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34 朝比奈バンザーイこちょこちょ!

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「なー、でもザジィってずーっと部屋にいてどうやって金稼いでるの?座敷童子の力?」

「ちげーよ!ネット使ってる。FXとかアフィリとか。パソコン一台と頭がありゃ金なんぞはいってくるわ。しかし最近のアタリ方はキモい。なんかあったか?」

「朝比奈の武蔵さんのせいじゃないー?無職から会社勤めになったし、貧乏神から福の神になったから」

 何個あるか分からないピザの箱を拾いあげてりおさんはため息をついた。

「福の神に座敷童子だって!このアパート、ひでー!」

 あひゃひゃ!とクロが腹を抱えて笑っている。確かに福のインフレだと私も思うよ。

「ざー君の福を武蔵さんの貧乏で打ち消してたんだけどねー。もう諦めるわぁ!」

「俺!座敷童子じゃねーっ!そんな力を持ってねーし!」

 ザジィ君は不貞腐れたような顔をして横を向いた。なんか色々あったんだろうなぁ、知らんけど。

「まあどっちでも良いじゃないですか?虫の発生源にさえなってなきゃ良いです」

「そうね」「そうじゃな」「流石誠子、動じない」

 いや?!十分にびっくりしてますよ?!こんな濃い顔立ちの座敷童子が隣の隣に住んでたなんて。
 でも私はザジィ君になんの迷惑もかけられていない。なら、彼を悪く言う必要なんてこれっぽっちもない。

「……お前、良いやつだな。仮想コインやるよ」

「それ、暴落するやつだろ?いらん」

「へっ!する訳ないじゃん!俺が見込んだやつだぞ!5000円分入れといてやる!一年後には100倍だ!ざまーみろ!」

 いや、知らんし。何で偉そうなんだ?この子!

「クロ」

「おう!生意気なガキは締めるに限るなぁ!おい!朝比奈家伝来!バンザーイこちょこちょーーー」

「ぶぎゃーーーー!」

「おお!懐かしいのう!よく誠子にもやったもんじゃのう~」

 じーちゃんがゴミ袋を廊下に運び出しながら目を細めた。

「私はクロにやったんだよ!懐かしいー」

 そうだ、後で大福にもやってやろう!くくく!恐怖に打ち震えるがいい!両腕をホールドされながらこちょこちょされる恐怖をたんと味わうがいいさ!

「もう廊下にも出せないからこれくらいにしましょ!良い?ざー君。ゴミ捨てしないと定期的に誰か来て勝手に掃除するからね!あと、洗濯もしなさいよ!誠子ちゃんにその派手なマンゴー模様のパンツ、いつまで見せとくの?」

「あ、あの床に転がってるのパンツだったんだ?」

 黒字にオレンジのマンゴーがいっぱいついてる。

「うわーうわーうわーーー!」

 走って来てザジィ君はパンツを回収して行った。そこまで慌てる事ではないぞ、ザジィ君。いつもとーちゃんのパンツも洗って干してたし、最近はクロのパンツも目撃したしな。

「そういえばマンゴー余ってたな?食う?」

「今言う?!食わねーよ!馬鹿ーー!」

 ザジィ君は繊細だな?

「私は食すぞ、誠子よ」

 ポケットから久しぶりに存在を主張してくる大福に

「分かってる分かってる。後で良い物をやろう!」

「ほう!」

 朝比奈バンザーイこちょこちょ、大福ならば涙を流して喜んでくれる事だろう!!私は期待に胸を膨らませるのであった。

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