【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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135 以外と早いぞ、守護騎士隊

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「正面門の石像が動いただと!? あれは動くようなものではないはずだーー」

 奥の方から勢いよく騎士達が駆けてくる。びっくりさせようと思って動かしたけれどやっぱりまずかったようだ。足音から察して十二人って所だな。ミニィとタムが頷き合っていて、一人で六人対処する計算だね、助かる。
 でも怪我をさせるのも可哀想だから、穏便に済ませる方が良い。

「移動しようか」
「イアン、ぼくの短剣がどこにあるか分かる?」
「多分だけど、きっと偉い人が持ってる……だから」

 私は城の最上階を指差す。

「偉い人と煙は高い所が好きだから、あの辺にあるんじゃないかな?」

 タムとミニィが仲良く揃って噴き出した。

「ちょ、いや……確かにそうですが」
「分かる、分かる~国王とかホント上の方にいがちだよな!」

 怖がりな王様は地下とかね。とりあえず中間地点にいることはまずないし、この城の地下はまあいろんなものを埋め込んだからきっと上の方にいるはず。三階の執務室とか謁見室とか……宝物庫にはまだ入ってないと思うな、きっと。バタバタした隙をついてすっと取りに行きたかったけれど、騎士の中でも偉そうな人がずいっとラセルの前に現れてしまった。

「ラセル……様? ラセル様ではありませんか !突然いなくなって皆探しておりましたよ。一体今までどこに……そしてこいつらはなんですか! 怪しい奴らだ、捕まえろ! 」
「え? はっ副団長! 」

 どうやら彼は副団長だったらしく、部下の騎士達が慌ててこちらに向かってくる。うーん、面倒だなあ。やっちゃう?

「やめてください! この人達はぼくの友達です、全然怪しくないです! 」
「しかしラセル様。城内にこのような人間をうろつかせる訳にはいきません! 」
「短剣を返して貰ったらすぐ出て行きます! ぼくはぼくの短剣を返してもらいに来ただけなんです」
「短剣……? ラセル様の短剣ですか……? 」

 私達は辺りを伺いながらラセルの交渉を見守る。今、ミニィもタムも武器らしい武器は持っていない。いや、持っていないように見えるだけで二人は全身にたっぷり隠し武器を仕込んでいる。それに二人は剣より魔法の方が得意だから、補助装具として指にはめている何でもない指輪とか首から下げているネックレスの石とかはかなり強力な装備だ。私も小さくて短い杖しか持っていないから騎士達は危険度が少ないと思っているんだろう。
 彼等には魔法使いとの戦闘経験が少ないのかもしれない……いや、戦闘経験自体が少ないのかもしれないな。常に無茶な戦場に送り込まれ続けた私達と王城にいてここを守るための守護騎士達が一緒のはずがない。

「そう! ぼくのだよ。黒くて小さい……あれはぼくのだ」
「黒い短剣……もしや初代様の建国の剣でございますか……? 」
「違うよ、あれはイアンに貰ったお揃いの短剣なんだ。そんな凄い物じゃないよ、リンゴを剥くのにちょうど良いんだよ」

 そういえばルセラはあれで良くリンゴとか果物を剥いてたな~……うん。何に使ってもよく切れるだろうしね。

「り、りんご……」

 流石の副団長もちょっと言葉を失っていた。きっとこの国で初代国王ルセラは英雄的な扱いだったんだろうなあ、憧れてる人もいっぱいいたんだろうなあ~ただのヤンチャ坊主だったんだけどなぁ~時の流れって凄いな~。
 流石の私も苦笑してしまった。

 
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