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136 反動かもしれないよ
しおりを挟む「とにかく、皆さんにお顔を見せてあげてください。突然いなくなって心配していたんです」
「……分かったけれど、イアンとミニィさんとタムさんも一緒だよ? 」
「いえ!そのような素性のしれないものを城内にうろつかせる訳には参りません」
副団長は規律に厳しい男のようだ……緩すぎるより騎士としては立派だけれど、今の私達からすると中々厄介だった。
「皆一緒じゃないと嫌だ……じゃあお祖父ちゃん達を呼んできてよ、ここで待ってるから」
「いけません、このような者の前に前王陛下をお呼びするなど! 」
職務を全うしようという気概は良いのだけれど、これじゃあ埒が明かない。このままラセルとずっと言い合いをさせておくのも時間の無駄なので、横から口を挟む。
「騎士さん、良いからラセルのお祖父ちゃんと短剣……あとまあ、適当にいろんな人を連れて来てよ。これを見せればすぐ来ると思うから」
「これは……」
私は短くて黒い杖を副団長に差し出した。
「イアンいいの?それってあの時見つけた杖でしょう? 」
「うん、あの短剣とセットになっている杖だ……なんか賢者の使っていた杖って話だったね」
昔のおじいちゃんだったイアンの記憶を呼び覚ましてくれた杖。ルセラとの思い出の杖……かなり強い魔力が籠っていて、力を増幅させるのに便利だし軽くて持ちやすい杖だ。
「そ、それは……本当か?」
「本当かどうかお城の偉い人に見せると良いよ。ただ、急いでほしい……私達だって暇じゃないからね。気が変わったら出て行くよ」
「む……むぅ侵入者のくせに生意気な」
「その賢者の杖とやらを持って来た心優しい旅人だと捉えて欲しい所なんだけど?」
「むう……っ」
しかし、この副団長は見どころのある男だ。ラセルはともかくとして、子供の姿の私の話にもきちんと耳を傾ける誠実さを持ち合わせている。こう言う奴が守っている城は堅固で良い城が多い。クレヤボンスあたりが仕事がし難いーと嘆く奴だな。
「そこで大人しくしていろ!」
これが一番手っ取り早いだろうから、私達は城の正門付近で立って待つことになった。
「真面目ではありますが、いかんせん実力不足ですね」
「二人で制圧しようと思えば出来そうだな」
「クレヤボンスはどこかに潜ってるのか?」
タムとミニィは城の外観とやって来た騎士や兵士の人数、質などを見比べて意見の擦り合わせをしている……本当、頼りになるなぁ。
「ねね、イアン! さっきの石像を動かす奴教えてよ」
「うん、分かったきゅん!」
私はそこら辺に落ちていた石で地面に魔法陣を描き始める。
「こうやって丸の中に模様を描いて」
「こう?」
隣でラセルが変形した丸を描いてる。あれでも大丈夫かな?
「うんうん。そして命令言語を入れるんだ。例えば立てとか座れとか」
「ふむふむ?」
「それから魔法陣に魔力受信用突起を描いて」
「こう?」
「そうそう! そして魔力をどーんと流す」
「どーん!」
私とラセルの魔法陣を描いた地面近くがぐにゃぐにゃと波打つ。動かすものを指定しなかったからね!
「わぁ! おもしろーい」
「ね、簡単でしょ」
「うん!」
地面を柔らか指定にしたら気持ちよくお昼寝できそうだな?今度やってみようっと。
「また変な事してる……昔の記憶が蘇ってから義父上は何かタガが外れたのかなあ」
「良いじゃないか。今まであの人は自分を押さえつけ過ぎていた……その反動かもしれん。見ろよ、子供みたいにはしゃいで」
「実際見た目は子供ですしね」
何か二人が話してるけど、まあ大丈夫だろう。
「あはは! もっとやろうよ、イアン」
「うん!」
楽しければそれで良いんだから。
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