【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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22 楽しい家庭はラセルと作るので

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 黒曜将軍はちょっと視線を逸らせて何故か知らないけれど少しだけ照れたようだった。

「そして俺達の間には愛にも似た何かかが」
「ヘイズ、斬れ」
「まかせろミニィ」
「なんだとテメェら!」
「黒曜様のお気持ちを考えろ! バーローめ!」

黒曜将軍の言葉は最後まで聞かず、ミニィがゴーサインを出し、ヘイズと部下達が剣を構える。それに間髪入れずに呼応して黒曜将軍の部下達も剣に手をかけた。

「愛」
「愛」
「生まれてない! 絶対ない!」

 やだっ! 怖いっ! ぼんっと恐怖で膨らんだ尻尾をタムが撫でてくれる。

「誰かれ優しくするからですよ」
「してないよ!!」

 また冤罪ですか?!

「愛なんて生まれてないだろ! 私はあんたのことを義義父上なんて呼ぶつもりは無いぞ!」
「照れなくても良いのだよ百頭。いや、ミニィ君と呼ぼうか……しかしそれももうない未来か……」

 語気が下がると黒曜将軍の部下達も剣の柄が降りる。

「折角の将軍の初恋が……」「初恋とは実らぬものとはいうがまさかこんな形で」「うう、おいたわしや。将軍……うう」

「初恋っつたぞ」「え、まじで?」「や、イアン様は確かにちょっと可愛い顔してたけどさ」「あ、でもイアン様となら付き合えるな」

「全員、首を飛ばしちゃおうかな?! 私の義父上だっ!」

「もうやだあ~」
「おーよしよし」

 私、泣いても良いよね? とにかく黒曜将軍は本当に私の墓参りだったようだ。

「こんな場所にイアン将軍の部下達が集まっているから何かあるのかと思ったが……あの首はやはり本物だったか」
「ええ……我らの敬愛するイアン・ワイアード将軍はもうこの世には……」

 ミニィがしんみり答え、ヘイズ達は下を向く。この世には子狐になってしがみついてますよーなんて絶対悟られるなよ?!

「悲しいな、俺も祈って良いだろう? 俺の「可愛子ちゃん」の安らかな眠りを」
「……貴方のではありませんが、どうぞ」

 ミニィとヘイズ達は岩から一歩下がる。小さく寂しく笑い黒曜将軍は岩の前で膝を折った。

「悲しいな、今やっとゆっくり話すことが出来るとは。いつも考えていた、もし同じ国に生まれていたならばと。我らは手を取り合い素晴らしい国と家庭を作れたのではないかと」

 家庭はごめん被りたいが、国は良い国になったかもしれない。兵士を大切にし、使い捨てのようにしない国。戦争はあまりしたくない。私と黒曜将軍が揃って立っていれば攻め立てるのを躊躇してくれるかもしれない。
 素晴らしいが夢物語だ。もう一度言う、家庭はごめん被りたい! 私はラセルと楽しく暮らすんだから。

「ふふ、そんなことを夢見てこんな物を書いてしまったんだ。割とたくさんの人に読まれているんだ……知らないだろうけど、あの世の暇つぶしにでもなれば嬉しい」

 そういって黒曜将軍は懐からゴソゴソと本を取り出して岩の前に置いた。え? あ、あれは……マルターン戦記II、リリ将軍の裏切り12巻・新刊じゃないか?!
 えっ?! 私が書いたって言った?! も、もしかしてあの本の作者って黒曜将軍なの?! 情報多すぎ!



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