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2 野郎じゃなくて女郎ですかね

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「タト、出たぜ」

「おお、勇者の証」

 6歳の誕生日にコーディの左手の甲にそれっぽい紋章が出た。ガチでそれっぽい。ラノベの表紙で見たことある奴。

「あ、消えた」

「やっぱり明日神殿で選定の儀やってからって事だよ」

「フライング?」

「間違ったんじゃない?」

 俺達はドゲザをする女神様の幻が浮かんで消えたからそうだったんだろう。
 この世界の子供は6歳で全員神殿に行き、自分のスキルを授かる。と言うか、多分生まれ持ったスキルが開花するんだろうと思う。
 ま、女神様は早く勇者に魔王とか言う物を退治して欲しいみたいだから、ちょっとやっちゃったんだろうな。

「ま、明日な」

「うん、明日だよ」

「いやぁタトのお陰で多分俺、6歳にしてはすげー強いと思う!」

「コーディさ、何で自分から勇者になりたいって言ったのにサボるかな?俺が言わなきゃ練習しなかっただろ?」

 コーディのサボり癖は酷かった。その尻を叩いて毎日走り込みをさせたり、剣を振らせたりしたのは俺だ。

「コーディは長男なんだから、農家の息子は農家になるんだ。剣なんて振って勇者ごっこはやめろ!」

 と、父さんにいつも怒られたけれど

「俺は勇者になる!」

「父さんのあとを継ぐのは俺だから大丈夫だ」

 と、二人がかりで説得もした。明日の選定でそれが正しいって証明されるだろう。俺はなんのスキルがつくかな?農家かな……?

 俺達は並んだベッドでそのままぐっすり眠り、次の日に神殿へ出かける。


「勇者です!勇者が現れました!!」

「へへっ」

 ま、妥当だが……。

「タト君、君のスキルは「家庭菜園士」です」

「は?」

「だから「家庭菜園士」と出ました。農業家でもなく、「家庭菜園士」です」

「は?!?!」

 意味が、意味が分からない、あのクソ女神、よく分からないスキル寄越してんじゃねーよ!!

 ともかく、コーディは勇者になり人々に囲まれ祝福され、俺は意味の分からんスキルを貰い姉さんのルーミィに

「きっとウチでなら役に立つよ?庭に野菜でも植えてみよっか?」

 と、慰められていた……。因みに姉のルーミィは光魔法1でヒールが1日3回使える。このお陰で俺達は怪我をしても治して貰えたし、村でも重宝されている。

「うん……」

 コーディが皆に祭り上げられる事は分かってけど、これは酷すぎるだろう!

 勇者誕生に湧く村はお祭りになり、俺はその騒ぎを背中で聞きながら

「あの野郎、いや女神だからあの女郎めろうか??」

 と、家庭菜園の初歩中の初歩、マルハッカ大根を泣きながら庭の隅に植えていた。


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