【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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173 春になれば一年生

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「でもよ、俺は学校行きたかったから、羨ましいぞ」
「タムも行けばいいじゃないか」
「俺が学生さん!? 冗談だろ、おっさんがガキの中に混じれるかって」
「でも学校には大きな図書館がついてるよ? タムの読みたい植物図鑑もあるんじゃない?」
「うっ……でも無理だって」

 タムが心底辛そうな顔で胸を押さえている……何してんの、やりたいことがあったら皆に相談しなさいっていってるのに。

「タム公、助教授枠押さえといたぞ」
「ぬがっ?! ほんとかクレヤボンス」
「結構楽だったぞぅ。助教授って給料安い雑用みたいなもんだから成り手が少ないってよ」
「図書館入り放題ならこっちが金を払いたいのに!」
「ミニィ坊にお金借りねぇとならんかもな」
「先に働いて来る!」

 走って行っちゃった……。まあミニィの手腕なら何年でも養ってくれそうだけど、タムは基本的に借りは作りたくないみたいだ。

「ほら、タムも行くから大丈夫だよ」
「イアンも行くでしょ?」
「私は行かなくて大丈夫……」
「大将、飛び級試験受かってますよ、良かったッスね。春からラセルと一緒に学園一年生ッス。制服買いましょうね」
「ひっ!?」

 やっぱりもう手続きとか終わらせてるのか、私に断りもなく!

「でもやっぱラセルは貴族とのアレコレがほとんどないんで、最初は大将がついてった方が良いですよ。過保護じゃねえと思います」
「う、うーん……確かにいろんなことをラセルに教えて来たけれど、貴族とのやり取りはほとんどしてないもんね」
「それより、ぼく。イアンと一緒に学校行きたい!」

 あっそれか~! ラセルの望みは私と一緒にいろんなことをしたいだったものね。おじいちゃんだった賢者イアンじゃ一緒に学校は通えなかっただろうしね。おじいちゃんイアンじゃどうがんばっても先生にしかなれないもの。

「よし、じゃあ私も春から新一年生として学校に行っちゃうぞ!」
「やった~!」
「良いっすね、大将! あ、でも油断して耳とか尻尾出さないようにしてくださいよ?」
「うっ……その辺は気を付ける」

 どうもその辺は苦手で油断するといつの間にか狐の恰好でお昼寝しているらしい。この辺におじいちゃんとおばあちゃんばっかりで、いつの間にか膝の上に乗せられていて、ぽかぽか陽だまりの中で寝てるんだよ、私……。何なのかな、あのお年寄りマジック……。

「あと、舌がたまに出てます」
「えっ!?」
「あ、ほんとだ~」

 指摘されて気が付いたけれど、ペロンと舌が出ていた……き、狐なら普通だろ?!

「うわっ!」
「あと寝てる時とか丸まってるし、結構狐っぽい行動してるから気をつけて下さいよぉ? 気がついたらご婦人の襟巻きになってた、なんて困りますよ」
「ひえっ! まだ皮を剥がれたくないんだけど?!」
「ラセル、大将のこと頼みますよ。この分だとすぐバレそうで怖いなぁ」
「うん! ぼく、気をつけてイアンの面倒みるよ!」

 あれ? もしかして私が一番頼りないのではないだろうか……?






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