ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
329 / 373
第7章 改変された世界

第328話 テンプルナイツのお仕事は多岐にわたります

しおりを挟む
「ティナ様! しっかり掴まってくださいまし!」

「ひぃーーーーやーーーー!!」

 魔道車が砂煙をあげて爆走していく。
 魔道回転装置モーターのためエンジン音はしないが、電子音をあげてドリフトしながら角を曲がっていく。
 他の面々は走ったり魔法を使った方が速いため、ルルナラ残念エルフティナお嬢様コンビはこうでもしないと間に合わないのだ。

「何とか間に合いましたわね。さあティナ様、教会騎士テンプルナイトの方々のお手伝いをしましょう」

「う……は、はい」

 ケロッとした表情のルルナラと、今にも死にそうな顔のティナ。
 どこかの街にノンストップで走ってきたかと思えば、休憩も無しに何かをしようとしている。
 
「えーっと確かこちらには、レッドナイトとブルーナイトの方々がいらしているはず……ああ、あちらにいらっしゃいますわね」

 ルルナラが見た先には、深紅の鎧と青藍せいらん(紫がかった青)の鎧を着こんだ一団がいた。
 教会騎士テンプルナイトは色を与えられた騎士団で、ゴールド、シルバー、ブロンズ、レッド、ブルー、ブラック、ホワイトの7色がいる。

 それぞれが黄金騎士団ゴールドナイツ白銀騎士団シルバーナイツと呼ばれている。
 その中の深紅騎士団レッドナイツ青藍騎士団ブルーナイツが何をしているのかというと……街の掃除をしていた。

「……教会騎士テンプルナイトって、こんな事もするの??」

「剣と盾を、ホウキとチリトリに持ち替えたのでしょうか?」

 国防のかなめであり、式典などにも呼ばれる教会騎士テンプルナイトだが、流石に掃除をしている姿は初めて見るだろう。
 しかも律儀に鎧を着こみ帯剣している。

 どうやら騎士として活動する時は、必ず鎧と剣を装備するのが決まりのようだ。

「こんにちは。深紅騎士団レッドナイツ青藍騎士団ブルーナイツの方々でよろしいでしょうか?」

「ああ、間違いありません。何か御用ですか?」

 少し疲れた声だが、赤い兜で顔が隠れているため表情はわからない。

「あの、お掃除を……されているのですよね?」

「そうです。この街をきれいにしろという、法王様の命令ですので」

 キリアム法王からの命令のようだ。
 それが本当ならば断われないし、素直に従うしかない。
 本当の命令ならば、だが。

「今キリアム法王は大聖堂の地下に捕らえられておいでです。そのような命令を出せるとは思えないのっですが」

「……何ですって!? じゃあ一体……まさかウワサは本当だったのか……?」

 何やら赤い騎士は思い当たる節があるようだが……とはいえ見ず知らずの人間に言われた事を、そのまま素直に信じるほどお人好しでもないようだ。

「ウーヴェ! 私は一旦国に帰る! ここの指揮を任せてもいいか!?」

 ウーヴェと呼ばれて振り向いたのは、青い鎧を纏った人物だった。
 こちらも青い兜のため表情はわからないが、ツカツカと歩いてきて赤い騎士の両肩に力強く手をかける。

「リスピオ、今の話を聞いて、黙って行かせると思っているのか?」

「しかしあのウワサの通りだとしたら、俺は行かねばならない!」

「当たり前だ! こんな所で遊んでいる場合ではない! 俺も行くぞ!」

 自分も行く気でいたようだ。
 一応騎士団としては掃除を継続するので、命令違反ではない……かもしれない。
 しかし行く気ならば話は早く、そのまま魔道車に放り込んで大聖堂へととんぼ返りするのだった。

「ひぃーーーーやーーーー!!」




「こんにちわ。あなたが黄金騎士団の団長さんかしら?」

 キャロライン王女が別の街に行くと、黄金騎士団ゴールドナイツは区画整理のために家を破壊していた。
 解体業も騎士団の仕事……のはずがない。

「はい、私が騎士団長のオードです。ご用件は何でしょうか?」



「いよっ! アンタらが白銀騎士団シルバーナイツか?」

 ラグナ、ガッコウの2人は、ピカピカに磨かれた鎧を纏いながらも、ドブさらいをしてくすんだ鎧になっている一団に声をかける。

「近づくと汚れる、離れていたまえ」



「こちらに青銅騎士団ブロンズナイツがいらっしゃると聞いたのですが」

 ヤクシが声をかけた茶色っぽい鎧を纏った集団は、ニワトリを追いかけていた。
 中々捕まえられず、転んだり目を回している者もいる。

「なに? 今忙しいんだけど」



「あ、あの、漆黒騎士団ブラックナイツの人ですか?」

 シャンディラゴスロリ魔法少女の前には、真っ黒い鎧の男たちが木をっていた。
 熱くないのかと思うが、これが正装らしいから仕方がない。

「……何用かな? お嬢さん」

 残りは月白騎士団ホワイトナイツだが、最初に連れ帰った者が迎えに行く様だ。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...