【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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打倒!元実家!

68 リトのクラスメイト

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「リトさん、来月からあのパン屋さん来なくなるんですって?」

「ええ、来月から学園の側でお店を出すそうです」

「では来月からはそちらで買えますのね?」

「はい、よろしくお願いします」

 クラスで隣に座っているリルベルト子爵令嬢に話しかけられた。彼女は俺が平民出なのを気にせず、最初から話してくれた……良い子だなぁ。

「あ、あのですね?リトさんはあのパン屋の男性と……その、お知り合いなんですよね?」

「ギアナ様ですか?お知り合いというか……まあ、知っています」

 一緒に住んでるしね。こういう時はお母様直伝笑って誤魔化せだ!

「リトさんと、あの方はお付き合……いえ!何でもないですわ!来月のパンが楽しみですねー」

「そうですね」

 にこにこと愛想良くしておけば問題ない!そういう事だ!俺はお母様の言葉を忠実に守っています!!





 私はレナ・リルベルト子爵令嬢です。

「リトと言います、よろしくお願いします」

 時期外れの転入生は平民の出でした。くすんだ金髪に緑の目をしています。怪我のせいで左手が少し不自由なのだと自分から言いました。

 平民風情が、この学園に通うなど。私もそう思いましたが、彼の血筋は素晴らしいらしく、現在も侯爵家に住んでいるそうです。

 それにしても

「よろしくお願いしますね」

 私の隣の席に決まった彼は、柔らかく笑って挨拶をしました。

 ま、眩しい!!!

 髪の色味も、瞳も普通の色に思えてそうではないんです。キラキラと輝く金に深みを与えるような落ち着いた色に、宝石を思わせる緑色。奥に輝きが見えるなんて不思議でしょうがありません!
 そして、大きくてぱっちりした目を、小ぶりな鼻と口が素晴らしいバランスで顔に配置されていて、唇はプルプルのピンク。お化粧していないでコレって何かの詐欺かしら?
 顔面から神に愛されてる感が迸っているんです!これで平民?!嘘でしょう?!?!
 隣に座っているだけで何かいい香りがしてくる様なのです!お花かしら??果物かしら??
 
「あの……?どうかしましたが?」

 はっ!あまりに顔を見過ぎてしまいましたわ!私とした事が!

「いえ、なんでもありませんわ。こちらこそよろしくお願いしますね」

「はい!」

 わぁーっと背後に花が咲いたような幻影が見えました!か、可愛いわ!

 平民のくせにリトさんはお勉強は良くできました。使っている学用品もみなセンスが良く……その、高そうな物ばかり。特にガラス製のつけペンが最高に可愛いくて……高そうでした。

「リトさん、そのペン。可愛らしいですわね?どこで売ってらっしゃるの?」

「あ、これ。俺……じゃない、私が作ったんですよ。良かったら差し上げましょうか?」

「えっ!い、良いのかしら?」

 リトさんはにっこり笑います。ひぃ!眩しい!

「ええ!もしかしたらそのうち売り出すかもしれません。その時是非お勧めして下さいね」

 リトさんは私が好きな薔薇の意匠のガラスペンと、大人の男性が似合いそうな黒字にキラキラと金が散らしてある豪華なペンを、きちんとした装丁のケースに入れてくれました。

「使ってもらえると俺……私も嬉しいです」

 また!眩しい!!

「ありがとう、リトさん。大切に使うわ」

 飾っておきたかったけれど、今も学園で使わせて貰ってるわ!

 私の頭の中から平民と言う単語が出てこなくなるのはすぐだった。
 
 リトさんはそこいらの男性とは違ってとても可愛らしいのよ?!


 
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