夜の深みの現実で

うたん

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夜の深みの現実で

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午前3時、ほとんどの人が眠っている時間、そんな時間に僕は目覚めてしまった。
大きな音がした訳でも、誰かに起こされた訳でもない、ただ本当にふと目覚めたのだ。
周りの家の明かりもなく、深夜よりも深い時間なんだと理解させられた。
だがそんな時、耳から入ってくる情報に違和感を覚えた。
今は夜の中でも最も深い時間、それ故に聞こえてくる音も限られる、実際今聞こえるのは寝る前からつけている扇風機の音くらい、のはずなのだが…

僕「蝉…?」

蝉の声がかすかに聞こえる、独特なリズム、ツクツクボウシだ、いつもなら日が落ちて少し経てば聞こえなくなるセミの声が聞こえていたのだ、5時頃、少し日が出てくる頃に哀愁あるヒグラシの声を聞くことはあるが、この時間にツクツクボウシの声を聞くのは初めてだった。暑くも寒くもなく、ただ生ぬるい空気、眠れない気がした僕は、ちょっと散歩へ行くことにした。
外は部屋の中と違い、微風ながらも風を感じ、心地よかった。
少し歩くと、小中学生の時に通った細道が見えてくる、約10年間通ってきた道だが、明かりも一切なく、何も見えない状態で、不気味さこそ無かったが、ただ、純粋な恐怖を感じた。
でも、起きて間もない僕は、頭も完全に起きていなかったため、その道を進んだ、そしてすぐ後悔することになる。
元の道からの明かりもほとんど無くなった所まで進んだところで、どうしようも無い恐怖に包まれた、でも、振り返ることもできず、ただ進むしか無かった。
20m程だったはずだが、とても長く感じる。怖い、全身が闇にキュッと締め付けられるような感覚がする。
鼓動が早くなるのをこんなに感じるのはいつぶりだろうか、手を自然に胸の前で組んでいたため、感触としても感じる。
少しして、細道を抜けた僕は、とりあえずその場で大きく息を吸った、締め付けられるような感覚からの解放、そんな思いしかなかった。息を吸おうと、空を見上げた時、いつも見る夜空より星が良く見える事にも驚いたが、それよりも目に付いたのは

僕「オリオン座…」

特徴的な3つ並んだ星、冬の星座であるオリオン座がそこにあった。
今は夏、気温だって変わってない、ただひとつ言えることは、他の人は滅多に見れないものを見たということだ。
僕はその場から少し歩き、よく夕方に夕日を見ていた開けた場所へ行った、前より少し草が増えただろうか、でも、景色はそのままだ…多分

僕「暗くて見えねぇな」

暗すぎて夕日を見るための方角は何も見えなかった、だが、上を見るとその暗さのおかげで星がよく見える。心地よい…開けた所だからか、さっきよりも風が来る、昼間のような蒸し暑く不快な風じゃない、どこかほんのり涼しく、地上に溜まった生ぬるい空気を流していく。
そんな心地良さに浸っていると、ふと山の頂上が明るくなっている事に気づいた、そんなに長くいたつもりは無いが、実際は結構経っていたらしい。

今日も今日が始まる、新聞配達のバイクの音と、優しい朝日に照らされながら家へと帰った。
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