【完結】双子の隠キャが踊ります?約束された幸せは幸せでした

鏑木 うりこ

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81 よ、妖怪がでたー!

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「あなたが無能王子ィ?フン、見てくれだけはまともってほんとね。しょうがないから結婚してあげるわ。そうしたら国に帰れるって言うし」
「ヒイッ!怖い無理ッ」

 スカーレット王女と対面した私は久しぶりに後ろへひっくり返って気を失った。スカーレット王女、いや赤女、いやいや、妖怪赤オバケがそこにいたんだから、マシェも多分見たらひっくり返るし、大体の人間は逃げるだろうな。
 だってそこには赤い髪で真っ赤なドレスを着たなんかブックブクの丸い肥えたモノがいたんだ。ちなみに肉に埋もれて目の色はわからなかった。


「来た当時は普通の女性の体型であったのだが……」

 気絶して救護室で目を覚ますと、横にイオリア兄上がいて心底気の毒そうな顔をしていた。

「なにせ、我が国はリュキ達からの入金が止まると即日財政難に見舞われてな。財務官がリュキ達からの振り込みが永遠に続くものと勘違いしておった節があるし、金は泉から湧くんだと思い込んでいたようにすら見えた」

 一週間も経たないうちに現金は消えたらしい。何してんだか……。

「城のほとんどの者が金策で走り回り、贅沢な暮らしはすぐにできなくなった。どうも宰相はスカーレット王女に贅沢な暮らしを約束していたそうでな、すぐに困難になった訳だ。買い物も碌にできない王女のストレス発散は食事に向けられた。しかし高級な食品を提供する事も出来ず……料理人やメイド達は苦肉の策としてとにかく甘いお菓子を用意したらしい。甘いものはストレスに効くからと」
「でも限度というものが……」

 ちなみにマシェも横で青い顔をしながら話を聞いている。どうやらちらっとあの妖怪を見てしまったらしい……目が合ったら呪い殺されるぞ!あれは間違いなく特級呪物!

「かの王女は非常に……手のかかる方であったらしく、呼び寄せた宰相が最初に見捨てたらしい。私の元に報告が来た時には既に遅かった。かの王女に殴られないために仕方がなくメイド達は甘くて脂っこいお菓子を言われるままにお持ちしていたらしい……そして短期間であんな風に」
「ある意味人体の神秘でござるな……」
「ああ……」

 人間ってああなれるんだ……とりあえず遠い目をするしかないけれど、あれをこのまま置いておくことはできないよねえ?まあ向こうの国の王様が早く会いたいって言ってたからお持ち帰り願うのは必要かもしれないなあ。

「いくら女性恐怖症が少し収まったとはいえあれは無理でござるよ、兄上。もう二度を顔を合わせないように取り計らってくだされ!」
「そうでござるよ、兄上。あんな兄者の横幅の5倍はありそうな巨躯。我らなど近寄ったらぺちゃんこにされてしまいますゆえ!」
「そんなことはないぞ、と言えないものなあ……」

 あの妖怪を輸送できる馬車はあるのでござろうか……リヤカーなんかに乗せて覆いもなしに運搬したら偶然見てしまった国民が恐怖で石になっちゃうかもしれないでござるよ!?それは可哀想でござる……テロでござろう!

「馬車の床板を限界まで強化して乗せることになりそうだが……持つだろうか」
「多分足掛け台は壊れるでありましょうぞ……」
「4頭立てで引っ張れるんでござろうか……引く動物は牛の方が……?」

 運び出すのも困難とか嫌になるでござるな!


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