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海へ
45 可哀想な人と笑う工房
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静かに工房まで戻って来た。
「よう!何か分かったか?!」
「うん……あの人、みんなから好かれてないね。ちょっと可哀想だったよ」
「おめー!あんなやつに可哀想なんて!どう言う事だ!」
詰め寄られたけれど、俺は見てきた事をしっかり話した。
「あの人、きっと友達は魚だけだよ」
「……そらぁ……なんてぇか、気の毒ではあるな」
全員で顔を見合わせた。俺が可哀想って言った意味が分かって貰えたみたい。
「でもよー!あんな魔法で言う事聞かせてるから自業自得じゃねぇか?」
それは俺も思う。勝手に操られるのって気持ち悪いし、最低だと思う。
「うん。あと俺もここに居たくない。地上に帰りたい。待ってる人がいるんだ」
俺もだ!全員その辺りも一致した。
「それで見てもらいたいんだけど……」
ザックの掘った穴を皆んなに見せる。
「どこまで進んでるか分からないけれど、そのうち完成しそうな気がする。逃げる時あのイフリート様を連れて行くから、協力してください」
わぁ!っと歓声が上がった。
バレないようにお願いしますね!念を押しておく。
「分かった!でもあいつらほとんどこねぇから、大丈夫だよ」
それからせっかくなのでガラスについて色々意見を交換してみた。
「こう、ぷつぷつになるだろ?」
「不純物が多いんでしょうか?あとねりねりが少ないとか?」
「ねりねり……意味わかんねえ」
溶けたガラスの中に溶けにくい棒を突っ込む。
「こういい具合になるまでねりねり……」
「言ってる意味は分からないが何やってるかは分かる」
「うわー!俺ってば壊滅的な説明下手!」
そして俺達はガラスのキューブを作るのをやめた。
「こう、息をふーーーって」
「回すんだな?」
「そうそう」
ガラス吹きを教えている。息を長く均一に吐き出すから、慣れないと一部だけ膨らんで変な形になる。
「あー!」
「ヘッタクソ!」
工房に笑いが漏れるようになった。
「それでね?ごにょごにょ……」
「女性には贈り物ってことだな!」
「当たり!」
食事のワゴンを押してきて、置いていくだけのこの屋敷のメイドさんに声をかける。
「お姉さん、お姉さん。これ上げる」
「……」
人間風情が気安く声をかけるな!そんな顔をしていたが、キラキラ、キラキラするイヤリングをそっとお仕着せの上に着ているエプロンのポケットに押し込んだ。
にこっ!笑って
「ご飯いただきまーす!」
ワゴンを持ってたったかと逃げ出す。
「ちょっと!」
メイドさんはイヤリングを捨てずに持って帰った。
食事のたびに贈り物をする。メイドさんが2人いるのは知っていて、来るたびにプレゼントを上げる。
全部俺達の作品だ。ガラスのキューブ作りじゃどうしようもないけれど、ガラス細工やグラスなどの作り方を覚えておけば、戻った時役に立つ。
と言うか、俺の貰った給料の話をしたら、皆んな目の色が変わった。なら、覚えるしかないって。
ここの設備は素晴らしく、練習にはもってこいだ。
「でね、ギアナ様って言うんだけど」
「知ってるぜ!白虎だろう。白虎のギアナって言ったら武闘派の商人で有名だぞ。気に入らない相手は殴り飛ばす」
「嘘だー!あんなに優しいのに!」
リト……。
柔らかく俺の名前を呼ぶ、あの青い瞳ーーー。
「へへへ……」
「おーい?リト何笑ってんだ」
あのかっこいい人が俺の恋人なんだよ!
「顔が真っ赤だぞ?熱で焼けたか?」
「えへへ、そうかも!」
早く帰りたいなー!
「よう!何か分かったか?!」
「うん……あの人、みんなから好かれてないね。ちょっと可哀想だったよ」
「おめー!あんなやつに可哀想なんて!どう言う事だ!」
詰め寄られたけれど、俺は見てきた事をしっかり話した。
「あの人、きっと友達は魚だけだよ」
「……そらぁ……なんてぇか、気の毒ではあるな」
全員で顔を見合わせた。俺が可哀想って言った意味が分かって貰えたみたい。
「でもよー!あんな魔法で言う事聞かせてるから自業自得じゃねぇか?」
それは俺も思う。勝手に操られるのって気持ち悪いし、最低だと思う。
「うん。あと俺もここに居たくない。地上に帰りたい。待ってる人がいるんだ」
俺もだ!全員その辺りも一致した。
「それで見てもらいたいんだけど……」
ザックの掘った穴を皆んなに見せる。
「どこまで進んでるか分からないけれど、そのうち完成しそうな気がする。逃げる時あのイフリート様を連れて行くから、協力してください」
わぁ!っと歓声が上がった。
バレないようにお願いしますね!念を押しておく。
「分かった!でもあいつらほとんどこねぇから、大丈夫だよ」
それからせっかくなのでガラスについて色々意見を交換してみた。
「こう、ぷつぷつになるだろ?」
「不純物が多いんでしょうか?あとねりねりが少ないとか?」
「ねりねり……意味わかんねえ」
溶けたガラスの中に溶けにくい棒を突っ込む。
「こういい具合になるまでねりねり……」
「言ってる意味は分からないが何やってるかは分かる」
「うわー!俺ってば壊滅的な説明下手!」
そして俺達はガラスのキューブを作るのをやめた。
「こう、息をふーーーって」
「回すんだな?」
「そうそう」
ガラス吹きを教えている。息を長く均一に吐き出すから、慣れないと一部だけ膨らんで変な形になる。
「あー!」
「ヘッタクソ!」
工房に笑いが漏れるようになった。
「それでね?ごにょごにょ……」
「女性には贈り物ってことだな!」
「当たり!」
食事のワゴンを押してきて、置いていくだけのこの屋敷のメイドさんに声をかける。
「お姉さん、お姉さん。これ上げる」
「……」
人間風情が気安く声をかけるな!そんな顔をしていたが、キラキラ、キラキラするイヤリングをそっとお仕着せの上に着ているエプロンのポケットに押し込んだ。
にこっ!笑って
「ご飯いただきまーす!」
ワゴンを持ってたったかと逃げ出す。
「ちょっと!」
メイドさんはイヤリングを捨てずに持って帰った。
食事のたびに贈り物をする。メイドさんが2人いるのは知っていて、来るたびにプレゼントを上げる。
全部俺達の作品だ。ガラスのキューブ作りじゃどうしようもないけれど、ガラス細工やグラスなどの作り方を覚えておけば、戻った時役に立つ。
と言うか、俺の貰った給料の話をしたら、皆んな目の色が変わった。なら、覚えるしかないって。
ここの設備は素晴らしく、練習にはもってこいだ。
「でね、ギアナ様って言うんだけど」
「知ってるぜ!白虎だろう。白虎のギアナって言ったら武闘派の商人で有名だぞ。気に入らない相手は殴り飛ばす」
「嘘だー!あんなに優しいのに!」
リト……。
柔らかく俺の名前を呼ぶ、あの青い瞳ーーー。
「へへへ……」
「おーい?リト何笑ってんだ」
あのかっこいい人が俺の恋人なんだよ!
「顔が真っ赤だぞ?熱で焼けたか?」
「えへへ、そうかも!」
早く帰りたいなー!
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