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第2章
33.ダンジョン完全攻略! アイテムがイパーイ手に入ったよ!
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リッチロードに矢を連射しても良いが、久しぶりにショットガンをしてみよう。
右籠手内側に折りたたんである金具を起こし、手の前に出して矢を六本セットする。六本を弓を横に構え、狙いをつけて放った。
六本はリッチロードの胸のあたり横一列に並んで飛んでいき、リッチロードが避けるなりの行動をとる前に、一本矢を構えて待つ。
「さあどう避ける? それとも避けないか」
リッチロードの取った次の行動はこれだ。矢を魔法で吹き飛ばす。
「ふふふ、やはり魔法が好きなんだなお前は。私は魔法が苦手だから、物理でやらせてもらうよ」
矢先に薬を塗って放つ。
その矢はリッチロードも予想していたらしく、さらに魔法で迎撃をして爆散した。
しかし矢はリッチロードの頭に命中する。
一発目の矢には爆薬を塗って爆発で完全に魔法を相殺させ、間髪おかずに二本目を発射。
全く同じ場所に飛んできた矢は予測できなかったのだろう、リッチロードからしたら爆散させたはずの矢が、なぜか頭に刺さった、としか思っていないだろう。
しかしこれで終わりではない。
アンデッドの王とまで言われる相手だ、頭に矢が刺さっても終わってはくれない。
だから巨大な弓をバッグから取り出し、まずは頭を完全に吹き飛ばした。
そして両腕を撃ち落とし、胴体を重い矢で撃ち抜き吹き飛ばした。
流石に……終わってくれよ?
上半身のない、下半身だけが地面に倒れ込む。
小型の弓に持ち替えて、矢を構えながら近づいていく。
下半身はもう動かない、落ちている腕もだ。頭は跡形もなく吹き飛んでしまっている。
制圧完了だ。
巨大な弓をバッグに入れてクロスボウを取り出す。
弓の両端に滑車の付いた大きな物だ。
天井に開いた大きな穴を見上げ、空に浮かぶ赤いマジックアイテムを見つめて距離を測ろうとするが、周りに比較対象が無いため距離も大きさも分からない。
「これでは狙撃ができないな。ディータ、少し手を貸せ」
― ― ―
「はいはいっと、えっとこれだね、この矢先に炎の魔法を掛けてっと……おっけ~。それじゃあお姉ちゃん! がんばってね!」
― ― ―
「だからお姉ちゃんと言うなと、まあいい」
ディータに魔法を掛けてもらった矢をバッグから取り出し、クロスボウを構える。
矢の先端は光り輝いていて少々眩しいが、今は気にしなくていい。
しっかり狙いを定めて発射する。
一……二……三……矢がマジックアイテムに近づき、影が上から下へを流れていく。
「二.二秒、約二百二十~二百三十メートル、直径は十センチといった所か」
光で出来た影が真横にくる時間を数えた。
このクロスボウは秒速百~百二メートル。
この世界に来てしずかが作った試作品で、コンパウンドクロスボウというらしい。
「今の矢の飛び方を考慮して、うん、1本でイケるだろう」
通常なら足で押さえて両手で弦を引くが、片手で弦を引き矢を装填する。
壁に背を預けて慎重に狙いを定め、空に浮かぶ赤い点を見つめる。
呼吸を整え……鼓動を抑えて……手のブレを無くして……静かに引き金を引くと、矢は一瞬で点になり二.二秒後にマジックアイテムが砕け散った。
「ふむ、中々いい出来じゃないか、しずか」
魔法陣を記憶していたマジックアイテムが無くなった事で、地面に書かれていた魔法陣が消滅した。
結局何の魔法陣だったのか私には分からなかったが、ディータかルリ子が解読するだろう。
「それでは後は任せたぞディータ」
流石に疲れた、キャラクターチェンジだ。
― ― ―
「おお~やるねやるね~、さっすがお姉ちゃん! 後はお任せだよ!」
さてさて、まずは大量に転がっているピーから使えそうな物を剥ぎ取って、それからモンスターが出てきた壁を調べないとね~、マッピッピを完成させるんだ!
まずは一番リッチそうなリッチロード!
杖と装備品と、後はお金だね! うっしゃ、リッチはどうしよう、杖とお金だけでいっか、やっぱり装備も貰おう。
アンデッドは素材に使える部分が少ないから、旨味が少ないな~。
ミノタウロスとかオーガとかはいっぱい貰っていこう!
素材とアイテムとお金などなどで、バッグが一杯夢一杯! になったからマッピッピ再開!
「ここから出てきたけど、十階は広いのかなぁ」
モンスターが出てきた壁を覗き込むと、九階に繋がる階段しか無かった。
昇ってみると九階にも広間があった。
「あ~、ここがモンスターの待機場所だったのかな?テーブルとかイスとか、お酒もあるよ」
十階はどれだけ破壊されても、魔法陣はマジックアイテムがある限り元通りだから、侵入者を逃がさないための罠でもあるのかな。
九階の広間はなーんにも無いね。後は各フロアを最終チェックして、任務完了ですよ。
帰り道にはモンスターが全くいなくなってた。
十階に出てきたモンスターが倒されて、魔法陣も無くなった時点で計画が失敗してるから、撤退したのかな?
それにしても何を計画してたんだろ~。
それはすぐにわかった。何を呼び出そうとしていたのか、何をやろうとしていたのか。
結構ヤヴァイ状況だったっぽい?
― ― ― ― ― ―
「たっだいま~!」
ギルドに元気一杯で入ると、みんなビックリしてた。声、大きすぎ?
「ディータちゃん、おかえりなさい。ひょっとして任務完了?」
「無事完了であります! 私がんばったよ、チョ~頑張った! だからナデナデして?」
「いい子いい子、ディータちゃんはよく頑張ったね、お疲れ様」
「あふ~ん、リアちゃんのナデナデは相変わらず至極だな~」
と、私が仕事の労をねぎらってもらっているのを見つめる熱い視線が多数。
おっと、公衆の面前でやるには刺激が強すぎたか!
「えっとアセリアちゃん、ひょっとしてその子が?」
「はいそうです。ユーさんのお友達のディータちゃんです」
オネエさんが私を指差してる! いや~ん私ってば有名人!?
「初めまして~! 私がディータちゃんでっす!」
「あらあら、元気な子は好きよ。グレゴリィよ、よろしくねディータちゃん」
オネエさんと握手を交わした。いや~ん、たくましいオネエさんだ!
「ところでユグドラちゃんはどうしたのかしら」
「ユグドラなら、リアちゃんへのお土産を忘れたからって、ダンジョンに戻っちゃった」
「え? 一人で?」
「うん1人で」
「えっと、じゃあ報告はディータちゃんにしてもらえばいいのかしら?」
「うん私がやる。魔法の事とかもあるから、ユグドラじゃ分かんないしね」
二階の部屋に入ってソファーに座り、お茶を一口飲んだ。
「あ、このお茶美味しい」
「じゃあ、お替りとお茶菓子をもっと用意するね」
リアちゃんがお菓子とポットを近くに持ってきてくれた。気の利く嫁だこと。
「それじゃあ報告をお願いするわ」
お菓子をほお張っていたから、お茶で流し込んだ。
「えーっとね、まず地図は全フロア完成して、敵を全滅させて、魔法陣を破壊してきた!」
……あれ? なんか反応が薄いぞ? 変なこと言ったかな。
「とっても簡単に説明してくれたけど、とんでもない事だっていうのはわかるわね。地図を見せてもらっていいかしら?」
おお、忘れてた。地図地図っと。バッグから出してオネエさんに渡した。
「まずは地下六階までで、一旦帰って来た後の新しい情報はあるかしら?」
「ん~っと、特にないかな」
「じゃあ七階以降の話しだけど、何があるか分からなかったっていう、不明領域はなんだったの?」
「あれは山一つ使った巨大な砲身だった」
「砲身……?」
「うん、地下十階にイフリートを沢山召喚するための魔法陣があって、イフリートが撃った魔法を、加速と強化の魔法が掛かった砲身を通って、王都を壊滅させるための物」
「王都壊滅!?」
「うん。オネエさん私勘違いしてたよ、あのダンジョンってば王都防衛の為じゃなくって、王都攻略の為の軍事施設だったんだね。ずっと違和感があったからやっとスッキリした」
「イフリートってアレかしら、炎から生まれた魔人のイフリートかしら」
「うんソレ。魔法陣にはまだ半分くらいしか魔力が注入されてなかったけど、暑い暑い」
「イフリートは召喚されて無いのよね? どうしてイフリートだって思ったの?」
「えっとね、地図の十階のトコにも書いたんだけど、魔法陣を解読したの。まあ解読できたのは帰り道で資料を漁ってたら、色んなモンスターの召喚方法が書かれた本を見つけたからだけどね~」
「そんな召喚方法が書かれた本なんて、一体誰が持っていたのかしら?」
「多分だけど、リッチが自分で作ったんじゃないかな~」
目を白黒させるオネエさんと、付いて来れてないリアちゃんを少し放置して、お菓子をほお張った。
お茶も美味しいな~。
「これは予想だけどね、元々は誰かがリッチを召喚して研究をさせてたんだけど、どこかのタイミングでリッチロードが召喚されちゃったの。そしたら手に負えなくなって、誰かさんは追い出されて、リッチロードがやりたい放題やっちゃって、この状態になったのかな~って」
まぁ元々の誰かが誰なのかはわっかんないけどね~あははー。
「ひょっとしてだけど、あなた達には命を救ってもらったのかしら」
「ん~? 依頼を出したのはギルドだから、ギルドが救ったって事じゃん?」
「そ、そういうレベルの話しでも無いんだけれど……」
なんかオネエさんが頭を抱えてる~、大人って大変だね、もっと気楽に生きればいいのに。
その後はゆっくりと細かい所の説明をしていったけど、すぐに追加の調査隊を向かわせることになったみたい。
王都攻略の軍事施設だもんね~、いつの時代の施設か知らないけど、放っておくわけにはいかないよね~。
「そういえばオネエさん、ダンジョンで手に入れたアイテムって、全部提出しないといけないの?」
「いいえ、見つけた人の物よ。売りたい物や国や世界に影響がある物は、買い取らせてもらうけどね」
「よかった。じゃあ売りたいアイテム出すね」
バッグからテーブルにドサドサと大量のアイテムを並べたけど、置ききれないから床にも並べた。
「ミノタウロスの頭と手足と斧、リッチの杖と首飾り十三セット、オーガの頭と骨、ハウンドドッグのキバ、後はウィルオーウィスプの入ったガラスケース二個と薬品や魔法の書と……」
「ちょっとまって頂戴」
「ん? なに~?」
「そんなの買い取ったらギルドが破産するわ」
「あれ? そんなに凄い物なの?」
「ミノタウロスとリッチで破産するわね」
「あっれ~ぇ、ちなみにいくら位?」
「ミノタウロスの頭と手足で千G、リッチの杖と首飾り1セットで五百Gね」
「結構な金額なんだコレ!」
ミノタウロスとリッチ全部で七千五百万円だ~!
「だから申し訳ないんだけど、ミノタウロスとリッチを一セット、オーガとハウンドドッグのセットは買い取らせてもらうわ。後のは魔法ギルドや錬金術ギルドで売って欲しいの」
「了解了解~。あ、でも私はギルドに入ってないよ?」
「それは安心して、冒険者ギルドからの紹介状を渡すから。それを見せれば買い取ってくれるわ」
「うっす! 何から何までありがとうございます!」
「ところでリッチロードとミノタウロスって、とっても強いはずよね?」
「ん~? まあまあ?」
「ま、まあまあ……? あれがまあまあ……分かってたわ、あなた達に常識は通用しないって」
「報告はこんな感じでオッケ?」
「ええこれで終わりよ。あ、ダンジョンの事で聞きたい事が有った時は、ディータちゃんとお話しできるのかしら?」
「私はたぶん無理かな~。魔法のこと以外だったらユグドラの方が説明上手いから、向こうに聞いて」
「わかったわ、ありがとう」
「じゃあリアちゃん、まったね~」
「お疲れ様~、またね」
んじゃ~魔法ギルドと錬金術ギルドへ行くとしまっしょい!
右籠手内側に折りたたんである金具を起こし、手の前に出して矢を六本セットする。六本を弓を横に構え、狙いをつけて放った。
六本はリッチロードの胸のあたり横一列に並んで飛んでいき、リッチロードが避けるなりの行動をとる前に、一本矢を構えて待つ。
「さあどう避ける? それとも避けないか」
リッチロードの取った次の行動はこれだ。矢を魔法で吹き飛ばす。
「ふふふ、やはり魔法が好きなんだなお前は。私は魔法が苦手だから、物理でやらせてもらうよ」
矢先に薬を塗って放つ。
その矢はリッチロードも予想していたらしく、さらに魔法で迎撃をして爆散した。
しかし矢はリッチロードの頭に命中する。
一発目の矢には爆薬を塗って爆発で完全に魔法を相殺させ、間髪おかずに二本目を発射。
全く同じ場所に飛んできた矢は予測できなかったのだろう、リッチロードからしたら爆散させたはずの矢が、なぜか頭に刺さった、としか思っていないだろう。
しかしこれで終わりではない。
アンデッドの王とまで言われる相手だ、頭に矢が刺さっても終わってはくれない。
だから巨大な弓をバッグから取り出し、まずは頭を完全に吹き飛ばした。
そして両腕を撃ち落とし、胴体を重い矢で撃ち抜き吹き飛ばした。
流石に……終わってくれよ?
上半身のない、下半身だけが地面に倒れ込む。
小型の弓に持ち替えて、矢を構えながら近づいていく。
下半身はもう動かない、落ちている腕もだ。頭は跡形もなく吹き飛んでしまっている。
制圧完了だ。
巨大な弓をバッグに入れてクロスボウを取り出す。
弓の両端に滑車の付いた大きな物だ。
天井に開いた大きな穴を見上げ、空に浮かぶ赤いマジックアイテムを見つめて距離を測ろうとするが、周りに比較対象が無いため距離も大きさも分からない。
「これでは狙撃ができないな。ディータ、少し手を貸せ」
― ― ―
「はいはいっと、えっとこれだね、この矢先に炎の魔法を掛けてっと……おっけ~。それじゃあお姉ちゃん! がんばってね!」
― ― ―
「だからお姉ちゃんと言うなと、まあいい」
ディータに魔法を掛けてもらった矢をバッグから取り出し、クロスボウを構える。
矢の先端は光り輝いていて少々眩しいが、今は気にしなくていい。
しっかり狙いを定めて発射する。
一……二……三……矢がマジックアイテムに近づき、影が上から下へを流れていく。
「二.二秒、約二百二十~二百三十メートル、直径は十センチといった所か」
光で出来た影が真横にくる時間を数えた。
このクロスボウは秒速百~百二メートル。
この世界に来てしずかが作った試作品で、コンパウンドクロスボウというらしい。
「今の矢の飛び方を考慮して、うん、1本でイケるだろう」
通常なら足で押さえて両手で弦を引くが、片手で弦を引き矢を装填する。
壁に背を預けて慎重に狙いを定め、空に浮かぶ赤い点を見つめる。
呼吸を整え……鼓動を抑えて……手のブレを無くして……静かに引き金を引くと、矢は一瞬で点になり二.二秒後にマジックアイテムが砕け散った。
「ふむ、中々いい出来じゃないか、しずか」
魔法陣を記憶していたマジックアイテムが無くなった事で、地面に書かれていた魔法陣が消滅した。
結局何の魔法陣だったのか私には分からなかったが、ディータかルリ子が解読するだろう。
「それでは後は任せたぞディータ」
流石に疲れた、キャラクターチェンジだ。
― ― ―
「おお~やるねやるね~、さっすがお姉ちゃん! 後はお任せだよ!」
さてさて、まずは大量に転がっているピーから使えそうな物を剥ぎ取って、それからモンスターが出てきた壁を調べないとね~、マッピッピを完成させるんだ!
まずは一番リッチそうなリッチロード!
杖と装備品と、後はお金だね! うっしゃ、リッチはどうしよう、杖とお金だけでいっか、やっぱり装備も貰おう。
アンデッドは素材に使える部分が少ないから、旨味が少ないな~。
ミノタウロスとかオーガとかはいっぱい貰っていこう!
素材とアイテムとお金などなどで、バッグが一杯夢一杯! になったからマッピッピ再開!
「ここから出てきたけど、十階は広いのかなぁ」
モンスターが出てきた壁を覗き込むと、九階に繋がる階段しか無かった。
昇ってみると九階にも広間があった。
「あ~、ここがモンスターの待機場所だったのかな?テーブルとかイスとか、お酒もあるよ」
十階はどれだけ破壊されても、魔法陣はマジックアイテムがある限り元通りだから、侵入者を逃がさないための罠でもあるのかな。
九階の広間はなーんにも無いね。後は各フロアを最終チェックして、任務完了ですよ。
帰り道にはモンスターが全くいなくなってた。
十階に出てきたモンスターが倒されて、魔法陣も無くなった時点で計画が失敗してるから、撤退したのかな?
それにしても何を計画してたんだろ~。
それはすぐにわかった。何を呼び出そうとしていたのか、何をやろうとしていたのか。
結構ヤヴァイ状況だったっぽい?
― ― ― ― ― ―
「たっだいま~!」
ギルドに元気一杯で入ると、みんなビックリしてた。声、大きすぎ?
「ディータちゃん、おかえりなさい。ひょっとして任務完了?」
「無事完了であります! 私がんばったよ、チョ~頑張った! だからナデナデして?」
「いい子いい子、ディータちゃんはよく頑張ったね、お疲れ様」
「あふ~ん、リアちゃんのナデナデは相変わらず至極だな~」
と、私が仕事の労をねぎらってもらっているのを見つめる熱い視線が多数。
おっと、公衆の面前でやるには刺激が強すぎたか!
「えっとアセリアちゃん、ひょっとしてその子が?」
「はいそうです。ユーさんのお友達のディータちゃんです」
オネエさんが私を指差してる! いや~ん私ってば有名人!?
「初めまして~! 私がディータちゃんでっす!」
「あらあら、元気な子は好きよ。グレゴリィよ、よろしくねディータちゃん」
オネエさんと握手を交わした。いや~ん、たくましいオネエさんだ!
「ところでユグドラちゃんはどうしたのかしら」
「ユグドラなら、リアちゃんへのお土産を忘れたからって、ダンジョンに戻っちゃった」
「え? 一人で?」
「うん1人で」
「えっと、じゃあ報告はディータちゃんにしてもらえばいいのかしら?」
「うん私がやる。魔法の事とかもあるから、ユグドラじゃ分かんないしね」
二階の部屋に入ってソファーに座り、お茶を一口飲んだ。
「あ、このお茶美味しい」
「じゃあ、お替りとお茶菓子をもっと用意するね」
リアちゃんがお菓子とポットを近くに持ってきてくれた。気の利く嫁だこと。
「それじゃあ報告をお願いするわ」
お菓子をほお張っていたから、お茶で流し込んだ。
「えーっとね、まず地図は全フロア完成して、敵を全滅させて、魔法陣を破壊してきた!」
……あれ? なんか反応が薄いぞ? 変なこと言ったかな。
「とっても簡単に説明してくれたけど、とんでもない事だっていうのはわかるわね。地図を見せてもらっていいかしら?」
おお、忘れてた。地図地図っと。バッグから出してオネエさんに渡した。
「まずは地下六階までで、一旦帰って来た後の新しい情報はあるかしら?」
「ん~っと、特にないかな」
「じゃあ七階以降の話しだけど、何があるか分からなかったっていう、不明領域はなんだったの?」
「あれは山一つ使った巨大な砲身だった」
「砲身……?」
「うん、地下十階にイフリートを沢山召喚するための魔法陣があって、イフリートが撃った魔法を、加速と強化の魔法が掛かった砲身を通って、王都を壊滅させるための物」
「王都壊滅!?」
「うん。オネエさん私勘違いしてたよ、あのダンジョンってば王都防衛の為じゃなくって、王都攻略の為の軍事施設だったんだね。ずっと違和感があったからやっとスッキリした」
「イフリートってアレかしら、炎から生まれた魔人のイフリートかしら」
「うんソレ。魔法陣にはまだ半分くらいしか魔力が注入されてなかったけど、暑い暑い」
「イフリートは召喚されて無いのよね? どうしてイフリートだって思ったの?」
「えっとね、地図の十階のトコにも書いたんだけど、魔法陣を解読したの。まあ解読できたのは帰り道で資料を漁ってたら、色んなモンスターの召喚方法が書かれた本を見つけたからだけどね~」
「そんな召喚方法が書かれた本なんて、一体誰が持っていたのかしら?」
「多分だけど、リッチが自分で作ったんじゃないかな~」
目を白黒させるオネエさんと、付いて来れてないリアちゃんを少し放置して、お菓子をほお張った。
お茶も美味しいな~。
「これは予想だけどね、元々は誰かがリッチを召喚して研究をさせてたんだけど、どこかのタイミングでリッチロードが召喚されちゃったの。そしたら手に負えなくなって、誰かさんは追い出されて、リッチロードがやりたい放題やっちゃって、この状態になったのかな~って」
まぁ元々の誰かが誰なのかはわっかんないけどね~あははー。
「ひょっとしてだけど、あなた達には命を救ってもらったのかしら」
「ん~? 依頼を出したのはギルドだから、ギルドが救ったって事じゃん?」
「そ、そういうレベルの話しでも無いんだけれど……」
なんかオネエさんが頭を抱えてる~、大人って大変だね、もっと気楽に生きればいいのに。
その後はゆっくりと細かい所の説明をしていったけど、すぐに追加の調査隊を向かわせることになったみたい。
王都攻略の軍事施設だもんね~、いつの時代の施設か知らないけど、放っておくわけにはいかないよね~。
「そういえばオネエさん、ダンジョンで手に入れたアイテムって、全部提出しないといけないの?」
「いいえ、見つけた人の物よ。売りたい物や国や世界に影響がある物は、買い取らせてもらうけどね」
「よかった。じゃあ売りたいアイテム出すね」
バッグからテーブルにドサドサと大量のアイテムを並べたけど、置ききれないから床にも並べた。
「ミノタウロスの頭と手足と斧、リッチの杖と首飾り十三セット、オーガの頭と骨、ハウンドドッグのキバ、後はウィルオーウィスプの入ったガラスケース二個と薬品や魔法の書と……」
「ちょっとまって頂戴」
「ん? なに~?」
「そんなの買い取ったらギルドが破産するわ」
「あれ? そんなに凄い物なの?」
「ミノタウロスとリッチで破産するわね」
「あっれ~ぇ、ちなみにいくら位?」
「ミノタウロスの頭と手足で千G、リッチの杖と首飾り1セットで五百Gね」
「結構な金額なんだコレ!」
ミノタウロスとリッチ全部で七千五百万円だ~!
「だから申し訳ないんだけど、ミノタウロスとリッチを一セット、オーガとハウンドドッグのセットは買い取らせてもらうわ。後のは魔法ギルドや錬金術ギルドで売って欲しいの」
「了解了解~。あ、でも私はギルドに入ってないよ?」
「それは安心して、冒険者ギルドからの紹介状を渡すから。それを見せれば買い取ってくれるわ」
「うっす! 何から何までありがとうございます!」
「ところでリッチロードとミノタウロスって、とっても強いはずよね?」
「ん~? まあまあ?」
「ま、まあまあ……? あれがまあまあ……分かってたわ、あなた達に常識は通用しないって」
「報告はこんな感じでオッケ?」
「ええこれで終わりよ。あ、ダンジョンの事で聞きたい事が有った時は、ディータちゃんとお話しできるのかしら?」
「私はたぶん無理かな~。魔法のこと以外だったらユグドラの方が説明上手いから、向こうに聞いて」
「わかったわ、ありがとう」
「じゃあリアちゃん、まったね~」
「お疲れ様~、またね」
んじゃ~魔法ギルドと錬金術ギルドへ行くとしまっしょい!
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