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153 ぼくのかんがえたさいきょうのべっそう
しおりを挟む「陛下からの依頼は、この街で暴動が起こりそうだからなんとかしろ、だったね。それで暴動の原因はこちらのリア伯爵の領地は儲からなくて、隣の公爵領は凄く儲かっている。だからこの二領の差を埋めれば暴動が起きないだろうって思うね」
「うん、だから公爵領があんまり儲からなくなったらいいのかな~って」
「それは不満が溜まるやり方なんだ。せっかくいっぱい儲かってるのに、やめろ~~って言われたらどう思う?」
「嫌かも……」
「うん。だから、公爵領を下げるより、こっちのリア伯爵の方を上げた方が良い。それで何かいい物がないかなって皆に領内を見てきてもらったらなんか凄いことが分かった」
「あの峰ですか?」
リゼレン君の質問にこくりと頷く。
「あの一見邪魔で、公爵領からの流通を阻害している峰はなんか凄い癒しと護りの効果があるみたいなんだ。生えてる草木にまで効果が表れるくらいのね。多分、あの辺で取れたお野菜は美味しいと思うし、動物のお肉も美味しいかもしれない。きっとパムがその辺見極めて名物料理を作ってくれると思う」
「わあ! 美味しいお料理! 人が食べに来るかも」
「そうだね。そして予想なんだけど、もしかしたらその効果は峰のこっち側……つまりリア伯爵領の方にしか力を発揮していないんじゃないかなって思うんだ」
「なぜです?」
「なんとなく、そんな気がする……裏付けはヘイズ達が行ってくれてるんだけど、あの辺に埋まってるヤバイもんってきっと女性だよ、優しい感じがしてこの領を守ろうって気配がするんだ。きっと何代……ううん、何十代か前、リア伯爵の祖先で強い力を持った女性が身を犠牲にして街を守ったんじゃないかな」
「……あとで伯爵に聞いてみましょう」
文献が残ってるかもしれないものね。リゼレン君も頷いた。
「だからあの峰のすそ野の辺りを大体的に買い取って別荘を作るんだ。お金持ち専用のね!」
「あっ!」
「公爵領は軍港があるだろう? だから軍人がお金をいっぱい落とす……でもね、海の荒くれ者が多いんだ。上流貴族には向かないよ」
「確かに戦となれば頼もしいですが、彼等はあちこちでいざこざも起こしてしまいます」
「うん。だからまず一等地を買い取って、マリアネットですら呼べるくらいの別荘を建てる。きっとすぐに話題になるよ」
「それなら買い取る必要などないのでは? リア伯爵に伝えて彼に豪華な別荘を作って貰えばいいのではないですか?」
「ぬるいっ! リゼレン君はぬるいっ! そんなぬるぬるな別荘に皇帝陛下をお呼びできる訳ないでしょっ」
「ぬる……」
私がちょっと声を荒げたもので、話し合いがついたミニィが笑いながらやって来た。
「クレヤボンスに「ぼくのかんがえたさいきょうのべっそう」を設計して貰いましょう。私達が知る限り、最強の暗殺者ですからね。彼が作れば相当手強い別荘になりますよ」
「それに私達も手を加えなきゃ。そんな見られちゃまずいカラクリをたくさん仕込むのに、リア伯爵に任せられないでしょ。だから買い取る必要があるの、お金ちょうだい」
「隠し扉作る!?」
「もちろん! 隠し通路は10通りくらい用意しないと駄目だね。フェイクもいれて20パターン位欲しいから地下も掘らなきゃいけないし」
「まっすぐ海に行けちゃう道とか!?」
「滑り台になってて滑っていけたら楽しいかもね」
「う、うわぁ~~! 凄い凄い!」
この辺りからラセルは楽しそうなアイディアを色々盛り込んできた。庭で釣りをしたいとか窓から手を伸ばしたらリンゴが食べられるとか。どれも面白そうだけれど、実現には難しそうなことだった。
「ほい」
「ん?」
天井からひらりと舞い落ちて来た紙には家の設計図が書いてあって、庭には池があるし、窓辺には木が植えてあって、リンゴの絵が描かれている。クレヤボンスがどうやら天井裏で設計図の原案を作っていたんだろうね。
「わーわー! こんな家、ぼく住んでみたいなあ!」
「もちろん試してみないといけないからね。作ったら住んでみよう」
「楽しみ!」
「もう少し書き込みましょう。私は庭に四阿なんかあると良いと思いますよ」
「わー! 良いね、ミニィさん。じゃあ小っちゃい道場もいる?」
「ラセルは休暇に修行しますか?」
「しない! 要らないや」
言い切るラセルにリゼレン君は眉毛を下げたけれど、言及はしなかった。クレヤボンスがくれた設計図はどんどん書き足され、色んなものが増えていく。
「お金、ちょうだいね!」
「あ……はい」
がっかり顔のリゼレン君に念押しして、言質を取ったぞ!やったね。
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