【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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8 村にも筋肉質の暗雲が伸びて来た

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「あれ?」
 
 気がつくとラセルとベッドの上で丸くなっていた。ラセルはすごく暖かくて離れがたいが……そうだ、体が小さな子狐なんだ、すぐに体力が尽きて眠くなるんだ。
 特に大きめの魔法を使った時は起きていられないくらい眠くなる。この前の魚をとった時は興奮してたけれど、食べ終わって気がついたら眠ってたっけな。子供の体だもの、当たり前だなぁ。

「うぅ~ん」

 ラセルが私を抱き寄せる。そうだな、ふわふわの暖かい毛玉がなくなったら起きちゃうかな? もう一眠り……二度寝なんていつぶりかな? ふふ。もうしばらくラセルの抱き枕の任務を全うしよう。子狐もこれが好きだったようだ。嬉しい嬉しい、大好きという気持ちが溢れてくる。子狐はよっぽどラセルに懐いていたようだ……そんな子狐の命とラセルと過ごす未来を図らずも奪ってしまった罪と償いはできる限りしていきたい。
 しかし、償いというものの、この生活は今までの王宮に仕え、軍を率いて戦争に赴く生活より健康的なのは因果なものだ。
 ……感謝することはない。私を殺す為に何人犠牲になってしまったかを考えるととても辛い気持ちになる。それなら、死んでくれと直接言ってくれれば良かったのにと心から思う。
 もう全て取り返しがつかないことだけれども。だから、せめて

「ラセル、元気に大きくなってね」

 この子は責任を持って育てるぞ! 体は小さくても知恵はある。子育てとか分からないがなんとかなるだろう! うん!
 そう思いながらまたうとうと寝てしまった。あれ……おかしいな??

「お腹空いたねぇ」
「きゅうん……」

 魚は干しておくことにしよう。腐敗防止のために本当に早目に塩が欲しくなって来た……。


 それなのになんだか生活に不穏な影が差し始めた。

「ここに居を構える事をお許し願いたい。簡単な魔法なら使えます」
「私もこの村に住みたい……イアン様の菩提を弔うに相応しい場所はここしかない」
「私もイアン様の死んだ場所に骨を埋めたい」

 ……しばらくしてごつい男どもがやって来た。非常に残念ながら、皆見覚えのある顔だった。
 軍で私の副官だった六剣のヘイズ。同じく副官の蒼雷のタム。財政をやり繰りしてくれた百頭ミニィ。情報収集のプロ、闇渡のクレヤボンス。まだまだいっぱいいる……嘘だろ。

「医療の心得もあります。怪我が治っていない方はみましょう」
「私は大工の心得が。壊れた家を直しますよ」

 それはありがたいけれど……この赤ん坊も合わせて50人もいない村に屈強な野郎が30人近くやって来て、村長さんは目を白黒させている、だよね。

「住む所も許可さえあれば勝手に建てます」
「行商が来るように手配してしまいました……勝手をして申し訳ない」

 生活が便利になりそうだが、あいつら一体何しに来たんだ?? まあ、面倒なことになりそうだ。なるべく顔を合わせないようにしよう。狭い村だがラセルの家は町外れ、何とかなるだろう。





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