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192 ごめんね、ミニィ
しおりを挟む「気が付いてしまったんですよ。私は結局義父上がいないと何もできないって」
「けふっ……どしたの? ミニィ」
暖かいお湯を張ったたらいの中にたくさんのシャボンと共に漬け込まれ、丁寧にミニィに洗われている。細くて長い器用な指にマッサージされるのはとても気持ちが良くてウトウトしていたら、突然ミニィが口を開いた。どうしたのかな?
「私は拾われたガキの頃から……私の行動原理はすべてあなたのためだった」
「ええ~~そうだっけ?」
流石にそれはないだろうと思ってちょっと過去のことを思い出してみた。
「あなたがきちんとご飯を食べないから簡単な料理もできるようになり、書類も片付けるのが下手だから手伝うようになり……仕事以外だらしないから私がなんとかしなきゃと思って」
「……お、お手数をおかけました」
「仕事でも無理な作戦を敢行しようとするから準備や下調べを手伝ったり、負傷兵に見舞金を出そうとするから財政をなんとかしたり」
「うう、返す言葉もございません」
「暗殺者が来てもぼけっとしてるから追い払うために剣を覚えたりしました」
「ぼ、ぼけっとなんかしてないよ!?」
「暗殺者と普通に酒を酌み交わすのはやめて欲しいと何度も思いました」
「な、何度もじゃないよ?? 10回くらいだよ!?」
「過去の手帳を見直しましょうか?」
「すみませんでした……」
私、ミニィに頼りっ切りだったかもしんない……凄く反省した。
「でもそれが心地よかったんです。あなたに頼られる……それはとても嬉しいなんです。絶対に私達を裏切らないあなた……イアン・ワイマール将軍はそんな人でしたから」
「裏切る意味がないもの……皆のこと、大好きだし」
「そう、その大好きな皆の中でも息子という特別な位置においてくれたあなたに私は……心酔し依存していたんでしょう……あなたの一番がラセルになって私は特別ではない存在になってしまった」
そんなことない、そう本心から思っているしそうだとは思うけれど、とりあえずミニィの話の続きを聞きたかった。
「まだそばにいられた時は良かった……でも姿が、気配が感じられないと途端に不安になり……私にはそれしか価値がない。その思いばかりが頭を回るんです」
「……リゼレン君は……?」
「色々慰めてくれましたよ、アイザックは。ああ見えて結構気が付く男です……散歩へ行ったり馬に乗ってみたり。でも駄目なんです、あなたを失って空いた穴をアイザックでは埋められなかったんです」
「ミニィ……」
確かに私達はとても長い間一緒にいた。10年以上苦しみも喜びも共に暮らしてきたけれど、ミニィの想いは私が思っているよりとても大きなものになっていたんだろうな。
頭の上に冷たいものがぴちょん、と落ちて来た。ミニィ、ミニィ、泣いているのかい?私の可愛い息子よ。ちょっと意地悪で最高に頭が良くて何でもできそうに見えてでも悪戯が大好きな私の可愛い息子。
「ふえええ……ちちうえぇ……もう私を置いて行かないでぇ」
「ミニィ……」
ごめんね、ミニィ。私はちゃんと君に友達ができるようにしてあげる責任があったのに、ずっと私のわがままに付き合わせてしまったんだね。私がいなくなってもちゃんと元気に暮らせるようにしないといけなかったのに、私は駄目な親だった……ごめん、ミニィ。
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