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第7章 改変された世界
第360話 迷わずの霧、霧散
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パメラの攻撃が続く中、修斗は意識を失いそうになりながらも霧の穴を大きくしていた。
アイカが時間を稼いでいるお陰で、そろそろ人が1人通れそうな大きさになってきた。
「ご主人様! もう良いのではありませんか!? お顔が真っ青になっています!」
修斗の顔は血の気が無く、真っ青になっていた。
意識もかなり朦朧とし、視界もぼやけてほぼ見えていない。
人技夢想が使えているのは、無意識の状態の意地によるものだ。
「パメラさん! お願いですから話を聞いてください! 修斗君の目を見るだけでいいんです!」
「お断りだよ! お前達は、特にアイツはアタイの街に侵入しようとする悪い奴だ! 見逃すわけにはいかないのさ!」
パメラの攻撃自体はアイカにとって大したことは無い。
しかしパメラを傷つけるという事に抵抗があり、手荒なことが出来ないでいるのだ。
だが背後から聞こえるメシューゼラの声に、そろそろ修斗が限界だという事を悟る。
「ご主人様ぁ! お願いです、もうやめてください!」
泣きそうなメシューゼラの声に、アイカは決意した。
「パメラさん、ごめんなさい!!」
投げナイフと短剣を刀で叩き落とすと、素早くパメラの背後にまわり両腕を後ろで抑え込んだ。
「グッ! な、なんて小娘だい、アタイよりも早いなんてね……仕方ない!」
「え? ええーー!?!?」
フッとパメラの姿が消えた。
アイカが両腕を掴んでいたにもかかわらず、その姿がかき消えてしまった。
両手を見ながらも周囲を見回すが、その姿は全く見えなくなっていた。
「そ、そんなぁ! なんで? 一体何があったっていうのよ!」
アイカが戸惑っている間に、修斗は何とか人が通れる大きさの穴を開け終わった。
「アイカさん、ご主人様が霧の中へ入ろうとしています! あの、このまま進んで良いのでしょうか!?」
「え? ん~、しょうがないわね、シュウト君が進みたいのなら行きましょう」
アイカも合流し、修斗を背負って霧に開いた穴の中へと進んでいく。
霧の厚さは大体10メートル程で、そこを潜り抜けると……街が見えた。
「あ、あれはエルシドの街だわ! じゃあ本当にザナドゥ王国に入ったのね!」
エルシドの街は他国と繋がる最初の街の為、人口の多い大きな防護壁を持つ街だ。
最初の街なだけあり本来は人の往来が多いため、警備も厳重だった。
「う……どう、なっ、た?」
「ご主人様! 今霧の中に入った所です」
「シュウト君、エルシドの街が見えるわ。間違いなくザナドゥ王国よ」
どうやら少し気を失っていたらしい修斗だが、意識を取り戻したようだ。
アイカに言われて前を見ると、確かに見覚えのある街が見えている。
「入れた……か。グッ! くそっ、少しは楽になったが、まだ頭痛が治まらない」
「シュウト君ごめんなさい、パメラさんに逃げられちゃった」
「そうか。ん……ああ大丈夫だ、アイカ、お前にも見えるようにするから、大きな光の場所に落ちるようなイメージで魔法を使え」
アイカに背負われたまま、修斗はアイカの頭に手を乗せる。
するとアイカの頭の中に探索魔法の結果が表示され、ひと際強く光る点が頭に流れ込んで来た。
「うわぁ!? こっ、これが探索魔法なの?」
「そう、だ。強い光がアイツのいる場所だ。そこ、に、魔力を集中させ、飛び込むんだ」
「え? ええ……そんなこと言われても、私は魔法は苦手なんだけど」
「なに、俺がサポートを、してやっ、やる。やってみろ」
「う、うん」
アイカは目をつむり、修斗から送られてきた探索魔法の中にある光に意識を集中させる。
ふとアイカは体が軽くなり、驚いて目を開けると……とても見覚えのある場所に立っていた。
「え? ここって食堂? お城の? え? なんでこんな所に??」
「あっ、アンタ達!? なぜこの場所に居るんだい!!」
パメラが驚いた顔で3人を見ていた。
そして……修斗とパメラが目を合わせた。
「ぐあああーー!」
修斗は白目をむいて意識を失ってしまう。
どうやら元々の拒絶反応に加え、記憶を取り戻すときの頭痛が重なってしまい、耐えられなくなったようだ。
どれだけ時間が過ぎただろうか。
修斗が目を覚ますと見覚えのある景色が目に入る。
「大きすぎず、小さすぎず、張りのある柔らかそうな胸だな、パメラ」
長いソファーに横になり、パメラに膝枕されていたようだ。
上半身を起こすと、パメラが背中から抱き付く。
「シュウト、シュウトぉ……ごめん、ごめんよ。アタイ、アタイは何でこんな事を……」
「気にするな、他の連中も同じような物だった。逆にお前が最後で良かったかもしれないな」
パメラの腕に手を当てて、優しく語り掛ける。
「俺も長い事記憶を封印されていたからな、お前が気に病むことは無い。それにしても、お前はどうやって霧の中に入れたんだ?」
「これだよ」
修斗はソファーに座り直すと、パメラが投げナイフを見せる。
「これはシュウトに改造してもらった投げナイフだけど、念じたらナイフがホルダーに戻るだけじゃなかったんだ。アタイがナイフの場所に行く事も出来たのさ」
「ああそういう事か。ナイフとホルダーを関連付ける時、一方通行ではなかったんだな。呼んだ方に戻って来る、ナイフの方に戻ると念じればいいわけだ」
ソファーに深くよしかかり、城の天井を見上げる。
戻ってきた……感慨深さもあるが、まだ終わっていない。
まずは元に戻さなくてはいけないのだ。
「神界天技は使えるな……ん? 人技夢想も残っていたか、良いだろう、これは後で他の連中にも教えてやろう」
ソファーから立ち上がり、両手を大きく広げるとザナドゥ王国全土を想像し、邪魔な霧を吹き飛ばす様に命令する。
「お前達の役目は終わりだ。霧は霧らしく霧散しろ」
風が吹き荒れた。
城の内部にも風が吹く……いや、空間が震えている。
ザナドゥ王国全土が振動し、空間の振動と風により霧の壁が徐々に形を崩し、ゆっくりと地面に流れ落ちる。
それはザナドゥ王国側だけでなく、外向きに対しても霧が流れ出した。
霧の壁はあっという間にあちこちに流れ出し、霧は靄へと変わり靄も風に流されてどこかへといってしまった。
遂にザナドゥ王国から霧が晴れ、その全貌が見えるようになったのだ。
アイカが時間を稼いでいるお陰で、そろそろ人が1人通れそうな大きさになってきた。
「ご主人様! もう良いのではありませんか!? お顔が真っ青になっています!」
修斗の顔は血の気が無く、真っ青になっていた。
意識もかなり朦朧とし、視界もぼやけてほぼ見えていない。
人技夢想が使えているのは、無意識の状態の意地によるものだ。
「パメラさん! お願いですから話を聞いてください! 修斗君の目を見るだけでいいんです!」
「お断りだよ! お前達は、特にアイツはアタイの街に侵入しようとする悪い奴だ! 見逃すわけにはいかないのさ!」
パメラの攻撃自体はアイカにとって大したことは無い。
しかしパメラを傷つけるという事に抵抗があり、手荒なことが出来ないでいるのだ。
だが背後から聞こえるメシューゼラの声に、そろそろ修斗が限界だという事を悟る。
「ご主人様ぁ! お願いです、もうやめてください!」
泣きそうなメシューゼラの声に、アイカは決意した。
「パメラさん、ごめんなさい!!」
投げナイフと短剣を刀で叩き落とすと、素早くパメラの背後にまわり両腕を後ろで抑え込んだ。
「グッ! な、なんて小娘だい、アタイよりも早いなんてね……仕方ない!」
「え? ええーー!?!?」
フッとパメラの姿が消えた。
アイカが両腕を掴んでいたにもかかわらず、その姿がかき消えてしまった。
両手を見ながらも周囲を見回すが、その姿は全く見えなくなっていた。
「そ、そんなぁ! なんで? 一体何があったっていうのよ!」
アイカが戸惑っている間に、修斗は何とか人が通れる大きさの穴を開け終わった。
「アイカさん、ご主人様が霧の中へ入ろうとしています! あの、このまま進んで良いのでしょうか!?」
「え? ん~、しょうがないわね、シュウト君が進みたいのなら行きましょう」
アイカも合流し、修斗を背負って霧に開いた穴の中へと進んでいく。
霧の厚さは大体10メートル程で、そこを潜り抜けると……街が見えた。
「あ、あれはエルシドの街だわ! じゃあ本当にザナドゥ王国に入ったのね!」
エルシドの街は他国と繋がる最初の街の為、人口の多い大きな防護壁を持つ街だ。
最初の街なだけあり本来は人の往来が多いため、警備も厳重だった。
「う……どう、なっ、た?」
「ご主人様! 今霧の中に入った所です」
「シュウト君、エルシドの街が見えるわ。間違いなくザナドゥ王国よ」
どうやら少し気を失っていたらしい修斗だが、意識を取り戻したようだ。
アイカに言われて前を見ると、確かに見覚えのある街が見えている。
「入れた……か。グッ! くそっ、少しは楽になったが、まだ頭痛が治まらない」
「シュウト君ごめんなさい、パメラさんに逃げられちゃった」
「そうか。ん……ああ大丈夫だ、アイカ、お前にも見えるようにするから、大きな光の場所に落ちるようなイメージで魔法を使え」
アイカに背負われたまま、修斗はアイカの頭に手を乗せる。
するとアイカの頭の中に探索魔法の結果が表示され、ひと際強く光る点が頭に流れ込んで来た。
「うわぁ!? こっ、これが探索魔法なの?」
「そう、だ。強い光がアイツのいる場所だ。そこ、に、魔力を集中させ、飛び込むんだ」
「え? ええ……そんなこと言われても、私は魔法は苦手なんだけど」
「なに、俺がサポートを、してやっ、やる。やってみろ」
「う、うん」
アイカは目をつむり、修斗から送られてきた探索魔法の中にある光に意識を集中させる。
ふとアイカは体が軽くなり、驚いて目を開けると……とても見覚えのある場所に立っていた。
「え? ここって食堂? お城の? え? なんでこんな所に??」
「あっ、アンタ達!? なぜこの場所に居るんだい!!」
パメラが驚いた顔で3人を見ていた。
そして……修斗とパメラが目を合わせた。
「ぐあああーー!」
修斗は白目をむいて意識を失ってしまう。
どうやら元々の拒絶反応に加え、記憶を取り戻すときの頭痛が重なってしまい、耐えられなくなったようだ。
どれだけ時間が過ぎただろうか。
修斗が目を覚ますと見覚えのある景色が目に入る。
「大きすぎず、小さすぎず、張りのある柔らかそうな胸だな、パメラ」
長いソファーに横になり、パメラに膝枕されていたようだ。
上半身を起こすと、パメラが背中から抱き付く。
「シュウト、シュウトぉ……ごめん、ごめんよ。アタイ、アタイは何でこんな事を……」
「気にするな、他の連中も同じような物だった。逆にお前が最後で良かったかもしれないな」
パメラの腕に手を当てて、優しく語り掛ける。
「俺も長い事記憶を封印されていたからな、お前が気に病むことは無い。それにしても、お前はどうやって霧の中に入れたんだ?」
「これだよ」
修斗はソファーに座り直すと、パメラが投げナイフを見せる。
「これはシュウトに改造してもらった投げナイフだけど、念じたらナイフがホルダーに戻るだけじゃなかったんだ。アタイがナイフの場所に行く事も出来たのさ」
「ああそういう事か。ナイフとホルダーを関連付ける時、一方通行ではなかったんだな。呼んだ方に戻って来る、ナイフの方に戻ると念じればいいわけだ」
ソファーに深くよしかかり、城の天井を見上げる。
戻ってきた……感慨深さもあるが、まだ終わっていない。
まずは元に戻さなくてはいけないのだ。
「神界天技は使えるな……ん? 人技夢想も残っていたか、良いだろう、これは後で他の連中にも教えてやろう」
ソファーから立ち上がり、両手を大きく広げるとザナドゥ王国全土を想像し、邪魔な霧を吹き飛ばす様に命令する。
「お前達の役目は終わりだ。霧は霧らしく霧散しろ」
風が吹き荒れた。
城の内部にも風が吹く……いや、空間が震えている。
ザナドゥ王国全土が振動し、空間の振動と風により霧の壁が徐々に形を崩し、ゆっくりと地面に流れ落ちる。
それはザナドゥ王国側だけでなく、外向きに対しても霧が流れ出した。
霧の壁はあっという間にあちこちに流れ出し、霧は靄へと変わり靄も風に流されてどこかへといってしまった。
遂にザナドゥ王国から霧が晴れ、その全貌が見えるようになったのだ。
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