【本編完結】作られた悪役令息は断罪後の溺愛に微睡む。

鏑木 うりこ

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35 幕間 アランの体重は3倍にはならない

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「お芋美味しい~」

 そのままもいいけれど、チーズをかけるのも美味しいですよ、と料理長さんが出してくれたお芋のチーズ焼きをもぐもぐと頬張っている。

「アランが美味そうに食べていると何でも美味い」

「そ、そうでしょうか……?」

 旦那様は今まで食べ物の味が良く分からなかったそうです。いつも適当に出されたものを口に放り込んでいた、なんて言われてびっくりしてしまいます。

「……でも、なんだかわかります。私もアメシスと同じくらいの背の高さ、体重を維持するために食事は制限されていました」

 もっと食べたいと思ってもそれ以上出してもらえない事はたくさんあった。くるくる鳴るお腹を抱えて水を飲んでやり過ごしたりもした。食べなかったのと食べられなかったのの差はあるのかもしれないけれど。
 食事が楽しくないと言うのは人としてとても辛い事だと思う。

「今はとっても美味しいです」

「私もだよ」

 マナー違反なのだけれど、私と旦那様は小さめのテーブルに一緒につき、ごく近くで食事を楽しむ。旦那様はお肉をワインでいただくのが好きだし、わたしはお肉は少なめでお野菜を頂く事が多い。
 お義父様は何故かあまりご一緒しない。皆で食べた方が美味しいのに。

「ほら、アラン。口を開けて?」

「お、お行儀が悪いです、旦那様」

「誰も見ていないから良いだろう?」

「うう~……あーん」

「はい、あーん」

 なんて食べさせて貰ったり……恥ずかしいけれどとても楽しい食事です。

「それにしてもアランは最近食べる量が増えたね?」

「そうですか?食べても食べてもお腹が減るんですよね……も、もしかして私、太りました!?」

 そ、それは嫌です!そんな旦那様に嫌われたら困りますっ!そっとナイフとフォークをお皿に置くと旦那様はくすくす笑っていらっしゃいますが、私にとっては一大事ですよ!

「もっと食べる方が良いな。アランは今でも可愛いくて大好きだけれど、もう少しふくよかな方が嬉しいと我が儘を言ってもいいかい?」

「き、嫌ったりしませんか……?」

「アランが私の3倍くらい重くなっても嫌わないよ」

 それは無理です、旦那様!旦那様の3倍ってお芋を一体いくつ食べればいいんでしょう??

「だから、もっとお食べ?」

「……はいっ!」

 こうやってゆっくり食事をとり、お風呂に入った後にベッドで愛し合ってまた次の日を迎える。そんな日々の繰り返しが嬉しくて楽しくて私はすっかり油断をしていたのかもしれない。




ーーーーーーーー(*☻-☻*)ーーーーーーーー

 この回は短いのでもう一本行っときますね(*'▽'*)お芋ばっかり食べてる!






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