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9 この明るさは孤独の裏返し レイクリフ視点
「レイ殿ー」
「オル殿ー」
「……最初に聞いておきたのですが、お二人は良いのですか?フィフナーから……」
出発し、城から少し離れるとリュキッシュ王子とマシェッツ王子はフードを深くかぶっていながらも、酒場で盛り上がった時の態度そのままに話しかけてきた。流石に宰相の前では憮然として一言も発しなかったから、彼等も宰相のことは好いてはいないんだろうとすぐにわかった。
「ああ、追い出されたでござるな。構わんでござるよ、ちょうど旅などしてみたいと思っていたし」
「然り然り。なんとなく気になっていた母上もどうやら新しい男を見つけたらしくてな、完全に我らが邪魔になったようだ! 」
カカカ、と高笑いをしながら背中を反らすが、無理をしているようにも見えてしまう。捨てられた幼子が自分自身を守る為にわざと強気に振る舞っているようなそんな気がするのだ。そう感じたのは私と団長だけではなく、元スカーレット王女護衛騎士団全員だったらしく、口元を押さえ、目にうっすら涙をためるものすらいた。
「むっ赤備えの武田軍を泣かせてしまったぞ!? 」
「ははは、流石兄者やりおるのう! 」
「な、泣いてませんよ!? 」
「ぬははは」
双子王子は本当にすぐに騎士団員と仲良くなった。全員が最初に聞いていた噂は一体何だったのかと首を傾げるほどだった。
「お、俺達……女の子と上手く接することができなくて」
「母上も……結構苦手だった」
「ほお……」
つまり全員男のこの守護騎士団なら、こうして楽しく話せるという訳だったらしい。
「女子は理不尽だーー!」
「わかりますよー!」
長年、スカーレット王女のわがままに振り回されて来た我が団員達はすぐさま双子王子と打ち解けてしまった。
「なぁにが高級宿ですか!下町の宿にだって名物はいっぱいあって美味しいものがたくさんありますよーだ! 」
「おお!B級グルメでござるな!拙者達はそっちの方が舌に合うでござるよー。子牛のナントカー煮のオランジェソース香草添えっつーのより!」
「わかるわかる!しかもちっちゃーくて薄いのが3枚しか乗ってない奴! 」
「そうそう!その上、ご丁寧に食べられないように塩を山盛りにしたやつな!子牛君に謝れっての! 」
「ガハハ!兄者は子牛君に優しいでござるなー!」
笑いながら双子の話を皆で聞いていたがどんどん話の内容は暗くなって行く。この双子は本当に酷い生活を強いられていたようだった。
下町の料理の方が好きだと無邪気に笑うが、結局は王宮でろくな物を食べることが出来ずに下町へ逃げ出したんだろう。そしてそこの味が馴染み深くなるほど、二人は良く下町の料理を食べたということだ。
そこまで思い当たってしまい、場の空気をこれ以上悪くしないよう、隠れて涙する団員がちらほら見受けられる。成人男性の双子なのだが、背も低く、華奢な雰囲気のせいで何故か護ってやりたくなる。
「ではルゼンに着くまで色々楽しみましょうね」
「おー! 」
団長の一言に救われる。今まではどうしようもない、でもこれからは私達は双子の味方でいようと心に誓ったのだ。
「オル殿ー」
「……最初に聞いておきたのですが、お二人は良いのですか?フィフナーから……」
出発し、城から少し離れるとリュキッシュ王子とマシェッツ王子はフードを深くかぶっていながらも、酒場で盛り上がった時の態度そのままに話しかけてきた。流石に宰相の前では憮然として一言も発しなかったから、彼等も宰相のことは好いてはいないんだろうとすぐにわかった。
「ああ、追い出されたでござるな。構わんでござるよ、ちょうど旅などしてみたいと思っていたし」
「然り然り。なんとなく気になっていた母上もどうやら新しい男を見つけたらしくてな、完全に我らが邪魔になったようだ! 」
カカカ、と高笑いをしながら背中を反らすが、無理をしているようにも見えてしまう。捨てられた幼子が自分自身を守る為にわざと強気に振る舞っているようなそんな気がするのだ。そう感じたのは私と団長だけではなく、元スカーレット王女護衛騎士団全員だったらしく、口元を押さえ、目にうっすら涙をためるものすらいた。
「むっ赤備えの武田軍を泣かせてしまったぞ!? 」
「ははは、流石兄者やりおるのう! 」
「な、泣いてませんよ!? 」
「ぬははは」
双子王子は本当にすぐに騎士団員と仲良くなった。全員が最初に聞いていた噂は一体何だったのかと首を傾げるほどだった。
「お、俺達……女の子と上手く接することができなくて」
「母上も……結構苦手だった」
「ほお……」
つまり全員男のこの守護騎士団なら、こうして楽しく話せるという訳だったらしい。
「女子は理不尽だーー!」
「わかりますよー!」
長年、スカーレット王女のわがままに振り回されて来た我が団員達はすぐさま双子王子と打ち解けてしまった。
「なぁにが高級宿ですか!下町の宿にだって名物はいっぱいあって美味しいものがたくさんありますよーだ! 」
「おお!B級グルメでござるな!拙者達はそっちの方が舌に合うでござるよー。子牛のナントカー煮のオランジェソース香草添えっつーのより!」
「わかるわかる!しかもちっちゃーくて薄いのが3枚しか乗ってない奴! 」
「そうそう!その上、ご丁寧に食べられないように塩を山盛りにしたやつな!子牛君に謝れっての! 」
「ガハハ!兄者は子牛君に優しいでござるなー!」
笑いながら双子の話を皆で聞いていたがどんどん話の内容は暗くなって行く。この双子は本当に酷い生活を強いられていたようだった。
下町の料理の方が好きだと無邪気に笑うが、結局は王宮でろくな物を食べることが出来ずに下町へ逃げ出したんだろう。そしてそこの味が馴染み深くなるほど、二人は良く下町の料理を食べたということだ。
そこまで思い当たってしまい、場の空気をこれ以上悪くしないよう、隠れて涙する団員がちらほら見受けられる。成人男性の双子なのだが、背も低く、華奢な雰囲気のせいで何故か護ってやりたくなる。
「ではルゼンに着くまで色々楽しみましょうね」
「おー! 」
団長の一言に救われる。今まではどうしようもない、でもこれからは私達は双子の味方でいようと心に誓ったのだ。
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