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虎
16 皆んなでからかうんです
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白い虎の獣人はギアナと言うらしい。
「俺は悪い人攫いだからな」
そう言いながらも、かなり大きいギアナ様のお屋敷には沢山の獣人や人間が生き生きと働いていた。
年老いたもの。子供。大人でも病気の者……俺みたいに怪我をした者。体はまともでも心が弱っている者。様々だった。
「リトはそうだなぁ、しばらく俺の側にいてくれ」
「分かりました」
傷が痛む事も良くあるし、心配だと言われた。こればっかりはどうしようも無かった。
「けど!抱っこして歩くのはやめて!」
「だって痛むだろう?」
「ううう……」
確かにまだ斬られた傷は痛む時がある。でも!でもね!
「あら!ギアナ様。お嫁様ですか?また可愛らしい子を選んだものですねぇ!」
とか
「ギアナの番は人間か。無理させんなよ。人間は怪我しやすいからな?」
とか
「結婚式はいつですか?美しい花嫁様になりますね!楽しみです」
って言われるんだ!!俺、男ぉーーー!
「ギアナ様も俺は男だって皆んなに言って下さいよ!面倒くさいからって肯定するのやめて!」
「ふふ」
「あーっ!俺をからかってるんでしょ!」
変な声をかけられても、ギアナ様は
「ああ」とか「そうだ」とか「楽しみだな」とか答えるんだ!もう!だから誤解がいつまで経っても解けないのに!
「ちゃんと俺が男だって皆んなにつたえて下さい!」
「そこは大丈夫だ。皆んな知っている」
あ、そうなんだ。でも!知っててもアレってことは?
「みんなで俺をからかって遊んでるー?!うわーーっ!1番新入りだからって酷い!」
ははは!とギアナ様は笑うが、腕から俺を下ろそうとしない。もー!
「誰も揶揄ってなどいないよ、リト」
「え?何か言いました??」
ギアナ様の呟きは小さくて聞こえなかった。俺にも獣の耳があれば、聞こえたかもしれないが、俺には人間の耳しかついていなかった。
「ふわー……」
「リト、こっちだ」
「パーティに招待されてしまってね。どうしても断れないんだ。すまんがリト、ちょっとついて来てくれないか?」
「えーと、よく分からないんですが、俺で役に立つなら」
そう答えると、理想だよ。と良い笑顔をくださったので、思わず俺は照れてしまった。
それが数時間前。そこから、メイドをしている皆んなに取り囲まれ、わいのわいの風呂で磨かれ、飾り立てられ、男か女か分からないひらっとした服を着せられ馬車に詰め込まれた。
「ギアナ様……もう疲れたんです……」
「まだパーティ会場についてないよ?」
そして降りた先は大きなホテルだった。
シャンデリアが瞬く天井。広いホール。大きくない窓。珍しくてキョロキョロと見回す。
リト
呼ばれて、背中にを軽く支えられた。
「天井を見上げすぎてひっくり返るかと思った。まだ体が完全に回復していないのに、済まないね」
「ひっくり返りませんよ!……体は大丈夫です、多分」
背中を軽く押されている、あっちへ行こうと言う事なんだろう。導かれるままに隣を歩く。
「休憩室を借りてある。しばらく付き合ってくれ」
「大丈夫ですってば!」
もう!しつこいなあ!こんな初めて来た場所で、知らない人ばかりの場所。ギアナ様から意地でも離れませんよ!
その尻尾を握ってでもね!!ふん!
「俺は悪い人攫いだからな」
そう言いながらも、かなり大きいギアナ様のお屋敷には沢山の獣人や人間が生き生きと働いていた。
年老いたもの。子供。大人でも病気の者……俺みたいに怪我をした者。体はまともでも心が弱っている者。様々だった。
「リトはそうだなぁ、しばらく俺の側にいてくれ」
「分かりました」
傷が痛む事も良くあるし、心配だと言われた。こればっかりはどうしようも無かった。
「けど!抱っこして歩くのはやめて!」
「だって痛むだろう?」
「ううう……」
確かにまだ斬られた傷は痛む時がある。でも!でもね!
「あら!ギアナ様。お嫁様ですか?また可愛らしい子を選んだものですねぇ!」
とか
「ギアナの番は人間か。無理させんなよ。人間は怪我しやすいからな?」
とか
「結婚式はいつですか?美しい花嫁様になりますね!楽しみです」
って言われるんだ!!俺、男ぉーーー!
「ギアナ様も俺は男だって皆んなに言って下さいよ!面倒くさいからって肯定するのやめて!」
「ふふ」
「あーっ!俺をからかってるんでしょ!」
変な声をかけられても、ギアナ様は
「ああ」とか「そうだ」とか「楽しみだな」とか答えるんだ!もう!だから誤解がいつまで経っても解けないのに!
「ちゃんと俺が男だって皆んなにつたえて下さい!」
「そこは大丈夫だ。皆んな知っている」
あ、そうなんだ。でも!知っててもアレってことは?
「みんなで俺をからかって遊んでるー?!うわーーっ!1番新入りだからって酷い!」
ははは!とギアナ様は笑うが、腕から俺を下ろそうとしない。もー!
「誰も揶揄ってなどいないよ、リト」
「え?何か言いました??」
ギアナ様の呟きは小さくて聞こえなかった。俺にも獣の耳があれば、聞こえたかもしれないが、俺には人間の耳しかついていなかった。
「ふわー……」
「リト、こっちだ」
「パーティに招待されてしまってね。どうしても断れないんだ。すまんがリト、ちょっとついて来てくれないか?」
「えーと、よく分からないんですが、俺で役に立つなら」
そう答えると、理想だよ。と良い笑顔をくださったので、思わず俺は照れてしまった。
それが数時間前。そこから、メイドをしている皆んなに取り囲まれ、わいのわいの風呂で磨かれ、飾り立てられ、男か女か分からないひらっとした服を着せられ馬車に詰め込まれた。
「ギアナ様……もう疲れたんです……」
「まだパーティ会場についてないよ?」
そして降りた先は大きなホテルだった。
シャンデリアが瞬く天井。広いホール。大きくない窓。珍しくてキョロキョロと見回す。
リト
呼ばれて、背中にを軽く支えられた。
「天井を見上げすぎてひっくり返るかと思った。まだ体が完全に回復していないのに、済まないね」
「ひっくり返りませんよ!……体は大丈夫です、多分」
背中を軽く押されている、あっちへ行こうと言う事なんだろう。導かれるままに隣を歩く。
「休憩室を借りてある。しばらく付き合ってくれ」
「大丈夫ですってば!」
もう!しつこいなあ!こんな初めて来た場所で、知らない人ばかりの場所。ギアナ様から意地でも離れませんよ!
その尻尾を握ってでもね!!ふん!
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