【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ

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6 ゲームの設定の秘密?

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「あの方が王太子殿下のヴィクター様だ」
「そうなんですね」

 一番後ろの壁際に設置された椅子にお兄様と並んで腰を下ろした。はっきりいって保護者と一緒に来ているのは私だけで恥ずかしいが、こんな所で倒れて注目を浴びる方がもっと恥ずかしい。
 それにしても王太子殿下はかっこいいなぁ流石攻略対象者。現在二年生の殿下だけれども王族という事で生徒会長を務めている。よくみれば他の攻略対象者もちらほらと見え隠れしていて、ああ本当にゲームそっくりの美形ばっかり。
 そして真っ赤な髪や緑の髪も違和感なく見れている! 6歳の頃から見慣れたのもあるけれど、何らかの世界的補正でもあったんだろうか。

 そしてヒロイン「転生聖女」だ。銀髪の可愛い子。後ろから見ると分かりやすい。新入生の列の一番前に座って熱心に王太子殿下のお話を聞いている。心なし頬が赤いので、彼女は王道の王太子ルートを選択するのかもしれない。ハーレムルートじゃなければどこでも好きにしたら良いと思う……いや、やっぱり我が家は狙わないで欲しいかも。
 でもこのゲームは最後は「幸せに暮らし、国には平和と繁栄が訪れたのでした」で終わるから、将来は割と安定していると思う。
 割と緩い断罪、追放をもらって領地でのんびり暮らす。これが私の目標だわ。そして学園にいる間にゲームの中で起こったことを少しでも身近にみれたら嬉しい、それだけだ。

「聖女がいるね」
「ええ、綺麗な髪ですね」

 小声でお兄様と話す。後ろから見てもよく目立つ銀髪だから、私達以外の注目も集めている。そして聖女の名前は「ミオ」だとお兄様が教えてくれた。ふーむ、デフォルトネーム通りなのね……ミオね、日本人かな? 澪や美緒かもしれないわね。そういえば会社の後輩に田中美緒って子がいたな……あの子大丈夫かな、結構不器用だったし、一生懸命なんだけれど仕事を覚えるのも遅かったな。元気でやっていると良いけれど。
 そう思い出すとなんだか聖女ミオを応援してあげたくなってしまう。いや、元々私は聖女ミオは嫌いではない。何せ乙女ゲーム「白銀」は大好きなゲームだ。ミオが攻略対象者と仲良くなっていくのをニヤニヤしながら見てたんだから、彼女の恋を応援してあげたい気持ちでいっぱいだ。
 そうだ、ミオといい関係を築いてマイルド断罪に持ち込む。これが一番ね!私は嫌味な悪役令嬢のアリシアにはならないんだから。

「聖女様はきっとお可愛らしい顔をしてらっしゃるのでしょうね」

 私の位置からでは後ろ姿しか見ることができなくて、ちらりと見えるのも横顔だけだ。

「まあ……それなりだと思うよ」

 あら、微妙なお答え。もしかしたらお兄様はもう意中の女性がいらっしゃるのでしょうか? お兄様には婚約者がいらっしゃらない。これはお兄様が特殊な例ではなくて、このゲーム自体の設定なのだ。子供の頃から婚約者候補は決まるが、完全に婚約をするのは年頃……つまり学園に通うようになってから、今の時期くらいになっているのだ。
 本当に早くから決まるのは王族になるのだけれど、王太子殿下も候補はいてもまだ決定はしていないはずだった。

 だから聖女ミオが王太子殿下の婚約者になったっていいのだ。

 壇上で生徒会長として新入生にお話をしていたヴィクター王太子殿下。金色の髪に青い瞳の絵に描いたような王子様の隣には銀の髪の清らかな聖女が良く似合う。
 ゲームのパッケージを思い出してニヤつく口元をハンカチで隠した。

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