【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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55 追われる

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 変わらないようでとても素晴らしい日々。朝一緒に目を覚まして、ご飯を笑いながら食べて顔を洗ったりする。ちょっと私の抜け毛が多いから布団を近くの木の枝にかけようとジタバタしているとミニィあたりがやってきてかけてくれる。
 そのまま剣の訓練をする日もあるし、薬草を探しに行く日もある。読み書きの練習をする日もあるし、お休みの日もある。その全部についていったり近くでみたり。時には子供の姿になって一緒に同じことをしてみたり。

「イアンが一番小さいなあ」
「きゅん? そうかなあ?」

 読み書きの勉強をしている小さなミニィの教室では私が一番年下扱いだ。狐の体はそんなに大きくないから背が低いせいなんだけれど。

「しょーがねぇなあ! 俺らが手伝ってやるよ」
「チビにゃ無理だもんなー」
「ぎゅっ!! 」

 村の子供達は私を一番年下にみたいようだ。きっと年上ぶりたい年頃なんだろうな。女の子は庇おうとしたりお世話を焼きたがる。もちろん無視はしないし、適度に嫌がりながらお世話されている。本当なら私が一番読み書きも出来るのだが、そうやって年下の子を守ってやる心意気も必要だもんな。上から下へ引き継いで行くものも沢山ある。
 上手く行かなかったことも沢山あるけど。

「さて、今日の勉強はここで終了です。明日から教室は少しお休みですよ。これから農作業が忙しくなるでしょう?おうちの手伝いを優先させて下さいね」
「はーい! ミニィせんせー!」

 子供達は嬉しそうに手を上げて返事を返す。最初は勉強が楽しくてたくさんの子供達が来ていたけれど、やはり勉強だ。じっと座っているのが苦手な子も多く、家の手伝いの方がいいとこなくなった子も少なくない。

「それでも基礎さえあれば後から覚え直す時も楽でしょうし」

 ミニィは1回目と2回目の教室で読み書き計算の考え方と基礎を叩き込んだ。学ぶ子供が減るのも想定済みだったし、大人達が子供の労力を必要にしているのも知っている。ずっとここに通えるのは村でも比較的余裕がある家の子供だけだった。

「僕達も明日から畑の手伝いしようね、イアン」
「うん、わかったよーラセル」

 そうラセルに返したがそれは出来ないことを知った。ミニィが声に出さずに唇の動きだけで伝えてくれた内容は急を要するものだったからだ。

王太子、軍、動く、この村に。

 とうとうその一報が入ってきてしまった。いつか来るだろうと思っていたが、ここまで来なかったのが幸いだったのか。

「あ、ねえねえラセル。もしさ、旅行行くならリゼレン先生の国と黒曜……ヨウルさんの国、どっちが行ってみたい?」
「リゼレン先生の国!」

 即答だった。黒曜将軍が泣こうが喚こうが、私たちはリゼレン大隊長の国へ逃げ込むことに決めた。

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