【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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216 パムは大変な物を盗んで行きました?

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「このパムは知っておるのですよ。女の子は砂糖菓子とクッキーと香りの良い紅茶でできているってことを」
「……パムさん……!」
「そして伴侶のいない女性は皆女の子なんです」
「パムさんっっ!」

 パムが一番最初にハートをガッチリキャッチしたのはなんと中等部のお姉様達だった。
 学園の厨房で週ニで短時間働き始めたパムは当然意地悪されて食材に触らせて貰えない……と、思いきやクッキーを大量に焼いていたのだ。しっとりだったり、ほろほろだったり、パリパリだったりする何種類あるか分からないクッキーをパムはげんなり青い顔でやってくるお姉様達に渡して行く。

「ウエストを絞っていらっしゃるのでしょう? 分かります。そんなに昼食は食べない方がよろしい。これから授業の合間合間にこのクッキーをお食べなさい。でも一度に食べるのは2枚だけ」
「え……そんなことをしたら……」
「腹持ちのいい穀物を使っております。お腹は多分鳴りませんよ」
「本当に?」
「試してみて」

 とても可愛い袋に入った10枚のクッキー。袋を縛るリボンも可愛らしく、最初に貰ったお姉様は注目の的だった。

「あ、あの……私にも貰えますか?」
「あなたにはこちらのパリパリした物を。でもお肉も足りていない顔色です、昼食も半分は召し上がって?」
「わ、分かりました」

 すぐに次のお姉様が声をかける。

「私は……」
「ダイエットのし過ぎですね。髪までツヤが有りません。こちらのしっとりクッキーを。植物の油を使っているので、太りにくいです」
「髪は最近悩んでいたので助かりますわ」

 そして厨房の奥にしまいこまれていた、女の子が好きそうな花の模様がついたティーセットまで引っ張り出してきている。

「そしてパムの魔法の砂糖菓子をスプーンに一つ乗せますよ。今日のお嬢様は昨日のお嬢様より賢く美しい。明日のお嬢様は今日よりもっと美しい」
「まあ、嬉しいわ」

 パムは料理のことなら饒舌なんだ! どこでそんなの覚えたんだろうって思うけど、料理の話が載ってれば恋愛小説も読むからきっとそこらへんなんだろうな。

「パムさん、僕達にはないの?」
「男子にはパム特製非常保存食成長期バージョンです!」
「うわっ! 出たーー!保存食ー!」

 軍にいる時いつも食べたー!

「アレに骨の成長の原料になるもの、筋肉を増やす助けになるもの、身長が伸びるようになるものをたくさん入れてギュギュギューーっと押し固めました!半分食べたら夕飯食べられませんよ」
「夕飯は……食べなくても……」

 量のご飯は相変わらず茹でた肉しか出てこないし。

「し、か、も!味が7種類!」
「うわーーっ!でも見た目が不味そう!」
「男子は見た目以上に中身を重要視しました!」

 女子用はキラキラ袋にリボン付きなのに、男子のは紙に包まれてるだけ……。

「どうせ食べたらくずかごにポイでしょ」

 そうだけどー!でもこの特製保存食美味しい……本当に背もぐんぐん伸びそう!

 こうして食堂は生徒で溢れるようになったのに、昼食のメニューは残り続け、パムはクッキーと保存食を焼き続け、生徒達は艶々するわ、背は伸びるわで大変だった。
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