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第7章 改変された世界
第328話 テンプルナイツのお仕事は多岐にわたります
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「ティナ様! しっかり掴まってくださいまし!」
「ひぃーーーーやーーーー!!」
魔道車が砂煙をあげて爆走していく。
魔道回転装置のためエンジン音はしないが、電子音をあげてドリフトしながら角を曲がっていく。
他の面々は走ったり魔法を使った方が速いため、ルルナラ・ティナコンビはこうでもしないと間に合わないのだ。
「何とか間に合いましたわね。さあティナ様、教会騎士の方々のお手伝いをしましょう」
「う……は、はい」
ケロッとした表情のルルナラと、今にも死にそうな顔のティナ。
どこかの街にノンストップで走ってきたかと思えば、休憩も無しに何かをしようとしている。
「えーっと確かこちらには、レッドナイトとブルーナイトの方々がいらしているはず……ああ、あちらにいらっしゃいますわね」
ルルナラが見た先には、深紅の鎧と青藍(紫がかった青)の鎧を着こんだ一団がいた。
教会騎士は色を与えられた騎士団で、ゴールド、シルバー、ブロンズ、レッド、ブルー、ブラック、ホワイトの7色がいる。
それぞれが黄金騎士団、白銀騎士団と呼ばれている。
その中の深紅騎士団と青藍騎士団が何をしているのかというと……街の掃除をしていた。
「……教会騎士って、こんな事もするの??」
「剣と盾を、ホウキとチリトリに持ち替えたのでしょうか?」
国防の要であり、式典などにも呼ばれる教会騎士だが、流石に掃除をしている姿は初めて見るだろう。
しかも律儀に鎧を着こみ帯剣している。
どうやら騎士として活動する時は、必ず鎧と剣を装備するのが決まりのようだ。
「こんにちは。深紅騎士団と青藍騎士団の方々でよろしいでしょうか?」
「ああ、間違いありません。何か御用ですか?」
少し疲れた声だが、赤い兜で顔が隠れているため表情はわからない。
「あの、お掃除を……されているのですよね?」
「そうです。この街をきれいにしろという、法王様の命令ですので」
キリアム法王からの命令のようだ。
それが本当ならば断われないし、素直に従うしかない。
本当の命令ならば、だが。
「今キリアム法王は大聖堂の地下に捕らえられておいでです。そのような命令を出せるとは思えないのっですが」
「……何ですって!? じゃあ一体……まさかウワサは本当だったのか……?」
何やら赤い騎士は思い当たる節があるようだが……とはいえ見ず知らずの人間に言われた事を、そのまま素直に信じるほどお人好しでもないようだ。
「ウーヴェ! 私は一旦国に帰る! ここの指揮を任せてもいいか!?」
ウーヴェと呼ばれて振り向いたのは、青い鎧を纏った人物だった。
こちらも青い兜のため表情はわからないが、ツカツカと歩いてきて赤い騎士の両肩に力強く手をかける。
「リスピオ、今の話を聞いて、黙って行かせると思っているのか?」
「しかしあのウワサの通りだとしたら、俺は行かねばならない!」
「当たり前だ! こんな所で遊んでいる場合ではない! 俺も行くぞ!」
自分も行く気でいたようだ。
一応騎士団としては掃除を継続するので、命令違反ではない……かもしれない。
しかし行く気ならば話は早く、そのまま魔道車に放り込んで大聖堂へととんぼ返りするのだった。
「ひぃーーーーやーーーー!!」
「こんにちわ。あなたが黄金騎士団の団長さんかしら?」
キャロラインが別の街に行くと、黄金騎士団は区画整理のために家を破壊していた。
解体業も騎士団の仕事……のはずがない。
「はい、私が騎士団長のオードです。ご用件は何でしょうか?」
「いよっ! アンタらが白銀騎士団か?」
ラグナ、ガッコウの2人は、ピカピカに磨かれた鎧を纏いながらも、ドブさらいをしてくすんだ鎧になっている一団に声をかける。
「近づくと汚れる、離れていたまえ」
「こちらに青銅騎士団がいらっしゃると聞いたのですが」
ヤクシが声をかけた茶色っぽい鎧を纏った集団は、ニワトリを追いかけていた。
中々捕まえられず、転んだり目を回している者もいる。
「なに? 今忙しいんだけど」
「あ、あの、漆黒騎士団の人ですか?」
シャンディラの前には、真っ黒い鎧の男たちが木を伐っていた。
熱くないのかと思うが、これが正装らしいから仕方がない。
「……何用かな? お嬢さん」
残りは月白騎士団だが、最初に連れ帰った者が迎えに行く様だ。
「ひぃーーーーやーーーー!!」
魔道車が砂煙をあげて爆走していく。
魔道回転装置のためエンジン音はしないが、電子音をあげてドリフトしながら角を曲がっていく。
他の面々は走ったり魔法を使った方が速いため、ルルナラ・ティナコンビはこうでもしないと間に合わないのだ。
「何とか間に合いましたわね。さあティナ様、教会騎士の方々のお手伝いをしましょう」
「う……は、はい」
ケロッとした表情のルルナラと、今にも死にそうな顔のティナ。
どこかの街にノンストップで走ってきたかと思えば、休憩も無しに何かをしようとしている。
「えーっと確かこちらには、レッドナイトとブルーナイトの方々がいらしているはず……ああ、あちらにいらっしゃいますわね」
ルルナラが見た先には、深紅の鎧と青藍(紫がかった青)の鎧を着こんだ一団がいた。
教会騎士は色を与えられた騎士団で、ゴールド、シルバー、ブロンズ、レッド、ブルー、ブラック、ホワイトの7色がいる。
それぞれが黄金騎士団、白銀騎士団と呼ばれている。
その中の深紅騎士団と青藍騎士団が何をしているのかというと……街の掃除をしていた。
「……教会騎士って、こんな事もするの??」
「剣と盾を、ホウキとチリトリに持ち替えたのでしょうか?」
国防の要であり、式典などにも呼ばれる教会騎士だが、流石に掃除をしている姿は初めて見るだろう。
しかも律儀に鎧を着こみ帯剣している。
どうやら騎士として活動する時は、必ず鎧と剣を装備するのが決まりのようだ。
「こんにちは。深紅騎士団と青藍騎士団の方々でよろしいでしょうか?」
「ああ、間違いありません。何か御用ですか?」
少し疲れた声だが、赤い兜で顔が隠れているため表情はわからない。
「あの、お掃除を……されているのですよね?」
「そうです。この街をきれいにしろという、法王様の命令ですので」
キリアム法王からの命令のようだ。
それが本当ならば断われないし、素直に従うしかない。
本当の命令ならば、だが。
「今キリアム法王は大聖堂の地下に捕らえられておいでです。そのような命令を出せるとは思えないのっですが」
「……何ですって!? じゃあ一体……まさかウワサは本当だったのか……?」
何やら赤い騎士は思い当たる節があるようだが……とはいえ見ず知らずの人間に言われた事を、そのまま素直に信じるほどお人好しでもないようだ。
「ウーヴェ! 私は一旦国に帰る! ここの指揮を任せてもいいか!?」
ウーヴェと呼ばれて振り向いたのは、青い鎧を纏った人物だった。
こちらも青い兜のため表情はわからないが、ツカツカと歩いてきて赤い騎士の両肩に力強く手をかける。
「リスピオ、今の話を聞いて、黙って行かせると思っているのか?」
「しかしあのウワサの通りだとしたら、俺は行かねばならない!」
「当たり前だ! こんな所で遊んでいる場合ではない! 俺も行くぞ!」
自分も行く気でいたようだ。
一応騎士団としては掃除を継続するので、命令違反ではない……かもしれない。
しかし行く気ならば話は早く、そのまま魔道車に放り込んで大聖堂へととんぼ返りするのだった。
「ひぃーーーーやーーーー!!」
「こんにちわ。あなたが黄金騎士団の団長さんかしら?」
キャロラインが別の街に行くと、黄金騎士団は区画整理のために家を破壊していた。
解体業も騎士団の仕事……のはずがない。
「はい、私が騎士団長のオードです。ご用件は何でしょうか?」
「いよっ! アンタらが白銀騎士団か?」
ラグナ、ガッコウの2人は、ピカピカに磨かれた鎧を纏いながらも、ドブさらいをしてくすんだ鎧になっている一団に声をかける。
「近づくと汚れる、離れていたまえ」
「こちらに青銅騎士団がいらっしゃると聞いたのですが」
ヤクシが声をかけた茶色っぽい鎧を纏った集団は、ニワトリを追いかけていた。
中々捕まえられず、転んだり目を回している者もいる。
「なに? 今忙しいんだけど」
「あ、あの、漆黒騎士団の人ですか?」
シャンディラの前には、真っ黒い鎧の男たちが木を伐っていた。
熱くないのかと思うが、これが正装らしいから仕方がない。
「……何用かな? お嬢さん」
残りは月白騎士団だが、最初に連れ帰った者が迎えに行く様だ。
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