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56 思い出すのもよだれが出ちゃう美味しさ
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「わあ、すごーい! 」
私とラセルは藁をいっぱいに盛り上げた荷馬車の後ろに座って小さくなる村を見ていた。正確には馬車じゃなくてロバが引いている物凄く低速な荷車だ。
「むきゅん!」
「あはは! イアン。藁まみれだよー」
「えへへ」
私は山盛りの藁の中から顔を出す。ふかふかの藁の中に潜り込んで遊ぶのは楽しい! ではないのだ。
「ぼくもー!」
ぼふっとラセルは楽しそうに上に飛び乗る。でも藁があるのは上の方だけで下の方にはヘイズ達の武器や防具なんかが隠されているんだ。
「坊主達~あんまりはしゃぐと転げ落ちちまうぞ~」
「はーい」
この荷車の主である気の良さそうな老人は変装したクレヤボンスの部下だ。
そう、私達はこの村から逃げている途中なのだ。
「リゼレン先生の国ってどんなのなんだろうねー」
「んー分かんない!」
本当は知っている。リゼレン大隊長の属する国は代々女王が治める国で豊かで美しい国だ。大森林を抱え、そこからの恵みで潤っている。
つまり金持ちなのだ。兵士の教育にもお金をかけられるし、軍備もバッチリ。そんな国に何度も何度も何度も攻め込んで落としてこいなんていう無茶な注文を突きつけられ続けて来たんだよね、私達ってば。
そりゃもう頑張って情報戦から何から何まで駆使しても隣接する領の一つ二つ取れたくらいであとは無理だったけど。
あーあ。我が国の軍備費……いや、私にもう少しお金を回してくれたらなぁ……王都手前くらいまでは噛み付けたのになぁ。我が国の軍備費、現場に回る前に大半どっかで消えちゃってるから。
勲章をいっぱいつけて戦場になんて一度も来たことがないなんちゃら大総帥の家で戦勝祈願パーティとか頻繁にやってたけど、そん時我々は国境で野宿してたよね。パムの料理は美味しかったけどさ。
「あれ? あの時食べたのはシルバーブーブーの丸焼きだっけ……美味しかったなぁ~群れを見つけて全員で必死に捕まえたっけ」
「イアン、シルバーブーブーってなぁに?」
「美味しいまん丸なぶーぶー鳴く動物なんだけどさー、本当に美味しくてね」
「うわぁ~僕も食べたーい」
「うん、ラセルにも食べさせてあげたいなー」
藁の山の上からラセルが話しかけてきた。その途端イラッとした昔の話はすっかり忘れてしまって、ミニィやタム達と食べた楽しかった思い出に変わっていた。
「おお~シルバーブーブーの肉は美味しかったですのう~。あれは幻の珍獣ですから、3.4年に一度くらいしか見ませんのう」
「わぁ! 貴重なんだねぇ、皆で食べたいねぇ」
「うん! パムさんに、串焼きにしてもらって炙って食べたり、お鍋にしたり……ううーよだれ出そう」
あ、ほんとに何か垂れて来そう。
「うんー美味しいんだろうなぁ~」
「食べたいねー! 途中の森とかで見つけられたら良いのになぁ。見つけたら絶対捕まえちゃうのに!」
ラセルはまだ見ぬブーブーの味を想像して、私は思い出しながら空を見上げて涎を拭いた。
「……お昼ご飯、食べよっか」
「うん」
私も人型になり並んで座りながらサンドイッチを食べる。パムが物凄く大きくて野菜もお肉も挟んであるのを作ってくれたから、鞄から取り出すのも一苦労だった。
「おいしーね!」
「うん!」
足をぷらぷらさせながら、外で食べるご飯は美味しい。でもよく見るとあちこちから皆が見ているのがわかってちょっと食べ辛い。
ラセルと2人旅に見えて、ミニィやヘイズ達も影で護衛しながら一緒に移動してるんだよね、実は。
「シルバーブーブーか~、パム、保管庫に入ってないの?」
「やー流石に全部食べ切ってますよ。ブラックバイソンなら入ってましたけど、味が違う。串焼きならブーブー系の方が……」
「クレヤボンス、最近の目撃情報とかないか?」
「モスブーブーだけですね~。シルバーは本当ないです」
「シルバーブーブースキンってキラキラしててカワイイのよねーベルトにしたいわぁ」
「でもモスブーブーの背中に生えている豚茸は滋養に富んでますよ。少し欲しいですねぇ」
まあ、誰もが割とマイペースだ。割と必死で国軍から逃げてる途中のはずなんだけど、呑気だよねー私もか。
私とラセルは藁をいっぱいに盛り上げた荷馬車の後ろに座って小さくなる村を見ていた。正確には馬車じゃなくてロバが引いている物凄く低速な荷車だ。
「むきゅん!」
「あはは! イアン。藁まみれだよー」
「えへへ」
私は山盛りの藁の中から顔を出す。ふかふかの藁の中に潜り込んで遊ぶのは楽しい! ではないのだ。
「ぼくもー!」
ぼふっとラセルは楽しそうに上に飛び乗る。でも藁があるのは上の方だけで下の方にはヘイズ達の武器や防具なんかが隠されているんだ。
「坊主達~あんまりはしゃぐと転げ落ちちまうぞ~」
「はーい」
この荷車の主である気の良さそうな老人は変装したクレヤボンスの部下だ。
そう、私達はこの村から逃げている途中なのだ。
「リゼレン先生の国ってどんなのなんだろうねー」
「んー分かんない!」
本当は知っている。リゼレン大隊長の属する国は代々女王が治める国で豊かで美しい国だ。大森林を抱え、そこからの恵みで潤っている。
つまり金持ちなのだ。兵士の教育にもお金をかけられるし、軍備もバッチリ。そんな国に何度も何度も何度も攻め込んで落としてこいなんていう無茶な注文を突きつけられ続けて来たんだよね、私達ってば。
そりゃもう頑張って情報戦から何から何まで駆使しても隣接する領の一つ二つ取れたくらいであとは無理だったけど。
あーあ。我が国の軍備費……いや、私にもう少しお金を回してくれたらなぁ……王都手前くらいまでは噛み付けたのになぁ。我が国の軍備費、現場に回る前に大半どっかで消えちゃってるから。
勲章をいっぱいつけて戦場になんて一度も来たことがないなんちゃら大総帥の家で戦勝祈願パーティとか頻繁にやってたけど、そん時我々は国境で野宿してたよね。パムの料理は美味しかったけどさ。
「あれ? あの時食べたのはシルバーブーブーの丸焼きだっけ……美味しかったなぁ~群れを見つけて全員で必死に捕まえたっけ」
「イアン、シルバーブーブーってなぁに?」
「美味しいまん丸なぶーぶー鳴く動物なんだけどさー、本当に美味しくてね」
「うわぁ~僕も食べたーい」
「うん、ラセルにも食べさせてあげたいなー」
藁の山の上からラセルが話しかけてきた。その途端イラッとした昔の話はすっかり忘れてしまって、ミニィやタム達と食べた楽しかった思い出に変わっていた。
「おお~シルバーブーブーの肉は美味しかったですのう~。あれは幻の珍獣ですから、3.4年に一度くらいしか見ませんのう」
「わぁ! 貴重なんだねぇ、皆で食べたいねぇ」
「うん! パムさんに、串焼きにしてもらって炙って食べたり、お鍋にしたり……ううーよだれ出そう」
あ、ほんとに何か垂れて来そう。
「うんー美味しいんだろうなぁ~」
「食べたいねー! 途中の森とかで見つけられたら良いのになぁ。見つけたら絶対捕まえちゃうのに!」
ラセルはまだ見ぬブーブーの味を想像して、私は思い出しながら空を見上げて涎を拭いた。
「……お昼ご飯、食べよっか」
「うん」
私も人型になり並んで座りながらサンドイッチを食べる。パムが物凄く大きくて野菜もお肉も挟んであるのを作ってくれたから、鞄から取り出すのも一苦労だった。
「おいしーね!」
「うん!」
足をぷらぷらさせながら、外で食べるご飯は美味しい。でもよく見るとあちこちから皆が見ているのがわかってちょっと食べ辛い。
ラセルと2人旅に見えて、ミニィやヘイズ達も影で護衛しながら一緒に移動してるんだよね、実は。
「シルバーブーブーか~、パム、保管庫に入ってないの?」
「やー流石に全部食べ切ってますよ。ブラックバイソンなら入ってましたけど、味が違う。串焼きならブーブー系の方が……」
「クレヤボンス、最近の目撃情報とかないか?」
「モスブーブーだけですね~。シルバーは本当ないです」
「シルバーブーブースキンってキラキラしててカワイイのよねーベルトにしたいわぁ」
「でもモスブーブーの背中に生えている豚茸は滋養に富んでますよ。少し欲しいですねぇ」
まあ、誰もが割とマイペースだ。割と必死で国軍から逃げてる途中のはずなんだけど、呑気だよねー私もか。
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