【完結】双子の隠キャが踊ります?約束された幸せは幸せでした

鏑木 うりこ

文字の大きさ
90 / 121

91 女神様、本気出す

「ち、中央神殿で式を上げることは出来なくなりました……女神の神像が、真っ二つに割れました……」
「な、何ですって?!」

 女神様が本気を出して来た。

「西神殿の神像もです……この婚儀は執り行うのはおやめになった方が」
「お黙りっ」

 わ、私の責任じゃないよね?

「東神殿もです……」
「み、南もです」

 結局残ったのはなんか街外れの女神ではなくて男神を祀った小さな教会だった。

「う、ウチの神像も、あ、足元からひ、ヒビが!!」
「い、急いで執り行うのよ!!」

 中央神殿から馬車に押し込まれて、街外れへ連行される。急遽過ぎて参列者も少なかったのに、更に皆置いてきぼりにされる。もー結婚式やめようよってほぼ全員思ったよね。この中で式をしたいのはスカーレット王女と王様だけだと思う。

「あっー!神像が砕け散りましたー!」

 たくさんの女神達から詰め寄られ「やんのか?!おいっ!」って脅されまくって困って困って爆発四散した男神様の幻影が見えた気がする。カワイソス。

「ええい!もう良いわ、結婚証明書にサインするわよ!」

 ドスドスとスカーレット王女が結婚証明書に近づき、おしゃれなペンを手に取ると、ボギャン!と凄い音がしてペンは真っ二つに裂けた。

「え……?か、替えを!」

 ボギャッ!替えも瞬殺だ。女神様の強い意志を感じるッ!

「つ、次よ、次ー!」

 何本持ってこようが全部バッキバキのボッキボキに折れるペン。ここまで執念でおり続ける女神様も女神様だし、あるだけペンを持って来させる王女も王女だ……やっぱ女子って怖いかもしんない。唯一の身内として出席しているマシェも青い顔で砕けてゴミになっていく元ペンの山を見ている。

「お、王女様、この教会にある最後のペンです」
「およこしっ!」

 バッギャーーーン!スカーレット王女が手に取った途端、最高にいい音を立てて砕け散ったよ。ああ、最後の一本だから派手に行ったんだなあ……女神様の勝ち誇ったドヤ顔が見える気がする。

「お、王女様……これほどまでに神より拒絶された事象は知りえません……この婚儀は取りやめになさいませ」
「うるさいわねっ!私がやるといったらやるのよ!」

 もうスカーレット王女も徹底抗戦の構えだ。自身の相当過剰なお肉?脂肪?を既製品のウエディングドレスの中に無理やり押し込んでいる。王族のドレスともなれば基本はオーダーメイドなのだが、スカーレット王女は自分のサイズを相当過少申告していたせいで、届いたドレスは何もかも小さすぎた。お直しをするにも期間が短すぎるからもう凄いことになっている。
 あ、今の大声のせいで脇から裂けてきた……どうするんだろう、これ。

 そんなことが事細かに分かるのは私が隣に立たされているからである。そう、いたんです私。

「わ、私は結婚式なんて嫌です」
「申し訳ありません、リキュシュ王子……これも命令なのです」

 お城の騎士達に連行されてきちゃったんだよね。

「……ホント、どっちが姫かわからんな」
「こっちだろ……ありゃ姫じゃねえよ」

 ボソボソと現役フィフナー騎士達が囁き合っている……わ、私だって姫ではないですよ!?でもこの騎士達、大暴れするスカーレット王女から私を守ってくれてる。その辺は感謝だ。

「リキュシュ王子、私達はレイクリフの同期でね。多少しかお役に立てないと思いますができる範囲でお護りさせていただきます」

 何から守るというのだろう……?ここは一応神聖な教会なんだけれど……。

「キイイイ!!書けないじゃないのッ!もういいわっ血判でいい!結婚証明書に血でサインしなさいよ!」
「し、神聖なる神の御前でなんたることを!」
「うるさい!神なんていないわよっ!!」

 こ、こわいっ!わめき立てるスカーレット王女と私の間に騎士達が立ってくれた。た、確かにアレから護って貰えるならとても嬉しいです!血走った目のスカーレット王女がこっちにやってくる、こ、怖いー!助けて、レイ殿ー!
感想 63

あなたにおすすめの小説

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

別れたはずの元彼に口説かれています

水無月にいち
BL
 高三の佐倉天は一歳下の松橋和馬に一目惚れをして告白をする。お世話をするという条件の元、付き合えることになった。  なにかと世話を焼いていたが、和馬と距離が縮まらないことに焦っている。  キスを強請った以降和馬とギクシャクしてしまい、別れを告げる。  だが別れたのに和馬は何度も会いに来てーー?  「やっぱりアレがだめだった?」    アレってなに?  別れてから始まる二人の物語。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。