気はもちろん疑心暗鬼にとらわれてしまう。
 そうなったら戦いどころではなくなるのだ。
 
「あ! ねぇねぇあそこ! あのお店に行ってみたいわ!」

 ティナがはしゃいで指さす先はアクセサリーショップ。
 髪飾りやネックレスなどがキレイに陳列されている。

「では魔道車を宿に預けてから見に行きましょう」

 キャロラインに言われて魔道車は高そうな宿に入る。
 宿に魔道車を預けた後は2手に分かれ、片方は踊り子を見に行く事にした。
 ラグナ、ティナ、バーバラ、ナターシャ組はアクセサリーショップへ、キャロライン、フローレンス小さな男装の麗人、キャシーは踊り子がいる店へと向かう。

 凄い踊り子がいるという店は街の中心近くにあるが、通りを2本ほど入った場所にあった。
 怪しい店ではない様だが、看板の横に『大きさに100%自信あり!』と書かれている。
 思ったよりもしっかりした木造の店に入ると、地下へと続く階段があり、それを降りていくと更に扉があった。
 扉を開けると中は薄暗く、静かだが少し官能的な曲が流れている。
 そして舞台の上だけが明るく、ステージでは数名の踊り子がダンスを披露している。

「……一応ダンスをしているわね」

「キャロライン? 本当はエッチはダンスを想像していたね?」

「十分エッチだと思うけど?」

 ステージで踊る女性の服装は、ビキニというのも失礼なほどに布が小さく、激しい動きをしたら絶対にずれて見えるような姿だ。
 そして大きさに自信がると書いてあった通り、全員が巨乳だった。
 踊りながら長い木の棒を谷間に挟んだり、胸を上下左右に揺らす動きをし、腕で寄せたかと思うと持ち上げて落とす、といった動きがダンスに含まれている。

 暗くて見えなかったが、昼間だというのに客席にはそれなりの人数がおり、繁盛している店だというのがわかる。
 しかしステージ上に知った顔はないので、凄い踊り子というのはまだ登場していないのだろうか。
 空いている席に座ると店員が静かに現れて注文を聞く。
 飲み物を注文すると奥に戻り、ロウソク1本だけが置かれたテーブルにグラスが3つ運ばれた。

「まだいないのかしら」

「そうだね、キャロルだとしたら胸の大きさはもっと上だから、一目でわかるはずさ」

「いや、そこは顔で判断しようよ」

 飲み物を口にしながらダンスを見ていると、音楽が少し変わった。
 ステージの照明も切り替わり、薄い赤、ピンク色っぽくなる。
 ステージ脇からつま先立ちほどのハイヒールを履いて、ワザと音をたてて乱暴に歩いて入ってくる女性……間違いなくキャロルだった。

 衣装は必要な部分しか隠さないビキニだが、乳首には紐のふさが付き、下半身は半透明のパレオを巻いている。
 肌は薄い褐色、癖っ毛で桃色の髪は程よく広がり肩より少し長く、左右の眼の色は青と緑。腕と腹に小さな刺青があり、何より目を引くのは巨大ともいえる胸だ。片方だけでも自らの顔よりも大きいが、張りがあるため垂れていない。
 胸をブルンブルン揺らして歩いていると、それだけで観客が金をステージに投げ出す。

 金を拾おうとして前かがみになると更に金が投げられて、体を起こした時には大きな谷間に何枚ものコインが乗っていた。
 その後はダンスを披露するのだが、ステータスが高いおかげか他の踊り子とは一味も二味も違うダンスだった。

 しかし3人が見ていたのはそこではなく、首にはめられた奴隷の首輪だった。

 キャロルは基本的におとなしく人畜無害だ。
 それが奴隷になるなど一体何があったのだろうか。
 ステージが終わり、キャロルに会うべく3人は席を立つ。

「一体どうしたというのかしら」

「おかしいね、キャロルは9人の悪夢の騎士トリプルナインの時でも、シュウト様の命令以外では乱暴は振るう事は無かったし、悪事に手を貸す事もなかった」

「かといってキャロルが騙されたとも考えにくいね」

 店長らしき男にキャロルとの面会を申し込むのだが、店長は困った顔をして誰かを呼びに行くと、1人の男を連れて来た。

「あなた方は? キャロルに会わせる事は出来ない。アレは犯罪者として私が買ったものだからな」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...