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リーインクール
42 イチコロなのね?
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「キャロライン!ルリルー!いるのか!!」
血相を変えて飛び込んできたオスカーは、とりあえずあんぐり口を開けた。
「姉上!ルリルー……え?」
ルーザも同じ顔になり
「一体二人とも……え?」
レイジットも同じ顔をして、後ろからミシェールが優雅に歩いてくる。
「やっぱり酷い目に合わされているのは襲撃したほうですわよね」
だって、私達はこの襲撃事件の概要を知っているのですから、いくらでも対策の立てようがあるんですもの。声には出さなかったが、ミシェールとキャロライン、ルリルーはこう言いたかった。
「まず、誘拐事件の計画者はマルコス子爵なのかしら?子爵の執事なのかしら?それともシェリー嬢かしら?」
この場にマルコス子爵はいない。キャロラインの鞭でぐるぐる巻きにされた執事とシェリーが部屋の隅に転がされていた。
「一体どうなって!お前ら!くそ!ちゃんと仕事しろよ!それでも獣人か!!」
「うなぁ~ん」「くうぅ……だめだぁ……」「あー……勘弁してください~姐さん~」「にゃ~ん」
「どうして猫系獣人で揃えちゃったんでしょうねえ?まあとても可愛いですけれど!」
にこにこと満足げにルリルーは4人の屈強な男たちを手玉に取っている。
「ル、ルリルー嬢……?」
「はーい?あれ?皆様お早いおつきでしたのね。まあでももう捕獲済みですから安心してくださいね!」
男たちは全員頭の上に獣の耳が生えて、尻尾のある獣人だった。しかも
「虎の獣人と獅子の獣人ですわね~。かわゆいですわー!私がもらって帰っても良いでしょう?!」
「しっかり面倒をみるなら良いですわよ」
「やったわー!」
捨て猫を拾う感覚でルリルーは4人の成人男性の獣人を貰って帰るつもりらしい。
「くそっ……なんでこんな、小娘にぃ……ああっ駄目だあぁ……!うにゃ~ん!」
全員、酔っぱらってゴロゴロと喉を鳴らしている。
「良かったですわー!ミュット君に会う前にこれを試せて!うーん!よく効きますね!流石、女神印のスーパーマタタビンA!開発者は私ですけどね~!フフッ」
「スーパーマタタビンAってすごいセンスだけれど、猫獣人はイチコロなのね。ソレ」
「はいー!ちょっと吸い込むだけで猫はこの通り!足も腰も立ちません!幸せ成分配合でもうたまりませんにゃ~!」
「く、悔しいが……何もできにゃ~い!うにゃ~ん!」
「ほーらほら!なでなでしましょうね~!キャー可愛いですわ!」
冷たい視線をまったく感じることなく、ルリルーは猫獣人たちを撫でまくっている。耳と尻尾がある以外は普通の男性と全く変わらない4人が小さなルリルーに可愛がられるさまは、中々理解しがたいものがある。
焦って駆け付けてきた男性たちは、取り替えず目の上をもみ、目をそらすことにした。
「そして、こっちはどうなっているのかな?」
「役に立てばと思って習っておきましたら、中々上手に使いこなせるものですわね!」
キャロラインが鞭で床をパシーンと打ち付けるものだから、こちらからも目を反らしたくなった。
「まあ!キャロライン。お上手ですわ」
「ありがとうございます、ミシェール様。鞭ならばスカートの下に隠しておいても目立ちませんし、なかなか便利でしたわ。ミシェール様も習ってみては?」
「ふふっそうしましょう」
にこにことと笑いあうミシェールとキャロライン。そしてご満悦なルリルーと裏腹に汚い床に転がされたままのシェリー達はとりあえず真っ青になって震えるしか出来ることがなかった。
血相を変えて飛び込んできたオスカーは、とりあえずあんぐり口を開けた。
「姉上!ルリルー……え?」
ルーザも同じ顔になり
「一体二人とも……え?」
レイジットも同じ顔をして、後ろからミシェールが優雅に歩いてくる。
「やっぱり酷い目に合わされているのは襲撃したほうですわよね」
だって、私達はこの襲撃事件の概要を知っているのですから、いくらでも対策の立てようがあるんですもの。声には出さなかったが、ミシェールとキャロライン、ルリルーはこう言いたかった。
「まず、誘拐事件の計画者はマルコス子爵なのかしら?子爵の執事なのかしら?それともシェリー嬢かしら?」
この場にマルコス子爵はいない。キャロラインの鞭でぐるぐる巻きにされた執事とシェリーが部屋の隅に転がされていた。
「一体どうなって!お前ら!くそ!ちゃんと仕事しろよ!それでも獣人か!!」
「うなぁ~ん」「くうぅ……だめだぁ……」「あー……勘弁してください~姐さん~」「にゃ~ん」
「どうして猫系獣人で揃えちゃったんでしょうねえ?まあとても可愛いですけれど!」
にこにこと満足げにルリルーは4人の屈強な男たちを手玉に取っている。
「ル、ルリルー嬢……?」
「はーい?あれ?皆様お早いおつきでしたのね。まあでももう捕獲済みですから安心してくださいね!」
男たちは全員頭の上に獣の耳が生えて、尻尾のある獣人だった。しかも
「虎の獣人と獅子の獣人ですわね~。かわゆいですわー!私がもらって帰っても良いでしょう?!」
「しっかり面倒をみるなら良いですわよ」
「やったわー!」
捨て猫を拾う感覚でルリルーは4人の成人男性の獣人を貰って帰るつもりらしい。
「くそっ……なんでこんな、小娘にぃ……ああっ駄目だあぁ……!うにゃ~ん!」
全員、酔っぱらってゴロゴロと喉を鳴らしている。
「良かったですわー!ミュット君に会う前にこれを試せて!うーん!よく効きますね!流石、女神印のスーパーマタタビンA!開発者は私ですけどね~!フフッ」
「スーパーマタタビンAってすごいセンスだけれど、猫獣人はイチコロなのね。ソレ」
「はいー!ちょっと吸い込むだけで猫はこの通り!足も腰も立ちません!幸せ成分配合でもうたまりませんにゃ~!」
「く、悔しいが……何もできにゃ~い!うにゃ~ん!」
「ほーらほら!なでなでしましょうね~!キャー可愛いですわ!」
冷たい視線をまったく感じることなく、ルリルーは猫獣人たちを撫でまくっている。耳と尻尾がある以外は普通の男性と全く変わらない4人が小さなルリルーに可愛がられるさまは、中々理解しがたいものがある。
焦って駆け付けてきた男性たちは、取り替えず目の上をもみ、目をそらすことにした。
「そして、こっちはどうなっているのかな?」
「役に立てばと思って習っておきましたら、中々上手に使いこなせるものですわね!」
キャロラインが鞭で床をパシーンと打ち付けるものだから、こちらからも目を反らしたくなった。
「まあ!キャロライン。お上手ですわ」
「ありがとうございます、ミシェール様。鞭ならばスカートの下に隠しておいても目立ちませんし、なかなか便利でしたわ。ミシェール様も習ってみては?」
「ふふっそうしましょう」
にこにことと笑いあうミシェールとキャロライン。そしてご満悦なルリルーと裏腹に汚い床に転がされたままのシェリー達はとりあえず真っ青になって震えるしか出来ることがなかった。
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