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海へ
46 ギアナside 陸地にて
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行かせたくない行かせなくない。
「ふふふ。やめて下さいよ、くすぐったい」
リトの為に屋敷の一部を小さな工房に改築した。少し広めに作ったのだが、色々な物を置いてどんどん狭くなる。
休憩中のリトに抱きついてぐりぐりと頬擦りする。嫌がっていないのを良い事に、思う存分匂いをつけておく。これは俺のだ!誰にもやらない!
きっと獣人仲間がみたら、やりすぎだ!気持ち悪い!と冷たい目で見られるだろう!だが構うものか!
「リト……」
「なんですか?ギアナ様」
様はやめろと何度か言ったが
「これで落ち着いてしまったので……」
しょんぼりそう言われると、しばらくはそのままで良いと言うしかなかった。結婚したら何と呼んでくれるだろうか?
旦那様?あなた?ギアナって呼ぶだろうか?
「楽しみだ」
「?」
首を傾げるリトも可愛くて、またぐりぐりと頬擦りする。
そうやってリトにかまけていたから、じゃないぞ!跡継ぎ教育が遅れて、リトの出発に間に合わなかったのは……!
船の事故が多発していて、海を挟んだ国から物資が届かない事が多発していたんだ。
「……赤字になる程ではないが……」
気になる所だ。向こうとの取り引きはしばらく様子をみよう。
「マルス、この辺の取り引きは中止にしようと思う」
「海難事故ですね?分かりました。……リトさんの旅も海は避けた方が良いのでは?」
マルスはこの商会を譲るつもりの人間だ。元々、支店を出す時に任せようと思っていた男だったが、このフォレストーン商会を丸ごと譲る事にした。
リトと一緒に生きるには大きくなったフォレストーン商会は邪魔な存在だ。躍起になって成長させて、危ない橋も渡ったのも良い思い出になっている。
商会とリトを秤にかけたらリトの方が重かった、ただそれだけだ。
「確かにそう思ったが、外海ではなく陸に近い内海を行くだろう?難所が多い陸路で2日かけるより、海を半日で行った方がとな」
「確かにそうですね。今までの事故はみな、陸から遠い外海でしたからね」
マルスも頷いた。……後からになって悔やむが、それは大間違いだった訳だが。
ほとんどの事業や顔見せも済んでいる。実務も問題ないマルスは切れる人間だ。
ただ、俺より腕力は劣っているので、護衛はつけた方が良いだろう。
「信用できる護衛を側におけよ?」
「分かりました。ギアナ様くらい強い護衛がいれば良いのですが、高望みですね」
「違いない!」
そうしてリトは船に乗った。海は嫌いだ。商品も届かんし、色々な物を連れ去ってしまう。
「ギアナ様ー行ってきます」
そんな嫌な予感を払拭させてくれる笑顔が眩しくて目を細めた。可愛い可愛い俺のリト、多分、きっと俺のつがい。破棄したミアとの運命の次に繋がったつがいの糸はきっとリトだ。
今は細くて脆いガラスの糸。これから時を重ねて太く強くなって行くだろう。
早くお前を追いかけたいよ。少し前に別れたばかり、まだお前の顔が見える位置なのに。塩辛い風に乗って、お前の匂いも追えるのに。早く抱きしめたくて仕方がない。
「……よっぽど執着してるな、俺は」
「ギアナ様の愛は重くて粘着質で私でもドン引きです」
いい笑顔で一緒にリトを見送りに来たマルスは笑った。……それくらい肝が据わってないと古狸の商人ども相手に商売は出来ないからな!
だが、腹は立つ!足蹴にしてやろうと思った途端
「ギアナ様っ!あれ!!」
まだ陸から見える場所なのに、船が魔物に絡めとられている!
「く、クラーケンか?!なんで内海のこんな浅瀬に!!!」
船はギリギリ走行できる内海に深海の魔物クラーケンが現れるはずはない!
悲鳴が上がる。
「リト!!」
声は人間であるリトの耳には届かないだろう。
「リト!!!」
甲板にリトが小さく見える。クラーケンの足がリトに巻きついた!
「リトが!巻きつかれた!」
「なんですって?!誰か!冒険者!警備艇を!」
「リト!リトーーーー!」
どぼん!リトが海中に引き込まれる!リト!助けに!助けに行かないと!!
俺は海に飛び込もうとして、マルスに体を掴まれた。
「ギアナ様!あなた!泳げないでしょう!!ダメです!溺れたいのですか!」
「でも!リトが!リトが海に!!」
もうリトの姿は見えない。叫びながら海中に引き込まれる姿が目に焼き付いてしまっている。
「リト!リトーーーーーーーー!」
どんなに呼んでも返事は無かった。
「ふふふ。やめて下さいよ、くすぐったい」
リトの為に屋敷の一部を小さな工房に改築した。少し広めに作ったのだが、色々な物を置いてどんどん狭くなる。
休憩中のリトに抱きついてぐりぐりと頬擦りする。嫌がっていないのを良い事に、思う存分匂いをつけておく。これは俺のだ!誰にもやらない!
きっと獣人仲間がみたら、やりすぎだ!気持ち悪い!と冷たい目で見られるだろう!だが構うものか!
「リト……」
「なんですか?ギアナ様」
様はやめろと何度か言ったが
「これで落ち着いてしまったので……」
しょんぼりそう言われると、しばらくはそのままで良いと言うしかなかった。結婚したら何と呼んでくれるだろうか?
旦那様?あなた?ギアナって呼ぶだろうか?
「楽しみだ」
「?」
首を傾げるリトも可愛くて、またぐりぐりと頬擦りする。
そうやってリトにかまけていたから、じゃないぞ!跡継ぎ教育が遅れて、リトの出発に間に合わなかったのは……!
船の事故が多発していて、海を挟んだ国から物資が届かない事が多発していたんだ。
「……赤字になる程ではないが……」
気になる所だ。向こうとの取り引きはしばらく様子をみよう。
「マルス、この辺の取り引きは中止にしようと思う」
「海難事故ですね?分かりました。……リトさんの旅も海は避けた方が良いのでは?」
マルスはこの商会を譲るつもりの人間だ。元々、支店を出す時に任せようと思っていた男だったが、このフォレストーン商会を丸ごと譲る事にした。
リトと一緒に生きるには大きくなったフォレストーン商会は邪魔な存在だ。躍起になって成長させて、危ない橋も渡ったのも良い思い出になっている。
商会とリトを秤にかけたらリトの方が重かった、ただそれだけだ。
「確かにそう思ったが、外海ではなく陸に近い内海を行くだろう?難所が多い陸路で2日かけるより、海を半日で行った方がとな」
「確かにそうですね。今までの事故はみな、陸から遠い外海でしたからね」
マルスも頷いた。……後からになって悔やむが、それは大間違いだった訳だが。
ほとんどの事業や顔見せも済んでいる。実務も問題ないマルスは切れる人間だ。
ただ、俺より腕力は劣っているので、護衛はつけた方が良いだろう。
「信用できる護衛を側におけよ?」
「分かりました。ギアナ様くらい強い護衛がいれば良いのですが、高望みですね」
「違いない!」
そうしてリトは船に乗った。海は嫌いだ。商品も届かんし、色々な物を連れ去ってしまう。
「ギアナ様ー行ってきます」
そんな嫌な予感を払拭させてくれる笑顔が眩しくて目を細めた。可愛い可愛い俺のリト、多分、きっと俺のつがい。破棄したミアとの運命の次に繋がったつがいの糸はきっとリトだ。
今は細くて脆いガラスの糸。これから時を重ねて太く強くなって行くだろう。
早くお前を追いかけたいよ。少し前に別れたばかり、まだお前の顔が見える位置なのに。塩辛い風に乗って、お前の匂いも追えるのに。早く抱きしめたくて仕方がない。
「……よっぽど執着してるな、俺は」
「ギアナ様の愛は重くて粘着質で私でもドン引きです」
いい笑顔で一緒にリトを見送りに来たマルスは笑った。……それくらい肝が据わってないと古狸の商人ども相手に商売は出来ないからな!
だが、腹は立つ!足蹴にしてやろうと思った途端
「ギアナ様っ!あれ!!」
まだ陸から見える場所なのに、船が魔物に絡めとられている!
「く、クラーケンか?!なんで内海のこんな浅瀬に!!!」
船はギリギリ走行できる内海に深海の魔物クラーケンが現れるはずはない!
悲鳴が上がる。
「リト!!」
声は人間であるリトの耳には届かないだろう。
「リト!!!」
甲板にリトが小さく見える。クラーケンの足がリトに巻きついた!
「リトが!巻きつかれた!」
「なんですって?!誰か!冒険者!警備艇を!」
「リト!リトーーーー!」
どぼん!リトが海中に引き込まれる!リト!助けに!助けに行かないと!!
俺は海に飛び込もうとして、マルスに体を掴まれた。
「ギアナ様!あなた!泳げないでしょう!!ダメです!溺れたいのですか!」
「でも!リトが!リトが海に!!」
もうリトの姿は見えない。叫びながら海中に引き込まれる姿が目に焼き付いてしまっている。
「リト!リトーーーーーーーー!」
どんなに呼んでも返事は無かった。
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