お一人様冒険記(6人パーティー)~ゲームシステムに縛られてるけど嫁を見つけてハッピーになって見せる!~

内海

文字の大きさ
10 / 71

9.洞窟って暗いもんじゃないの?

しおりを挟む
 しかし今になって後悔している。なぜ追いかけなかった俺!

 彼女の名前は分かったけど、どこに住んでいるのかも分からないんじゃ会う事もままならない!ああアセリア、君はいまいずこ。

 その後二日間アセリアを探したけど見つけられず、逆にしびれを切らした革鎧リーダーが俺の前に現れた。

「やっと見つけた!探したぜ。いつになったらギルドに顔を出してくれるんだ?」

「えーと、もう少し観光をしようかなって思いまして」

「ふーん。で、彼女は見つかったのか?」

 ゴフッ!

「その様子だとまだ見つけてないみたいだな」

「な、なんで?」

「まあいい。それじゃあ俺が彼女の居場所を教えてやるよ」

「本当ですか!?」

「ああ本当さ。そのかわり俺と一緒に依頼を受けてほしいんだ。依頼達成後に彼女のいる場所を教える。どうだ?」

 むむむ、このまま当てもなく探していたらいつ彼女に会えるのか分からないのは確かだし。

「依頼はどんな内容でしょう?」

「ここから馬で一日の場所にゴブリンの巣が見つかったんだが、それを壊滅させる依頼だ。あんただったら一~二日もあれば壊滅できるだろう」

 じゃあ馬で往復二日、壊滅に二日の計四日間か。

 それなら何とか我慢できるかな。

「分かりましたお受けします。彼女の場所は間違いないんですね?」

「おうさ!間違いなくあんたの憧れの姫君さ!それじゃあ早速ギルドへ行こう!」





 ギルドへ案内されて建物に入ると、なぜか空気がピリピリしていた。

 俺の所為じゃないよね?初めて来たギルドだし関係ないよね?

 革鎧リーダーが受付の女性に話をすると、待っていたらしい仲間が四人寄ってきた。

「アズベルさん、先ほどの依頼でよろしいですか?」

「ああ頼むよ。頼もしい味方をスカウトしてきたからな」

 そういえば革鎧リーダーの名前を知らなかったな。

 アズベルっていうのか。

「へえぇ~、じゃあもしかしてその人が?」

「おうさ、E・D・Dを一人で壊滅させ、オーガ五匹を相手に楽勝だったユグドラその人さ!」

「おおーーー!」

 とてもノリのいい受付の女性はカウンターを飛び越えて俺の目の前に立った。

 腰よりも下に真っ直ぐ伸びた長い髪は青みのある銀色。瞳も薄い青色。

 何より健康的で愛嬌がいい。

 あれ?この人はスカートじゃなくてショートパンツだ。

「あなたが噂のユグドラさんですかー。色々と聞いてますよ~ダンナ、お強いんですってねぇ」

 左手を口に当てて右手で俺を扇いでいる。井戸端会議のおばちゃんか!

「ま、まあそれなりに」

 の、ノリが良すぎて付いていけない。

「こらこら、初対面の人にそのノリはやめとけっていっただろう」

「てへ、またやっちった」

 漫才師かな?

 またカウンターを飛び越えて中に入ると急に真面目になって依頼内容の確認が始まった。

「それでは依頼内容はゴブリン及び巣の除去。期限は特に決まっていませんが、依頼を受けてから十日以内に何らかの報告をお願いします。何か質問はありますか?」

「ゴブリンの数は分かりますか?」

「数は分かりません。ゴブリン以外にもモンスターが居た場合はそちらも討伐願います。その際は追加報酬が支払われます」

 数は不明か。場所は分かっているし六人パーティーなら問題は無さそうだ。

「俺からは無い」

「私も、もうありません」

「それではお気をつけて行ってきてください。皆さんの達成報告をお待ちしております」

 頭を下げて事務的な対応が終わると最後に、気を付けて行ってきてね~、と手を振ってくれた。面白い人だ。

 ギルドを出てアズベルに必要なものを確認するが、俺の分の馬や食料を含めて準備は終わっており、俺の返事次第ですぐに出発できる状態だったのでそのまま出発する事になった。



 馬、ああ早いよ馬。やっぱり旅に馬は必須だ。

 アズベル達と馬を走らせて森に入り山を駆け上がる。

 モンスター達が襲い掛かろうとするが小さな猿位の大きさしか無い奴らばかりで、馬の脚には追いつけない様だ。



 目的地に到着した。

 木や岩で見つけにくいが岩肌に洞窟があり、その中にゴブリンが巣くっているらしい。

 ちなみにアズベル以外の冒険者は剣と盾にリングメイルを着た男性が二人、短剣を二本腰に下げた革鎧の女性が一人、武器も鎧も無い軽装の女性が一人だ。

 軽装の女性は回復役か魔法使いだろうか。

 洞窟に巣くうゴブリンは中々出てこないらしく、俺とアズベルが先頭で洞窟を進み、女性二人が真ん中、鎧を着た男性二人が殿しんがりになって洞窟内に入る事にした。

 洞窟内は思った以上に広く、天井はジャンプしないと手が届かず横幅も五人くらいなら横に並んで歩けそうだ。

 しかも松明が沢山あるので明るい。

 アズベルの話しによると洞窟は奥行き三十~四十メートルほどで、途中から枝分かれして部屋が三つ四つあり、二十~三十匹いるのが一般的なゴブリンの巣だとか。

 なので俺の大きな斧では邪魔になるので柄が三十センチで片刃の小型の斧を両方の手にもった。

 洞窟を進むと三方向に道が分かれていた。

 左右と真ん中に道があるので、まずは左手の道に進むことにする。

 十メートルほど進むと少し天井が高い直径二十メートル程度の広間に出た。

 ここも壁に掛かっている松明の数は多く、部屋の中が良く見える。だがゴブリンはおらず、食器や何か道具が散らばっているだけの様だ。

 道を戻り今度は右側の通路に向かう。

 こちらも十メートルほど進むと先ほどと同じような広間に出た。

 ここは寝室だろうか、毛布の様な布が散らばっている。ゴブリンは居ない。

 なので最後の直進ルートへ向かう。

 こちらは少し道が長く二十メートルは歩いただろうか、広間の手前で中の様子をうかがった。

 中は薄暗いが、なにか生き物が十匹ほど動いているのが見える。

 ここからでは見えない分も考えると全部で二十~三十匹と予想通りの数になるだろう。

 生き物の動きに変化が無い所を見ると俺達の事には気づいていないだろう。

 ならば先手必勝だ。

 アズベルの合図で一気に広間に突入した。

 中は先ほどの二つよりも随分広いが松明が少なく暗い。

 しかし何かの集団が慌てて動き出すのが分かるのでそこを目がけて突っ込む。

 ん?なんだあれは。

 広間の奥に段差?が見える。奥の壁に段差が数段あり天井近くまで続いている。階段か?

 ハッとして後ろを振り向くと俺達が入ってきた広間の入り口周辺だけ天井がとても高くなっていて、階段から通路が続く二階部分に沢山の何かが動いている。

「二階になにかグッ!」

 皆に知らせようとした瞬間!広間の中は強烈な光で満たされた。

 眩しくて視界が奪われた所へ大量の矢が降り注ぐ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...