【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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17 独りよがり!怖いっ!

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「行こう、リト」

「え?はい」

 差し出された左手に、思わず右手を乗せた。

「商人のパーティなんだ。平民ばかりだよ」

 そう言いながら、ホールの中に入って行った。

「ギアナ!」「ギアナ殿!」「おや?今日は可愛らしい方とご一緒ですな?」

 すぐに声をかけられる。

「お久しぶりです。無理を言ってパートナーをお願いしまして」

「ほう?」

「リト、皆商人仲間なんだ」

 俺がおずおずと見上げると、獣人が2人、人間が1人にこにこ俺を見返していた。

「なるほどギアナは困った奴だな?俺はジーレン。サイの獣人だ。よろしく、リト君」

「よろしくお願いします」

 手を差し出されたので握手をする。手が大きくて力が強い。

「リト君のお陰でギアナ殿がこのパーティに出られたのだな?俺はフォルター。狐だよ」

「そ、そうですか?」

 また握手。

「私はレックス。人間だ。リト君も人間か。力自慢の獣人との握手は気をつけないとね!」

 茶目っ気たっぷりにウィンクされ、釣られて笑った。面白い人だ。レックスさんとも握手する。

 軽く挨拶をして、その場を離れた。

「リト、パーティの飯は旨いぞ」

「た、食べたいです!」



「あのギアナが隣に立つ人を連れて来るとはねぇ。しかも、物凄い美人だ」

「ウサギの件から3年か。ちょうど良い時期だろう。しかし可愛らしいなぁ」

「ははは!ギアナさんに交渉しますか?貴方のパートナーを少し貸して下さいって」

 レックスの洒落にならない冗談に獣人2人はぶるっと震えた。

「お、恐ろしいこと言うなよ!見ろあの溺愛っぷり!気持ち悪い通り越してもう清々しいぜ!」

 ギアナ自らトングを握って、リトの持つ皿の上に肉とか肉とか肉とかを積み上げている。

「肉食が番に餌をやる本能だなぁ。あんな華奢な少年、あんなに食えんだろ、おお恐っ!リト君を見せてくれって言っただけで噛み殺されそうだ!減る!とか言い出しそう!」

 見れば2人の服は特注で、それぞれに差し色でお互いの瞳の色が入っている。ギアナの服には緑色が。リトの服をには青色が。

「すげー独占欲の塊。本当に気持ち悪いくらい惚れてるんだな。……リト君、分かってんのかな?」

「分かってないな」「言ってないな」

「うわー……独りよがり!怖ぁ!リト君、頑張れー」

 3人の哀れみと応援はリトには届かなかったが、柔らかく煮込んだお肉は美味しかった。

「ギアナさん!こんなに食べられませんって!」

「いっぱい食わないと傷が治らんだろう?それにリトは細すぎだ。もう少し食べて太らねば。……その方が好みだ」

「ん?なんて言ったんです?聞こえなかった」

「もう少し太らないと、食っても不味そうだってね?」

 がお、と人型になっても口の中に生えている牙をちらりと見せて笑う。全然怖く無いんですけどね!八重歯みたいで可愛い。

「ふふ、俺なんか食べても美味しくないですよー!」

 それよりも美味しい料理を食べなくちゃ!食べた事が無いものばかりでフォークが止まんなーい!

「最高に美味しそうなんだけどな?」

 俺は食べるのに夢中だった!

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