地味りんご令嬢は婚約破棄だと王子に弄ばれる【完結】

鏑木 うりこ

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「誰か、マルガレータ妃を部屋にでも閉じ込めておいてくれ。見張りをつけ、指示があるまで、絶対に出さないように」
「……分かりました」

 ルイフトと共に来たであろう騎士に両脇を抱えられマルガレータは連れて行かれる。

「ルイフト! 何を言っているの?! ルイフト!」
「黙ってくれ。もう二度と顔を見たくない」
「ルイフト!!」

 しばらくマルガレータの声は聞こえていたが、ルイフト王子はそれに応える事はなかった。

「アナスタシア、怪我は増えていないな?」
「……はい、どこも痛くありません」

 確認をし、次に侯爵夫人に声をかける。

「間に合わず申し訳ない、夫人。」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「医者に診てもらってください。何かあっては侯爵に顔向け出来ない」
「……分かりましたわ。アナスタシア、リンデール。今日の勉強会は中止にしましょう」
「分かりました」

 素直に頷くリンデールとアナスタシア。

「リンデール様もお怪我はありませんか?」
「え、ええ。私は大丈夫です」
「それは良かった。あなたに何かあったら私が兄上から殺されてしまいます」

 少し遅れて走ってくるスチュアートを見ながら、ルイフトは苦笑した。

「私の母がご迷惑をおかけしました。申し訳ない」

 深々と謝罪し、アナスタシアを部屋まで送った。

「少し、王妃様とお話をしてくる。あまり遅くならないと思うが、戻ったら話をしたいのだけれど、いいだろうか」

 萎れた、疲れた顔で言うものだから

「分かりました、お待ちしております」

 と、アナスタシアは答えるしかなかった。

 少しだけ落ち着かず、本を開いたり閉じたりしながら待っていると、扉がノックされる。返事をするとルイフトだった。

「迷惑をかけた、アナスタシア。もう来ないからそのあたりは安心して欲しい」
「もう来ないって。お母様なのですよ、ルイフト様。なぜ、そんなことをおっしゃるのですか?」
「あの人は、遠くの離宮に行くことになった。出立までは自室から一歩も出さない」

 まあ! 驚くアナスタシアだが、ルイフトは苦笑するだけだった。

「あの人は、だいぶ前から私の母ではなかった。努力もしないくせに、権力ばかり欲しがる哀れな人間になっていた」

 並べられる言葉は侮蔑だったが、辛そうだとアナスタシアは思う。

「ルイフト様……」
「傍にいては何をするかも分からない。そんな奴を王宮には置いておけない。遠くへやってくれと頼んだのは私なんだ」
「お母様、ですよね」
「母だからこそ許せないんだ。権力に近い立場、私利私欲に走って良い立場ではないのに、秩序を乱そうとすることがどうしても許せないんだ」
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