お一人様冒険記(6人パーティー)~ゲームシステムに縛られてるけど嫁を見つけてハッピーになって見せる!~

内海

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第2章

52.感染したら結構強くなるらしい。いや悪い意味で

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「ユグドラ、その斧を見せてくれないか」

 冒険者の代表に立候補した1人が前に現れた。ほほぅ、斧に興味がおありで?

「この斧ですか?」

「いや、最初にタイタンを切り倒した方だ」

 アダマタイトの斧の方でしたか。

「じゃあこっちですね」

 背中に担いであった斧を出して先端を地面に付けた。

「重たいので気を付けてください」

「ああ分かったああああぁあー!」

 やっぱり柄の部分でも重くて持てなかったようだ。普通の金属の斧も超圧縮されてて重いけど、アダマタイトはさらに重い。拳より小さい物でも10㎏以上はある。

「このバトルアックスは特に重いんですよ」

 地面に倒れたバトルアックスを拾い上げる。

「さっきの形の違う方も重いのか?」

「こっちも重いですが、これほどではありません」

 普通の斧を左手で持って、さっきと同じように先端を地面に付けた。

「よし、今度こそ!くああぁぁぁーー!」

 なんとか両手で持ち上げたが柄と刃の部分を持ってなんとか、といった感じだ。

「こんな重てー武器を振り回してたのかよ」

 諦めて地面に置いてしまった。力に関しては俺もよく分かっていない。力強さSTR120の効果だと思うが、こっちの人のステータスが分からない以上冒険者のSTRがどれだけなのか勘でしか分からない。
 多分10~20だと思う。

「ひたすら木を切って戦ってを繰り返していたらこうなりまして」

「ま、まあそれぐらい力が無いとタイタンを一刀両断出来ないだろうな」

 それから暫くは冒険者たちと話しをしていたが、アズベルから寝ろと言われてしまった。
 小学生か!


 どうやらリアも注意されたみたいでテントに戻ってきた。

「アズベルさんに怒られちゃった」

「俺も怒られた、寝ろって。俺達は子供か」

 寝ろと言われても眠くないからテントの一段高い入り口に座ってリアとお茶を飲んでいた。

「なぜだか私、途中から先生って呼ばれちゃった」

「魔法の知識はリアの方が上だろうし、先生だね」

「ついこの間まで生徒だったのに不思議な感じ」

「物覚えの良い生徒を持つと先生は鼻が高いよ」

「あはははっ、でもまだまだだなって。今はまだ一つの魔法を使いこなすのが精いっぱい」

「最初はそんなもんだって。経験を積めば余裕が出来てくるよ」

 リアの目が開いたり閉まったりしている。疲れたんだろう。他の冒険者に置いて行かれまいと全速力で走ったり、初めてタイタンと戦ったり、他の人に魔法を教えたり。こんな大人数で行動するのも初めてだから気疲れするはずだ。
 俺も寝よう。今にも寝そうなリアをテントに入れて寝袋を掛け、俺も隣で横になった。



 朝になりテントを片づけエリクセンへと出発した。エル・ド・ランを出る時は少しずつ時間差があったが、今は同時に出たため凄い数だ。砂埃も凄い。

 朝はモンスターの動きが活発になるため警戒していたが、何も襲ってこなかった。
 昨晩タイタンの群れを倒して死体も転がっているから、俺達が出発した後でそっちを狙っているんだろうか。

 エリクセンに到着した。

 まずは軍の駐屯地へ顔を出して調査する村や方角を軍と被らない様に調整する。
 俺達が向かうのは南にある村三つだ。それぞれの村の距離は馬で一日未満、一つの村での調査期間は3日を予定している。簡単に消耗品の補充をして出発しよう。

「アズベル、今回の依頼の凶暴になる症状の奴に会った事あるか?」

「ああ、一人取り抑えた。ありゃー厄介やっかいだぞ、力もタフさも格段に上がってる上に、何をしても立ち上がってくる。まるでゾンビみたいだった」

「怪我はしなかったのか?」

「他の奴がまれて怪我をした。お陰で体液で感染しない事が分かったから良かったが」

 噛まれて感染しなければ大丈夫だろう。血液が口に入っても大丈夫だったようだ。
 そうなると直接の感染源以外からは感染しないという事でいいのか。

「いったい何が原因なんだろうな」

「さあな。軍が動いてあれだけの人数が集められたんだ。あいつらは何かつかんでいるのかもしれないが、ユグドラも注意しろよ、軍が直接動くときは大体面倒な時だ」

「ブラスティーが来てたからなぁ。あいつはよく出てくるのか?」

「騎士団副団長か?あいつは滅多に見ない。そういえばお前はあいつに勝ったって本当か?」

「ああ本当だ。リアを人質に取られてな」

「なんだそれ、腰巾着こしぎんちゃくが卑怯な手を使ったとか言ってたが、使ったのは向こうじゃねぇか」

 あの時のブラスティーは本当にやりたい放題やっていた。俺の実力を見るためにモンスターに街を襲わせたり大型のモンスターを街道に誘導したりと無関係の人を巻き込むことに躊躇ちゅうちょが無かった。俺達に手を出すなと約束してからはそれも無くなった様だ。

「それでも俺が勝ったからな。やっぱり俺はツエーな」

「ぬかせ。しかしそうか、本当に勝ったのか。そうかそうか、ひっひっひ」

「なんだよ、気持ち悪い笑い方して」

「ざまあみろって感じだ」

「やっぱり軍が嫌いなんだな」

「嫌ってすらいねーよ」

 話しを聞くとブラスティーは数年前突如として現れたようだ。あっという間に騎士団副団長にまでのし上がり王から貴族の位まで与えられたから、当時はかなり話題になったらしい。これでモンスターに怯えなくて済むと期待されていたようだ。

 しかしある日を境に表舞台から姿を消した。一説では一人でモンスター退治をしていると噂されたが、別の説では貴族の位を手に入れたから引退したと。

 それからというもの軍は動きが鈍くなり、貴族は街を守るよりも王族にこびを売るようになった。もちろん王は政治を行わなくなった。
 おそらくそのあたりからブラスティーは王族を裏で操るようになったんだろう。
 ロクでもないなブラスティー。知ってはいたけど改めて酷い奴だ。

「今はあいつの事はいい。最初の村へ出発しよう」
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