【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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打倒!元実家!

67 笑ってパン屋さん

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「笑顔よ!困ったら笑ってごまかすの!」

 お母様による礼儀作法のレッスンが始まった。

「食事はマナーが多いわ。出かける前に食べて行ってお腹が空かないようにするのよ。お出かけ先ではあまり食べない方向が良いわ」

「はい!」

「どうせうちで作るパンの方が美味しいんだから!」

「はいっ!!!!」

「困ったら笑って!そして周りをみるのよ!真似すれば良い事が多いし、助けてくれる人もいるわ」

 もう物凄く実践的だ!!

「どう頑張っても私達が平民として暮らしていた事はみんなにわかる事。隠しても駄目。なら、少し馬鹿にされても仕方がないと開き直ります」

「へーみんはばかにされちゃうの?」

 分かったか分からないから判別つかない顔でもふんふんと聞いていたリンは手をあげた。
 お母様先生は悲しそうにため息をつく。

「貴族はそういう考えの人が多いのよ。正しくはないと思うのだけれども、それをやめさるにはなかなか時間がかかるわ」

「そうなんだ……」

「平民がいるから、貴族も貴族で居られるのだけれどもね。私達は忘れずにいなくてはいけないのよ」

 みんな頷く。覚えるのもとても沢山あったけれども、俺たち兄弟は打倒ディライト家を目標に頑張った。
 と、言うか俺が超特急で知識を詰め込まれた!ひぃ!

「学園は平民も数は少ないけれど通っているわ。でも大半が貴族よ。リトは頭が良いから勉強は問題無いけれど……」

「良いよ、手の事で虐められるって言うんでしょ?大丈夫。予想済みだし!」

 傷は塞がったけれど、傷跡は痛々しい。手袋でもしようかな?

「笑って誤魔化すから大丈夫!」

 困ったら笑うよ!お母様!


 俺はあっさり王都の学園への編入を認められた。平民でも母親はディライト家の令嬢、父親はルシリア家の令息で、更にエイムド王子のお気に入りであり……とある商人から少なくない金額の寄付があったのだと言う。

「金は使う場所で使わねばな?」

 にやりと笑っている。

 俺は真面目な生徒として、学園に通い本を読む。そして

「おーい!リト!手伝ってくれ!」

「はーい!」

 お昼休みは購買でパンを売る。

「右から2.3.1.2.4」

「毎度ありがとうございますー」

 一個100ギルのパンを言われた数だけ渡し、お金を貰う。ギアナ様の客捌きは物凄く早いからそれについていくのは必死だ。

「次、2.3.1.1、横入りはいかんな、後ろに並べんでくれ。その子に12個渡して。また使いっぱしりか?断れよ」

「はーい、頑張ってね?」

「ありがとう、リト君」

 そして何人買いに来てるのか分からないけれども、生徒の顔をほぼ覚えている。どうなってるの?

「公爵の子供でもこの購買じゃ差別しないつていったろ!……外じゃ別でもな!」

「分かってる……リト、金だ」

「はい、レイリー様」

 最初のうち、騒ぎを起こした公爵令息も今では列に並んでくれる。
 ギアナ様は誰に対しても絶対に差別しなかった。

「今来た子で売り切れだ!すまない」

 数もきちんと把握している。そしてりんごパンは今日もきれいさっぱり完売した。

「それにしても、購買にギアナ様が居たのを見た時はびっくりしましたよ!」

「ははっ!リトの制服が見たかった……だけじゃないけどな?」

 持ってきたパンの箱を片付けながらギアナ様と話をする。この後自分達用の昼ごはんを一緒に食べるのが楽しい。

「お母様のりんごパンを皆んなに食べてもらえる日が来るなんて……しかも売り切れちゃうくらい人気なんて!」

「売り切れる数しか持ってきてないんだ」

 ふふ、笑うギアナ様。あっれー?企んでます?何か。

「そして学園内でのパンの販売は今月でおしまい。何せ儲けがないからな!」

「えっ?!」

「無理やり学園にねじ込んだからなぁ。売り上げの半分は学園に入れてるんだ。材料と運搬考えたら赤字だぜ」

「ええっ?!」

 それでもニコニコ笑っている。

「来月から、学園の側にパン屋出すからな。そっちで稼ぐ」

 えーと、購買は今月でおしまいで、来月から、店舗?

「あ!宣伝ですか」

「そうだ。種類も増やすから楽しみにしてくれ!皆に広めて良いぞ」

「ふふ!俺が宣伝部長ですね」

「おう、あの栄養のある全粒粉とりんごパンと小さいケーキ風の3種類だけどな」

「りんごパンは普通、お腹が空く人用の全粒粉。女子用の小ちゃいやつ、ですね」

「ああ、そうだ。あとはたまに限定を出す」

 限定とか!流石ギアナ様、流石に購買意欲をくすぐるのが上手い!

「リトとこうして昼飯を食うのが今月までだと思うと少し寂しいんだがなぁ」

 大きな口で、サンドイッチをパクリと食べる。俺たちはルシリア叔父上の屋敷にまだ住まわせて貰ってるから、いつも顔を合わせてるんだけどね?!

「ふふ!大丈夫ですよ。俺が学園でちゃんとやれてるか心配だったんでしょ?」

 もう!過保護だよ!

「いや、でもな……リト、可愛いから。変な奴に言い寄られたら俺が困る」

「え!そんな事ないですよ!誰も俺になんか声かけて来ませんもの!」

 そ、そう言う心配?!なんだろう、ちょっと嬉しいな!




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