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第2章
54.モンスターの憩いの場
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山に入り洞窟を目指す。途中で獣が居たが近づいてくることは無かった。
中腹に差し掛かり、そろそろ洞窟が近くにあるはずだ。
洞窟は入り口は大きいから近くに行けば分かると言っていたが……ああ、あれか。
「これはまた随分とデカイな」
両腕を広げて大きさを体感しようとするアズベル。
家一軒が入りそうなほど大きな入り口は腕を広げても三人は並べそうだ。周辺の草木は刈り取られていて余計に広く感じる。
「じゃあ入るとするか。ユグドラとアセリアが先頭、ロバートとケンタウリが2番手、俺とエバンス、クリスティが3番手、しんがりはアルファとフレディだ」
ロバートは盾を持っておらず、チェインメイルとプレートを合わせた鎧と、両手の大型の剣を持つ若い戦士。
ケンタウリは短剣2本持った革鎧のショートヘアの女性で、少々気の抜けたしゃべり方をする。
エバンスは長い黒髪を黒いローブの中に入れた女魔法使いで、感情があまり出ない。
クリスティは白く短かめのローブとズボンをはいた、回復兼魔法使いのナチュラルボブの女性でお姉さん系だ。
アルファとフレディは盾とリングメイルを装備した戦士で、よく二人で漫才をする。
洞窟の中は薄暗いが地面も壁も見える。おそらく他にも入り口や小さな穴が沢山あるのだろう。しかしモンスターや獣が住み着いているにしてはフンがない。モンスターや獣が住み着いているのは他の洞窟なのか?
不気味なので慎重に進むと卵が腐った匂い、硫黄の匂いがする。なんだ? まさか温泉でもあるのか? さらに進むとひらけた明るい場所が見える、そしてこの湿度と温度、本当に温泉が有りそうだな。
だとしたらモンスターや獣が住み着いているわけでは無い様だ。
大量の湯気が見える。通路の角からゆっくり顔を出すとやはり温泉があった。温泉には頭が二つある巨人・エティンが入っている。
「ファイヤー・ボー」
「ストップ!」
エティンにファイヤー・ボールを使おうとしたリアを慌てて止めた。
「どうしたの?」
「多分だけど、いま攻撃したら面倒な事になる」
「え?」
湯気でよく見えないから温泉に近づく。どうやらかなりの大きさがある露天風呂だ。王都にある大衆浴場よりも大きいだろう。
そしてやはり、エティンだけだなく沢山の獣やモンスターが温泉に入っている。
ここは湯治場、温泉治療の場所だ。
「だ、大丈夫なの?ユーさん」
かなり無防備に近づいたのでリアが心配している。ここにいるのは怪我や病気の奴らだ、だから争いはしないはず。静かに温泉に近づき手を入れると、ちょっと熱いがモンスターや獣には丁度いいのかもしれない。
「ここは湯治場だ。温泉に入って怪我や病気を治しに来てる。だから自分から手を出す事はしないと思うよ」
現に俺が近づいても何もしてこない。敵意が無い事を表すためにあぐらをかいて座りリアを呼び寄せる。恐る恐る温泉に近づいて手を温泉に付ける。
「ちょっと熱いけど、温かい」
「天然の露天風呂だね、はい手を拭いて」
リアにタオルを渡して手を拭かせた。
周りを見回すと壁から岩を伝って水道の蛇口を全開にした勢いでお湯が出ている。
あんなにたくさん湧き出してる、ここは火山なのか?
後ろを付いてきた若い戦士ロバートが噴き出し口に手をつけた。
「あっつ!」
そりゃそっちは熱いだろう。火傷した指を舐めているが、クリスティが回復を掛けた。
「あなたはまるで子供ね」
「年寄りにはない好奇心ってもんがあるんだよ」
「ふぅ~ん、じゃあ若い人には回復は必要ないわね。今度から自分で治してね」
「え? 冗談に決まってるじゃないかお姉さん」
ちなみにクリスティは二十歳前後に見えるからロバートと大して歳は変わらない。
「お前お湯に入ってみ?」
「え?嫌だよ、お前が入れよ」
「いやいやここは見せ所だから譲るよ」
アルファとフレディの戦士コンビは押すなよ! 押すなよ! 的な振りで遊んでいたら二人一緒に落ちた。漫才コンビだ。
「洞窟の他のルートを調べよう。温泉は放っておけ」
アズベルの指示で温泉を後にした。
「ねえユーさん、モンスターが集まるんなら温泉を壊した方が安全じゃないの?」
「あれは壊したらダメだね。このあたりの土地は山は豊かで川も近く湯治場もある。どれか一つが欠けたら村が襲われる可能性が出てくるね」
「あっ、今は村を襲う必要が無いくらいにいい環境ってこと?」
「そうだね、思った以上にモンスターや獣の数が多いけど、村が襲われないのは山や周辺の環境が良いから危険を冒す必要が無いんだ」
「モンスターだから倒せばいいって訳じゃないのね」
「兼ね合いが難しいけどね」
講釈をたれながら他の道を探索する。何度か獣やモンスターとすれ違ったが、お互い何もせずにすれ違った。不思議な感じがする。
色々な場所から温泉につながる道がある。ひょっとしてこの道は全部モンスターや獣が作ったのか? 山を迂回せずに温泉にたどり着ける道ばかりだ。
だとしたら凄い執念を感じる。それだけ湯治場が大事なんだろう。
道を調べ終わったが全ての道は温泉の為にあるようだった。
この洞窟の探索はこれで終わりだな。
洞窟を出ると日が傾いている。今日はここまでだろう、あと二日あるから廃虚もじっくり調べられるはずだ。
中腹に差し掛かり、そろそろ洞窟が近くにあるはずだ。
洞窟は入り口は大きいから近くに行けば分かると言っていたが……ああ、あれか。
「これはまた随分とデカイな」
両腕を広げて大きさを体感しようとするアズベル。
家一軒が入りそうなほど大きな入り口は腕を広げても三人は並べそうだ。周辺の草木は刈り取られていて余計に広く感じる。
「じゃあ入るとするか。ユグドラとアセリアが先頭、ロバートとケンタウリが2番手、俺とエバンス、クリスティが3番手、しんがりはアルファとフレディだ」
ロバートは盾を持っておらず、チェインメイルとプレートを合わせた鎧と、両手の大型の剣を持つ若い戦士。
ケンタウリは短剣2本持った革鎧のショートヘアの女性で、少々気の抜けたしゃべり方をする。
エバンスは長い黒髪を黒いローブの中に入れた女魔法使いで、感情があまり出ない。
クリスティは白く短かめのローブとズボンをはいた、回復兼魔法使いのナチュラルボブの女性でお姉さん系だ。
アルファとフレディは盾とリングメイルを装備した戦士で、よく二人で漫才をする。
洞窟の中は薄暗いが地面も壁も見える。おそらく他にも入り口や小さな穴が沢山あるのだろう。しかしモンスターや獣が住み着いているにしてはフンがない。モンスターや獣が住み着いているのは他の洞窟なのか?
不気味なので慎重に進むと卵が腐った匂い、硫黄の匂いがする。なんだ? まさか温泉でもあるのか? さらに進むとひらけた明るい場所が見える、そしてこの湿度と温度、本当に温泉が有りそうだな。
だとしたらモンスターや獣が住み着いているわけでは無い様だ。
大量の湯気が見える。通路の角からゆっくり顔を出すとやはり温泉があった。温泉には頭が二つある巨人・エティンが入っている。
「ファイヤー・ボー」
「ストップ!」
エティンにファイヤー・ボールを使おうとしたリアを慌てて止めた。
「どうしたの?」
「多分だけど、いま攻撃したら面倒な事になる」
「え?」
湯気でよく見えないから温泉に近づく。どうやらかなりの大きさがある露天風呂だ。王都にある大衆浴場よりも大きいだろう。
そしてやはり、エティンだけだなく沢山の獣やモンスターが温泉に入っている。
ここは湯治場、温泉治療の場所だ。
「だ、大丈夫なの?ユーさん」
かなり無防備に近づいたのでリアが心配している。ここにいるのは怪我や病気の奴らだ、だから争いはしないはず。静かに温泉に近づき手を入れると、ちょっと熱いがモンスターや獣には丁度いいのかもしれない。
「ここは湯治場だ。温泉に入って怪我や病気を治しに来てる。だから自分から手を出す事はしないと思うよ」
現に俺が近づいても何もしてこない。敵意が無い事を表すためにあぐらをかいて座りリアを呼び寄せる。恐る恐る温泉に近づいて手を温泉に付ける。
「ちょっと熱いけど、温かい」
「天然の露天風呂だね、はい手を拭いて」
リアにタオルを渡して手を拭かせた。
周りを見回すと壁から岩を伝って水道の蛇口を全開にした勢いでお湯が出ている。
あんなにたくさん湧き出してる、ここは火山なのか?
後ろを付いてきた若い戦士ロバートが噴き出し口に手をつけた。
「あっつ!」
そりゃそっちは熱いだろう。火傷した指を舐めているが、クリスティが回復を掛けた。
「あなたはまるで子供ね」
「年寄りにはない好奇心ってもんがあるんだよ」
「ふぅ~ん、じゃあ若い人には回復は必要ないわね。今度から自分で治してね」
「え? 冗談に決まってるじゃないかお姉さん」
ちなみにクリスティは二十歳前後に見えるからロバートと大して歳は変わらない。
「お前お湯に入ってみ?」
「え?嫌だよ、お前が入れよ」
「いやいやここは見せ所だから譲るよ」
アルファとフレディの戦士コンビは押すなよ! 押すなよ! 的な振りで遊んでいたら二人一緒に落ちた。漫才コンビだ。
「洞窟の他のルートを調べよう。温泉は放っておけ」
アズベルの指示で温泉を後にした。
「ねえユーさん、モンスターが集まるんなら温泉を壊した方が安全じゃないの?」
「あれは壊したらダメだね。このあたりの土地は山は豊かで川も近く湯治場もある。どれか一つが欠けたら村が襲われる可能性が出てくるね」
「あっ、今は村を襲う必要が無いくらいにいい環境ってこと?」
「そうだね、思った以上にモンスターや獣の数が多いけど、村が襲われないのは山や周辺の環境が良いから危険を冒す必要が無いんだ」
「モンスターだから倒せばいいって訳じゃないのね」
「兼ね合いが難しいけどね」
講釈をたれながら他の道を探索する。何度か獣やモンスターとすれ違ったが、お互い何もせずにすれ違った。不思議な感じがする。
色々な場所から温泉につながる道がある。ひょっとしてこの道は全部モンスターや獣が作ったのか? 山を迂回せずに温泉にたどり着ける道ばかりだ。
だとしたら凄い執念を感じる。それだけ湯治場が大事なんだろう。
道を調べ終わったが全ての道は温泉の為にあるようだった。
この洞窟の探索はこれで終わりだな。
洞窟を出ると日が傾いている。今日はここまでだろう、あと二日あるから廃虚もじっくり調べられるはずだ。
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