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16 少し昔のことを思い出していた
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こうしてラセルの住む村はどんどん汗臭く……違うなんかよく分からないが私の元部下達によって変わっていった。
「いやぁこんな外れの村まで行商なんて考えたことなかったけど、ここには足を伸ばしたくなっちまう」
「て言うかここにイアン将軍の……おっと、これは口にしちゃいけなかったんだ。えーと例の可愛子ちゃんの霊廟があるんだろ? お参りさせてくれよ。イアン将軍……違った例の可愛子ちゃんには沢山世話になったからお礼を言うのが遅れちまった」
「ワシもあの人に一家全員助けられたからなぁ……なあ、ワシもう都会暮らしは嫌なんだ。この村にちいちゃい店を出させてくれないか? ワシも毎日可愛子ちゃんの墓に挨拶したいでのう」
私の部下じゃない人達も集まって来たようで村長さんがてんてこ舞いしている。
まあミニィ辺りが何とかしてくれるだろう。ミニィも部下持ちだったし、人の扱いは慣れているはずだ。
……まさかその人達も来てないよね? キョロキョロと辺りを見回すと、木の影や背の高い草の影に何者かの気配がある……えっと、クレヤボンスの部下がいるね……これ? 何人来たの、この村に……。
「と言うかこれだけの人数が辞めて、王都大丈夫なのかな?」
まず、私が軍部を殆ど仕切っていた。総司令とか、統括司令とか総大将とかよく分からない肩書きの貴族が私の上に沢山居たが、誰も戦場には出てこない。訓練にすら見学にこない人も殆どだ。
でも祝勝パレードと祝勝会には必ず煌びやかで豪華な絹の衣装に沢山の勲章をつけて、変なヒゲを撫でながら出席してしてたっけ。あんなぽよぽよしたお腹じゃ馬にも乗れないだろうなぁっていつも思ってた。
そしてほぼ全員、私に自分の娘を押し付けて来た。私より歳上の50歳出戻り2回の巨魁とか、10歳の子供まで……流石にお断りさせて貰ったが、全員口を揃えてこういうのでびっくりした。
「お前みたいな貧乏貴族の三男と結婚してやるんだありがたく思え! もちろん、結婚後は私は好きにさせて貰う。愛人を持つ事を認めろ」
声高にそう叫ぶのだ。10歳の子供まで私を見上げながら見下す、不思議でならない。全員きれいにお断りしたけれど、全員抗議して来たっけ。何でだろう?
私は結婚相手を探していないと公言しているのに、勝手に言って来て、勝手に宣言し、断られたら怒るって意味が分からない。
対応に疲れて来た頃、王太子殿下にこの話をポツリと漏らしたら、笑われたっけなぁ……あの頃からきっと嫌われていたんだろう。
「ほう……我が国の軍神ワイアード将軍にそのような非礼をとる貴族がいたとは」
「非礼という程では……」
あの時はそんなに嫌われてないとおもってたんだけどらまあでも物凄い笑顔だったことは印象に残ったな。
ぞくっと寒気のする、戦場で強敵と出会った時のような笑顔だった。
あの時の王太子殿下の顔を思い出すと恐怖で尻尾の毛が全部逆立って膨れ上がってしまった。怖かったぁ……。
「わっ! どうしたのイアン! 尻尾が膨れてる。なんか怖い事あったの?」
「ラセル~」
ちょっと恥ずかしいと思ったが、今の私は子狐イアン。ラセルの腕の中にぴょんと飛び込んだ。全然頼りないはずのラセルの腕の中なんだけど、ものすごく安心してしまうんだ。
「大丈夫? 僕がついててあげるからね?」
「うん」
ラセルに撫でられてすぐに尻尾は元に戻った。ああ、ラセルの腕の中は落ち着くし気持ち良いなぁ……何だか眠くなって来ちゃったよ。
「イアン? ありゃ寝ちゃった?」
そのまま私は寝てしまう。こんな無防備に寝ることなんてなかったのに、ラセルはとっても不思議な子供だと思う。ラセル、ずっと一緒にいてね。
「いやぁこんな外れの村まで行商なんて考えたことなかったけど、ここには足を伸ばしたくなっちまう」
「て言うかここにイアン将軍の……おっと、これは口にしちゃいけなかったんだ。えーと例の可愛子ちゃんの霊廟があるんだろ? お参りさせてくれよ。イアン将軍……違った例の可愛子ちゃんには沢山世話になったからお礼を言うのが遅れちまった」
「ワシもあの人に一家全員助けられたからなぁ……なあ、ワシもう都会暮らしは嫌なんだ。この村にちいちゃい店を出させてくれないか? ワシも毎日可愛子ちゃんの墓に挨拶したいでのう」
私の部下じゃない人達も集まって来たようで村長さんがてんてこ舞いしている。
まあミニィ辺りが何とかしてくれるだろう。ミニィも部下持ちだったし、人の扱いは慣れているはずだ。
……まさかその人達も来てないよね? キョロキョロと辺りを見回すと、木の影や背の高い草の影に何者かの気配がある……えっと、クレヤボンスの部下がいるね……これ? 何人来たの、この村に……。
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まず、私が軍部を殆ど仕切っていた。総司令とか、統括司令とか総大将とかよく分からない肩書きの貴族が私の上に沢山居たが、誰も戦場には出てこない。訓練にすら見学にこない人も殆どだ。
でも祝勝パレードと祝勝会には必ず煌びやかで豪華な絹の衣装に沢山の勲章をつけて、変なヒゲを撫でながら出席してしてたっけ。あんなぽよぽよしたお腹じゃ馬にも乗れないだろうなぁっていつも思ってた。
そしてほぼ全員、私に自分の娘を押し付けて来た。私より歳上の50歳出戻り2回の巨魁とか、10歳の子供まで……流石にお断りさせて貰ったが、全員口を揃えてこういうのでびっくりした。
「お前みたいな貧乏貴族の三男と結婚してやるんだありがたく思え! もちろん、結婚後は私は好きにさせて貰う。愛人を持つ事を認めろ」
声高にそう叫ぶのだ。10歳の子供まで私を見上げながら見下す、不思議でならない。全員きれいにお断りしたけれど、全員抗議して来たっけ。何でだろう?
私は結婚相手を探していないと公言しているのに、勝手に言って来て、勝手に宣言し、断られたら怒るって意味が分からない。
対応に疲れて来た頃、王太子殿下にこの話をポツリと漏らしたら、笑われたっけなぁ……あの頃からきっと嫌われていたんだろう。
「ほう……我が国の軍神ワイアード将軍にそのような非礼をとる貴族がいたとは」
「非礼という程では……」
あの時はそんなに嫌われてないとおもってたんだけどらまあでも物凄い笑顔だったことは印象に残ったな。
ぞくっと寒気のする、戦場で強敵と出会った時のような笑顔だった。
あの時の王太子殿下の顔を思い出すと恐怖で尻尾の毛が全部逆立って膨れ上がってしまった。怖かったぁ……。
「わっ! どうしたのイアン! 尻尾が膨れてる。なんか怖い事あったの?」
「ラセル~」
ちょっと恥ずかしいと思ったが、今の私は子狐イアン。ラセルの腕の中にぴょんと飛び込んだ。全然頼りないはずのラセルの腕の中なんだけど、ものすごく安心してしまうんだ。
「大丈夫? 僕がついててあげるからね?」
「うん」
ラセルに撫でられてすぐに尻尾は元に戻った。ああ、ラセルの腕の中は落ち着くし気持ち良いなぁ……何だか眠くなって来ちゃったよ。
「イアン? ありゃ寝ちゃった?」
そのまま私は寝てしまう。こんな無防備に寝ることなんてなかったのに、ラセルはとっても不思議な子供だと思う。ラセル、ずっと一緒にいてね。
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