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133 ドッキリ大成功
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「どーすんだ?ラセル。城はお前が消えたって大騒ぎのままなんだけど」
「あ、そういえば黙って出てきちゃったっけ……ぼく、あの短剣を返してもらいたいな」
ラセルは私達の顔を見て呟いた。城に戻ると面倒で厄介なことが起るのは分かり切っている。でも自分の物を置いていくのが嫌なら行くしかない。そしてラセル一人で行けば確実に捕まってしまうし、私達はそんなことはさせない。
「まあ、行くだけ行ってみようか」
「そうですね。我々はなんとかあの城の裏通路の地図を頭に入れましたし、あれが分かれば脱出も容易い……ヘイズさん、覚えました? 」
「は?何言ってんだミニィ。覚えてるワケねーだろ。俺らは海に行く旅の準備してるわ」
うん、それが良い。ラセルも含め全員がコクリと頷いた。
「私もこの国の市場で食材の仕入れをしていきますね」
「了解だよーパム。美味しいの仕入れてね」
「お任せください」
人には得意分野と不得意分野がある。二人の判断はこちらとしてもありがたいもので、何かあった時に素早く動くためには必要な事だ。そして私も狐の姿から子供の姿にポンっと変化した。
「わあ、煙まで出るの? 」
「それっぽいでしょう? その方が面白いからね」
「なるほどー! 」
魔法は時として見せることが必要だ。タムの大魔法だって実際当たれば痛いし死ぬけれど、見た目をより派手にしている。あれをみてこれは恐ろしい敵わない、逃げよう!と思ってくれる兵士がたくさんいて、それで命が救われることが多かった。
本当に命を奪うためなら静かにひっそり行った方が楽だから。
「そしてこの小っちゃい杖を持ってあるんだきゅん。そしたら目立つし無視されない、この国の奴らはこの杖も欲しがっているらしいだろう? 」
「いいの? 」
「いいきゅん、モノは使うべきだよ、ラセル」
大事にしまっておいていいことなんて全然ない。私はラセルより2.3歳小さな子供の姿……今回は狐の耳や尻尾も上手に隠せている……二人で手を繋いで王城の正面門へずんずん進んで行った。後ろからタムとミニィが保護者のようについてきてくれて、どこかにクレヤボンスとロイが潜んでいる。
正面門はとても大きな門で、両脇に大きな巨人の像が置かれている。その前に門番が立っていて、私達を不審な目で見ている。
「何か御用か? 」
門番はタムとミニィに話しかけ、私とラセルは目に入っていないようだった。まあ想定内だ。
「この子が忘れ物を取りにきまして。門を開けて欲しいのですが」
「そのような理由で開門はできん」
「だ、そうですよ」
ミニィが門番とやり取りをし、最後は私に投げてよこした。普通、至って普通のやり取りだ。でもここはハイランド城なんだ。
「ラセル。ある所にお馬鹿な王様がいました」
「ねえ、イアン。その王様の名前ってルセラって言わない? 」
大正解!
「そのお馬鹿な王様は会議をサボって良く下町でお酒をいっぱい飲み、酔っ払ってお城に帰って来る時が結構ありました」
「わあ、良くないね。会議はちゃんとやらないとダメだね」
うんうん、当時のルセラに聞かせてあげたいねえ!
「王様は街馬車にお金を払って王城まで連れて帰って貰っていましたが、正面門から入る時に手続きやら何からで待たされるのが凄くイヤになったんだそうです。それで駄々を捏ねました」
「わあ、なんて自分勝手な王様なんだろう……でもどんなことをしたの?」
突然話始めた私の昔話を門番もいつの間にか聞いていた。
「なんと、門が自分でも開けられるように細工をしてもらったのです。そして細工を頼まれた魔法使いも面白そうだし、皆驚くかな?って悪乗りをして作ってしまったそうです」
「頼まれた魔法使いさんもちょっとどうかなって感じだね」
「うん、ごめんよ」
それをやったのは私なんだけどさ。
「どうやったか?秘密の呪文を使ったのです! 」
「わあ、どんな呪文?イアン知ってるの? 」
「知っているよ、こんな呪文さ。【おお、門よ、この偉大なる酔っぱらいを通してください、このお馬鹿で偉大な酔っぱらいが自分の部屋で大いびきをかいて眠れるように、すぐさまこの扉を開け放ってくれますよう!】」
私が小さな杖を翳して、お馬鹿な呪文を唱える。するとまず最初に城内にある大きな兵士の石像が動き出すんだ。ここからじゃ見えないけれど、中からゴゴゴゴ、という地響きが聞こえてくるから何百年も動かなかった苔むした石像が動き出したんだと思う。小さくわあわあと叫ぶ声は近くにいた兵士か誰かだろうな、動くはずのない物が動けばそりゃびっくりするよね。
ガコン、ガコンと音がしてから、今度は正面門の両脇に立っていた石像が動き出す。
「へ、うわ、うわああああああっ」
「うわっ」
「なんて物を……」
「わあ~~~すご~~い」
「えへへっ」
やった~ミニィもタムもラセルも驚いたぞー!ずーっと昔に仕掛けていた悪戯が成功して私、凄く楽しい!勿論両脇にいた門番も腰を抜かしている。そうそう!これが見たかったんだよね!
石像たちはゆっくり動いて、扉の前に立ち、左右にひいて開けてくれる。中には正門の閂を外した石像がいて、大きな閂を抱えて立っていた。
「酔っ払って帰って来て、馬車から降りたくないからこんなの作ったの……? 」
「そうだよ!面白いでしょ? 」
「うんっ!!」
何百年も動いていないみたいだけど、ハイランド城は私とルセラが面白がって作ったびっくりからくり仕掛けがいっぱいのお城なんだよね。
「あ、そういえば黙って出てきちゃったっけ……ぼく、あの短剣を返してもらいたいな」
ラセルは私達の顔を見て呟いた。城に戻ると面倒で厄介なことが起るのは分かり切っている。でも自分の物を置いていくのが嫌なら行くしかない。そしてラセル一人で行けば確実に捕まってしまうし、私達はそんなことはさせない。
「まあ、行くだけ行ってみようか」
「そうですね。我々はなんとかあの城の裏通路の地図を頭に入れましたし、あれが分かれば脱出も容易い……ヘイズさん、覚えました? 」
「は?何言ってんだミニィ。覚えてるワケねーだろ。俺らは海に行く旅の準備してるわ」
うん、それが良い。ラセルも含め全員がコクリと頷いた。
「私もこの国の市場で食材の仕入れをしていきますね」
「了解だよーパム。美味しいの仕入れてね」
「お任せください」
人には得意分野と不得意分野がある。二人の判断はこちらとしてもありがたいもので、何かあった時に素早く動くためには必要な事だ。そして私も狐の姿から子供の姿にポンっと変化した。
「わあ、煙まで出るの? 」
「それっぽいでしょう? その方が面白いからね」
「なるほどー! 」
魔法は時として見せることが必要だ。タムの大魔法だって実際当たれば痛いし死ぬけれど、見た目をより派手にしている。あれをみてこれは恐ろしい敵わない、逃げよう!と思ってくれる兵士がたくさんいて、それで命が救われることが多かった。
本当に命を奪うためなら静かにひっそり行った方が楽だから。
「そしてこの小っちゃい杖を持ってあるんだきゅん。そしたら目立つし無視されない、この国の奴らはこの杖も欲しがっているらしいだろう? 」
「いいの? 」
「いいきゅん、モノは使うべきだよ、ラセル」
大事にしまっておいていいことなんて全然ない。私はラセルより2.3歳小さな子供の姿……今回は狐の耳や尻尾も上手に隠せている……二人で手を繋いで王城の正面門へずんずん進んで行った。後ろからタムとミニィが保護者のようについてきてくれて、どこかにクレヤボンスとロイが潜んでいる。
正面門はとても大きな門で、両脇に大きな巨人の像が置かれている。その前に門番が立っていて、私達を不審な目で見ている。
「何か御用か? 」
門番はタムとミニィに話しかけ、私とラセルは目に入っていないようだった。まあ想定内だ。
「この子が忘れ物を取りにきまして。門を開けて欲しいのですが」
「そのような理由で開門はできん」
「だ、そうですよ」
ミニィが門番とやり取りをし、最後は私に投げてよこした。普通、至って普通のやり取りだ。でもここはハイランド城なんだ。
「ラセル。ある所にお馬鹿な王様がいました」
「ねえ、イアン。その王様の名前ってルセラって言わない? 」
大正解!
「そのお馬鹿な王様は会議をサボって良く下町でお酒をいっぱい飲み、酔っ払ってお城に帰って来る時が結構ありました」
「わあ、良くないね。会議はちゃんとやらないとダメだね」
うんうん、当時のルセラに聞かせてあげたいねえ!
「王様は街馬車にお金を払って王城まで連れて帰って貰っていましたが、正面門から入る時に手続きやら何からで待たされるのが凄くイヤになったんだそうです。それで駄々を捏ねました」
「わあ、なんて自分勝手な王様なんだろう……でもどんなことをしたの?」
突然話始めた私の昔話を門番もいつの間にか聞いていた。
「なんと、門が自分でも開けられるように細工をしてもらったのです。そして細工を頼まれた魔法使いも面白そうだし、皆驚くかな?って悪乗りをして作ってしまったそうです」
「頼まれた魔法使いさんもちょっとどうかなって感じだね」
「うん、ごめんよ」
それをやったのは私なんだけどさ。
「どうやったか?秘密の呪文を使ったのです! 」
「わあ、どんな呪文?イアン知ってるの? 」
「知っているよ、こんな呪文さ。【おお、門よ、この偉大なる酔っぱらいを通してください、このお馬鹿で偉大な酔っぱらいが自分の部屋で大いびきをかいて眠れるように、すぐさまこの扉を開け放ってくれますよう!】」
私が小さな杖を翳して、お馬鹿な呪文を唱える。するとまず最初に城内にある大きな兵士の石像が動き出すんだ。ここからじゃ見えないけれど、中からゴゴゴゴ、という地響きが聞こえてくるから何百年も動かなかった苔むした石像が動き出したんだと思う。小さくわあわあと叫ぶ声は近くにいた兵士か誰かだろうな、動くはずのない物が動けばそりゃびっくりするよね。
ガコン、ガコンと音がしてから、今度は正面門の両脇に立っていた石像が動き出す。
「へ、うわ、うわああああああっ」
「うわっ」
「なんて物を……」
「わあ~~~すご~~い」
「えへへっ」
やった~ミニィもタムもラセルも驚いたぞー!ずーっと昔に仕掛けていた悪戯が成功して私、凄く楽しい!勿論両脇にいた門番も腰を抜かしている。そうそう!これが見たかったんだよね!
石像たちはゆっくり動いて、扉の前に立ち、左右にひいて開けてくれる。中には正門の閂を外した石像がいて、大きな閂を抱えて立っていた。
「酔っ払って帰って来て、馬車から降りたくないからこんなの作ったの……? 」
「そうだよ!面白いでしょ? 」
「うんっ!!」
何百年も動いていないみたいだけど、ハイランド城は私とルセラが面白がって作ったびっくりからくり仕掛けがいっぱいのお城なんだよね。
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