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20 オスカーの婚約者
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「ご機嫌麗しゅう、オスカー様」
オスカーの婚約者であるシェリー・レミーテ侯爵令嬢はこの夜会に何も感じいる事はなかった。いつもと同じように婚約者のオスカーからドレスを送られて、迎えにきてもらいエスコートされ、会場に入る。そして一言二言会話をするとそれきり。目も合わせない。最低限の事はしたとオスカーは言ってしまう。
オスカーとの間に気持ちはない。ただ、第二王子の婚約者の地位は必要だったから、それでも良かった。シェリーには自分を大切にしてくれる秘密の恋人がいるから。
それでも、蔑ろにされるのは侯爵令嬢として我慢がならなかった。今日のオスカーはどこか楽しげでシェリーは不思議だった。
「オスカー様?何か良い事でも?」
思わずそう馬車の中で問いかけても
「いえ、とくには」
と、いつも通りであったのに。
会場に着くとシェリーからスッと離れて、ミシェールの隣に行ってしまう。オスカーとミシェールは仲の良い兄妹と周知の事実なのでいつもの事なのだが……その先がシェリーには許せそうもなかった。
「キャロライン!」
「ミシェール様」
ミシェール王女が呼びつけた令嬢を見て、シェリーは凍りついた。美しい令嬢であったが、顔は見た事はない。それよりもそのドレスだ。
予約が取れないと人気のマダム・グラッサのドレスである事も苛ついた。しかもそのドレスが王女と揃いであった事も苛ついた。更に
「良く似合っていますよ、キャロライン嬢」
「ありがとうございますわ、オスカー様。このように素敵なドレス、私には勿体のうございます」
「ふふ、良く似合っていますよ。ミシェールにねだられたとはいえ、贈って良かった」
自分といる時とは全く違う優しく華やかな笑顔を浮かべているオスカー。そしてドレスに使われた瑠璃色。そのドレスを贈ったと言うオスカー。
自分のオスカーから贈られたドレスは、どう見ても今、オスカーの隣で笑う令嬢のものより劣っていること。
「ああ、シェリー嬢」
近寄って来たシェリーに声をかけたのはオスカーだ。ミシェールと初めてみる令嬢は親しげに笑い小声で何か喋っている。シェリーなど、目に入っていない。
「わたくしもミシェール様にご挨拶をさせていただこうと思いまして」
「へえ、珍しいね」
顔はにこやかだが、オスカーの言葉は鋭い。これだけでシェリーとミシェールの関係はあまり良い物ではないと周囲に広まってしまう。
「ミシェール、シェリーが来たよ」
「キャロライン、少し待っててね。お兄様、おかまいなく。と、言いたい所ですがお久しぶりね、シェリー様。ご機嫌は如何かしら?」
「ありがとうございます、ミシェール様……あの宜しければそちらのお方をご紹介いただけませんか?」
後ろにいるキャロラインに鋭い眼差しを向けた。
オスカーの婚約者であるシェリー・レミーテ侯爵令嬢はこの夜会に何も感じいる事はなかった。いつもと同じように婚約者のオスカーからドレスを送られて、迎えにきてもらいエスコートされ、会場に入る。そして一言二言会話をするとそれきり。目も合わせない。最低限の事はしたとオスカーは言ってしまう。
オスカーとの間に気持ちはない。ただ、第二王子の婚約者の地位は必要だったから、それでも良かった。シェリーには自分を大切にしてくれる秘密の恋人がいるから。
それでも、蔑ろにされるのは侯爵令嬢として我慢がならなかった。今日のオスカーはどこか楽しげでシェリーは不思議だった。
「オスカー様?何か良い事でも?」
思わずそう馬車の中で問いかけても
「いえ、とくには」
と、いつも通りであったのに。
会場に着くとシェリーからスッと離れて、ミシェールの隣に行ってしまう。オスカーとミシェールは仲の良い兄妹と周知の事実なのでいつもの事なのだが……その先がシェリーには許せそうもなかった。
「キャロライン!」
「ミシェール様」
ミシェール王女が呼びつけた令嬢を見て、シェリーは凍りついた。美しい令嬢であったが、顔は見た事はない。それよりもそのドレスだ。
予約が取れないと人気のマダム・グラッサのドレスである事も苛ついた。しかもそのドレスが王女と揃いであった事も苛ついた。更に
「良く似合っていますよ、キャロライン嬢」
「ありがとうございますわ、オスカー様。このように素敵なドレス、私には勿体のうございます」
「ふふ、良く似合っていますよ。ミシェールにねだられたとはいえ、贈って良かった」
自分といる時とは全く違う優しく華やかな笑顔を浮かべているオスカー。そしてドレスに使われた瑠璃色。そのドレスを贈ったと言うオスカー。
自分のオスカーから贈られたドレスは、どう見ても今、オスカーの隣で笑う令嬢のものより劣っていること。
「ああ、シェリー嬢」
近寄って来たシェリーに声をかけたのはオスカーだ。ミシェールと初めてみる令嬢は親しげに笑い小声で何か喋っている。シェリーなど、目に入っていない。
「わたくしもミシェール様にご挨拶をさせていただこうと思いまして」
「へえ、珍しいね」
顔はにこやかだが、オスカーの言葉は鋭い。これだけでシェリーとミシェールの関係はあまり良い物ではないと周囲に広まってしまう。
「ミシェール、シェリーが来たよ」
「キャロライン、少し待っててね。お兄様、おかまいなく。と、言いたい所ですがお久しぶりね、シェリー様。ご機嫌は如何かしら?」
「ありがとうございます、ミシェール様……あの宜しければそちらのお方をご紹介いただけませんか?」
後ろにいるキャロラインに鋭い眼差しを向けた。
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