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第7章 改変された世界
第327話 法王を侮辱する面々
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キリアム法王が居るはずの部屋には4人の男がおり、そこに居るはずの女性がいない。
しかも退位させるやら教会騎士を遠征に出したやらと、中々に面白い会話をしていた。
「あの娘はエルフだから、さっさと退位させて教会の宣伝に使いたいのだがな」
椅子に座る1番偉そうな男が机に肘をつき、グラスに入った酒を飲みながら愚痴っている。
どうやら中々思い通りには進んでいないようだ。
「エルフの癖に意固地になっていますからね。エルフは切り替えが早いと思っていましたが、あの娘は変わり者なのでしょうか」
「さぁな。人とて千差万別だ、エルフも皆がそうではないのだろう」
何の事は無い、エルフは長寿なため、何かに固執するという事が少ないだけだ。
人から見たら大ごとでも、長い時を生きるエルフから見たら些細な事が沢山ある。
しかしエルフといえども譲れない物はあるため、このエルフにとっては大事な事だったのだろう。
「とにかくだ、最終手段として薬は使うが、一応は現役の法王だ、無様な姿で人前には出せないから、説得は続けよう」
3人の男はコクリと頷き、部屋を後にした。
部屋に侵入していたルルナラは、隠ぺい魔法を使って部屋の片隅に潜んでいる。
1人残った男が席を立つと、近くの棚から大きな厚みのある本を取り出した。
そして本を開くと頬ずりして、とてつもなく甘えた声を上げる。
「はぁぁ~~んマーガレットぉ! キミは何てキャワイイんだ! 早く僕の物にしたいよぉーー!」
本にはキリアム法王の絵が描かれており、女神像に祈るキリアム法王、説教をするキリアム法王、視察で救いの手を差し伸べるキリアム法王、女神の奇跡を再現するキリアム法王、などが描かれていた。
そして太陽を背にした絵だろうか、服が少し透けてボディーラインが良く見える絵を見ると、ズボンを脱いでイスに座る。
「はぁ、はぁ、マーガレット、マーガレット! うっ!」
自慰をして白濁の液体を射出した。
それを間近で観察していたルルナラは、ラグナのモノと比較して口に手を当ててニヤけている。
やっぱりラグナ様の方が……ああんラグナ様ぁ! などと考えながら、音もたてずに扉を開けて出て行った。
大聖堂の中は夜といえども人が多い。
しかも魔法のアンチトラップが至る所にあり、気を抜くと隠ぺい魔法が解除されてしまう。
だがヘッポコとはいえエルフ、ちょっとやそっとの罠にはかからない。
地下に入り、少し湿った地面に注意しながら進んでいく。
石に囲まれた地下には4つの牢屋が2つずつ向かい合っており、その内の1つにキリアム法王が捕らえられていた。
小さなオイルランプが数個しかかけられておらず、地下牢は非常に陰気だ。
それにしても……何という悪臭だろうか、臭いものをまとめて放置してあるような匂いだ。
何者かが階段を降りてくる音がする。
「ういぃ~ヒック。おお~い起きてっか~?」
初老の小太りな男が酒瓶を手にして現れた。
キリアム法王の牢の前にいくと、しゃがみ込んでニヤニヤと中を見ている。
「んっちょによ~、こんな小娘相手になに手こずってんだか。女なんざ無理やり犯していう事を聞かせりゃいいだろうに。なんならオレ様が相手をしてやろうか? ぎゃっはっはっは!」
随分と酔っているようだが、キリアム法王はこのような侮辱を受けて平気なのだろうか。
牢の中を目を凝らして見つめると、ボロボロなベッドの上で静かに座り、何かに祈る様に手を組んでいる。
小太りの男の言葉など耳に入っていないようで、顔色1つ変わっていない。
「ケ~! エルフ様だからってお高く止まりやあってよぅ! こちとら何十年牢番やってっと思ってんだよ!」
立ち上がるとズボンの前を開け、粗末なイチモツを出すと牢内に小便を垂れ流す。
小便をしてスッキリしたのか、男は地下牢から出て行く。
キリアム法王を牢から出そうと近づくと、キリアム法王は涙を流していた。
「オード……助けて」
その声を聴いて、ルルナラはフッと大聖堂から出て行く。
「皆様方、提案がございます」
高級宿屋に戻ると、ラグナ、キャロライン、ティナ、ヤクシ、ガッコウ、シャンディラに向かい、大聖堂で着て来た事を説明し、1つの提案をした。
「わかったわ。それなら急いだ方が良いわね」
「ではキャロライン、ラグナには誰がついて行きますか?」
ヤクシは、目をつむったまま顔をキャロラインに向ける。
両目が潰されており、腰まである長い銀髪で、耳元の髪を後ろで纏めている。
スタイルは良く手足もスラリと長い。
金属の具足と籠手を装備し、手にした斧は柄が長く刃は丸く巨大だ。
「そうね……私が行きたいところだけど、ガッコウ、お願いできる?」
「ワタシか! おおよ、任せときなって!」
ガッコウが嬉しそうにガッツポーズを取って立ち上がる。
15歳だが見た目以上に幼く見える
丈の短い紺色のワンピース、同じく紺色のカウボーイの様なつばの広い帽子をかぶっている。
薄い茶色の地面に届きそうなほど長い髪は、先端を金属の輪で纏めてある。
「そ、それじゃあティナちゃんは?」
「ティナ様は私と共に参りましょう。魔道車の運転は私しか出来ませんから」
シャンディラの問いにはルルナラが答えた。
濃い紫色で長髪のツインテール。少し垂れ目で気の弱そうな顔、ピンクでフリフリの魔法少女にも見える衣装を着ていた。
手には魔法のステッキを持っているが、魔法はほとんど使えない。
「私も行くんですか!?」
ティナは驚いているようだが、他のメンバーはティナにも働いてもらうつもりでいる。
ひょっとして自分は何もしないつもりだったのか? という顔を向けるが、ティナの考えはそうではなく、自分も人数に入れてくれてるのか? という疑問だった。
仲間外れにされると思っていたのだろう。
「あ、えっとね、その、戦えないからどうしようかなって、ね?」
「大丈夫でございますよ、戦いは私が担当いたしますので、交渉をお願いいたします」
こうして夜のうちに行動を開始して、それぞれが方々に散っていくのだった。
しかも退位させるやら教会騎士を遠征に出したやらと、中々に面白い会話をしていた。
「あの娘はエルフだから、さっさと退位させて教会の宣伝に使いたいのだがな」
椅子に座る1番偉そうな男が机に肘をつき、グラスに入った酒を飲みながら愚痴っている。
どうやら中々思い通りには進んでいないようだ。
「エルフの癖に意固地になっていますからね。エルフは切り替えが早いと思っていましたが、あの娘は変わり者なのでしょうか」
「さぁな。人とて千差万別だ、エルフも皆がそうではないのだろう」
何の事は無い、エルフは長寿なため、何かに固執するという事が少ないだけだ。
人から見たら大ごとでも、長い時を生きるエルフから見たら些細な事が沢山ある。
しかしエルフといえども譲れない物はあるため、このエルフにとっては大事な事だったのだろう。
「とにかくだ、最終手段として薬は使うが、一応は現役の法王だ、無様な姿で人前には出せないから、説得は続けよう」
3人の男はコクリと頷き、部屋を後にした。
部屋に侵入していたルルナラは、隠ぺい魔法を使って部屋の片隅に潜んでいる。
1人残った男が席を立つと、近くの棚から大きな厚みのある本を取り出した。
そして本を開くと頬ずりして、とてつもなく甘えた声を上げる。
「はぁぁ~~んマーガレットぉ! キミは何てキャワイイんだ! 早く僕の物にしたいよぉーー!」
本にはキリアム法王の絵が描かれており、女神像に祈るキリアム法王、説教をするキリアム法王、視察で救いの手を差し伸べるキリアム法王、女神の奇跡を再現するキリアム法王、などが描かれていた。
そして太陽を背にした絵だろうか、服が少し透けてボディーラインが良く見える絵を見ると、ズボンを脱いでイスに座る。
「はぁ、はぁ、マーガレット、マーガレット! うっ!」
自慰をして白濁の液体を射出した。
それを間近で観察していたルルナラは、ラグナのモノと比較して口に手を当ててニヤけている。
やっぱりラグナ様の方が……ああんラグナ様ぁ! などと考えながら、音もたてずに扉を開けて出て行った。
大聖堂の中は夜といえども人が多い。
しかも魔法のアンチトラップが至る所にあり、気を抜くと隠ぺい魔法が解除されてしまう。
だがヘッポコとはいえエルフ、ちょっとやそっとの罠にはかからない。
地下に入り、少し湿った地面に注意しながら進んでいく。
石に囲まれた地下には4つの牢屋が2つずつ向かい合っており、その内の1つにキリアム法王が捕らえられていた。
小さなオイルランプが数個しかかけられておらず、地下牢は非常に陰気だ。
それにしても……何という悪臭だろうか、臭いものをまとめて放置してあるような匂いだ。
何者かが階段を降りてくる音がする。
「ういぃ~ヒック。おお~い起きてっか~?」
初老の小太りな男が酒瓶を手にして現れた。
キリアム法王の牢の前にいくと、しゃがみ込んでニヤニヤと中を見ている。
「んっちょによ~、こんな小娘相手になに手こずってんだか。女なんざ無理やり犯していう事を聞かせりゃいいだろうに。なんならオレ様が相手をしてやろうか? ぎゃっはっはっは!」
随分と酔っているようだが、キリアム法王はこのような侮辱を受けて平気なのだろうか。
牢の中を目を凝らして見つめると、ボロボロなベッドの上で静かに座り、何かに祈る様に手を組んでいる。
小太りの男の言葉など耳に入っていないようで、顔色1つ変わっていない。
「ケ~! エルフ様だからってお高く止まりやあってよぅ! こちとら何十年牢番やってっと思ってんだよ!」
立ち上がるとズボンの前を開け、粗末なイチモツを出すと牢内に小便を垂れ流す。
小便をしてスッキリしたのか、男は地下牢から出て行く。
キリアム法王を牢から出そうと近づくと、キリアム法王は涙を流していた。
「オード……助けて」
その声を聴いて、ルルナラはフッと大聖堂から出て行く。
「皆様方、提案がございます」
高級宿屋に戻ると、ラグナ、キャロライン、ティナ、ヤクシ、ガッコウ、シャンディラに向かい、大聖堂で着て来た事を説明し、1つの提案をした。
「わかったわ。それなら急いだ方が良いわね」
「ではキャロライン、ラグナには誰がついて行きますか?」
ヤクシは、目をつむったまま顔をキャロラインに向ける。
両目が潰されており、腰まである長い銀髪で、耳元の髪を後ろで纏めている。
スタイルは良く手足もスラリと長い。
金属の具足と籠手を装備し、手にした斧は柄が長く刃は丸く巨大だ。
「そうね……私が行きたいところだけど、ガッコウ、お願いできる?」
「ワタシか! おおよ、任せときなって!」
ガッコウが嬉しそうにガッツポーズを取って立ち上がる。
15歳だが見た目以上に幼く見える
丈の短い紺色のワンピース、同じく紺色のカウボーイの様なつばの広い帽子をかぶっている。
薄い茶色の地面に届きそうなほど長い髪は、先端を金属の輪で纏めてある。
「そ、それじゃあティナちゃんは?」
「ティナ様は私と共に参りましょう。魔道車の運転は私しか出来ませんから」
シャンディラの問いにはルルナラが答えた。
濃い紫色で長髪のツインテール。少し垂れ目で気の弱そうな顔、ピンクでフリフリの魔法少女にも見える衣装を着ていた。
手には魔法のステッキを持っているが、魔法はほとんど使えない。
「私も行くんですか!?」
ティナは驚いているようだが、他のメンバーはティナにも働いてもらうつもりでいる。
ひょっとして自分は何もしないつもりだったのか? という顔を向けるが、ティナの考えはそうではなく、自分も人数に入れてくれてるのか? という疑問だった。
仲間外れにされると思っていたのだろう。
「あ、えっとね、その、戦えないからどうしようかなって、ね?」
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