4 / 4
4
しおりを挟む
「アマリエ!一体何が……打ち合わせと全然違う……うっベルローズ!」
「ごきげんよう、ジョルジュ様」
「……ッチ」
舌打ちされたわ、仕方がない。私はこのジョルジュ・ルワイト公爵令息に蛇蝎の如く嫌われているからね。勿論私も良い印象はない。何せこのジョルジュこそが小説でお姉様の味方で、私とウェルズ様を断罪して、処刑に導く男なのだから!
小説ではあの後ウェルズ様が私との婚約を発表。
そしてジョルジュが殿下のアホ発言と私のやらかしをつらつらと述べて断罪。本格的取り調べ後、ウェルズ様は廃嫡の上、幽閉され、我が公爵家はお取り潰しで、お姉様はジョルジュと婚約、結婚をし幸せに暮らすのだ。
「あ、あの、ジョルジュ様……ベルローズが!」
「……ああ、フラベル侯爵と結婚するんだってな……どうして」
「ウェルズ殿下はアホだからですわ。あんな沈むのが確定の泥船に誰が乗りますか。お断りします。それならハンサムでお金持ちのフラベル侯爵の所に参ります。あの人ロリコン気味ですから可愛がってもらえそうですし?」
廊下からバターン!と人間が倒れる音が二回した。お母様とお父様ね。あ、そう言えばまだフラベル侯爵の話をしていなかったわ。
「……アマリエ……ベルローズはどうしたんだ?悪い物を食べたのか?頭を打ったのか?」
「中身が変わったと、本人は言っておりますが……」
そうよ、中身が変わったのよ。
「ルワイト公爵令息の言い分ももっともですが、私も言いたいことがあります、発言してもよろしくて?」
「……なんだ、言ってみろ」
では、読者から言いたいことを一発。
「アマリエお姉様が好きなら最初からそう言うべきですわ。策を弄してあーだーこーだするより、好きだ、結婚してくれと何故申し込まないのです?うざったいわ。さっさとしなさいよ!」
「はぁ!?な、なぜそのことを……」
「あんたがさっさと言わないから小説が10巻以上伸びんのよ!お姉様がパプリー頭と婚約する前から好きだったんでしょう!?言っとくけど、私は殿下と婚約はしませんからね。慌てて今頃お姉様を婚約者の席に戻そうとしている奴らがいるかもしれないんですからね!しっかりしたほうがいいですわよ!」
「お、おまっ馬鹿ローズ!なんてこと!」
「羨ましそうにお姉様を見てるからよ!みんな気が付いてんの!」
このジョルジュ・ルワイト。本当に最後までアマリスに本音を言わない。今回も仕方がなしに婚約をしようみたいな流れになって、小説が長引く長引く。あーもーさっさと結ばれろよ!と何度も思ったことか!
「えっ……ジョルジュ様……本当なの……?嬉しい」
「え、っあの……アマリエ……」
お姉様だって初恋がジョルジュなのよ。それなのにあのパプリー頭殿下が横から持ってくんだもん。読者としてはやってられんぞ!だったわけ。
「やったぜ、これで幸せ一直線~!」
こうしてその場でお姉様とジョルジュ様はおたがいの気持ちを確かめ合い、婚約を結んでしまいます。勿論後からウェルズ殿下の婚約者に戻って欲しいと何度も打診されましたが
「あのような公衆の面前で婚約破棄を叫ばれたのに……無理です」
と、突っぱねましたし、私も
「私のようなものでは王子妃は務まりません!勘弁してくださいませ!」
と、固辞した。勿論フラベル侯爵と婚約を結び、素早くフラベル様と結婚してしまいましたの。ホホホ。3年前に病気で奥様を亡くしてしまったフラベル様と奥様の忘れ形見のランベルト君6歳は両手を挙げて歓迎してくれたので仲良く暮らしていますよ。
「ウチの跡取りがいないではないか……」
「遠縁から来ていただけばいいでしょ!ライオネルなんていいんじゃない?」
「……来てくれるかなあ」
普通来るわよ、ライオネルは3男だもん、当主になれるんだから飛んでくるわよ。話を振ったらホントに飛んできたみたいだけどね。あいつ魔術使えたんだ。
お姉様もジョルジュとラブラブしちゃっていい感じにルワイト家を盛り立てて行くと思うの。ぶっちゃけあの殿下と結婚したって何にもいいことなかったと思うんだよね。
だって殿下ったら次の婚約者が決まらずに、あわてているみたいだし。そりゃそうよね、婚約者を裏切って訳の分からない断罪をして、その妹を次の婚約者に据えようとする人間はちょっと信じられないわ。
……そうさせたのは私だったけど……。ゴメン。でもあのパプリー頭じゃいつかやらかすと思うのよ。
「はあ、ホント危ない所だったわ」
あのままウェルズ殿下の婚約者になっていたら、ジョルジュの野郎に断罪返しをされて、平民落ちだったのよ。
「どうしたの?ベルお母様?」
「何でもないわよ、ランベルト君!さ、中でおやつにしましょ!」
「うん!」
二人で手を繋いで散歩から帰ってくると皆にこにこと迎え入れてくれます。あーよかった、ホント!フラベル家はお金もあるし、こうやってのんびり暮らしていけるなんて最高だわ。平民じゃ使用人なんて雇えないもんね。
こうして私はギリギリでざまあを回避し、幸せに暮らすことが出来ましたとさ!良かった良かった。おしまい!
「ごきげんよう、ジョルジュ様」
「……ッチ」
舌打ちされたわ、仕方がない。私はこのジョルジュ・ルワイト公爵令息に蛇蝎の如く嫌われているからね。勿論私も良い印象はない。何せこのジョルジュこそが小説でお姉様の味方で、私とウェルズ様を断罪して、処刑に導く男なのだから!
小説ではあの後ウェルズ様が私との婚約を発表。
そしてジョルジュが殿下のアホ発言と私のやらかしをつらつらと述べて断罪。本格的取り調べ後、ウェルズ様は廃嫡の上、幽閉され、我が公爵家はお取り潰しで、お姉様はジョルジュと婚約、結婚をし幸せに暮らすのだ。
「あ、あの、ジョルジュ様……ベルローズが!」
「……ああ、フラベル侯爵と結婚するんだってな……どうして」
「ウェルズ殿下はアホだからですわ。あんな沈むのが確定の泥船に誰が乗りますか。お断りします。それならハンサムでお金持ちのフラベル侯爵の所に参ります。あの人ロリコン気味ですから可愛がってもらえそうですし?」
廊下からバターン!と人間が倒れる音が二回した。お母様とお父様ね。あ、そう言えばまだフラベル侯爵の話をしていなかったわ。
「……アマリエ……ベルローズはどうしたんだ?悪い物を食べたのか?頭を打ったのか?」
「中身が変わったと、本人は言っておりますが……」
そうよ、中身が変わったのよ。
「ルワイト公爵令息の言い分ももっともですが、私も言いたいことがあります、発言してもよろしくて?」
「……なんだ、言ってみろ」
では、読者から言いたいことを一発。
「アマリエお姉様が好きなら最初からそう言うべきですわ。策を弄してあーだーこーだするより、好きだ、結婚してくれと何故申し込まないのです?うざったいわ。さっさとしなさいよ!」
「はぁ!?な、なぜそのことを……」
「あんたがさっさと言わないから小説が10巻以上伸びんのよ!お姉様がパプリー頭と婚約する前から好きだったんでしょう!?言っとくけど、私は殿下と婚約はしませんからね。慌てて今頃お姉様を婚約者の席に戻そうとしている奴らがいるかもしれないんですからね!しっかりしたほうがいいですわよ!」
「お、おまっ馬鹿ローズ!なんてこと!」
「羨ましそうにお姉様を見てるからよ!みんな気が付いてんの!」
このジョルジュ・ルワイト。本当に最後までアマリスに本音を言わない。今回も仕方がなしに婚約をしようみたいな流れになって、小説が長引く長引く。あーもーさっさと結ばれろよ!と何度も思ったことか!
「えっ……ジョルジュ様……本当なの……?嬉しい」
「え、っあの……アマリエ……」
お姉様だって初恋がジョルジュなのよ。それなのにあのパプリー頭殿下が横から持ってくんだもん。読者としてはやってられんぞ!だったわけ。
「やったぜ、これで幸せ一直線~!」
こうしてその場でお姉様とジョルジュ様はおたがいの気持ちを確かめ合い、婚約を結んでしまいます。勿論後からウェルズ殿下の婚約者に戻って欲しいと何度も打診されましたが
「あのような公衆の面前で婚約破棄を叫ばれたのに……無理です」
と、突っぱねましたし、私も
「私のようなものでは王子妃は務まりません!勘弁してくださいませ!」
と、固辞した。勿論フラベル侯爵と婚約を結び、素早くフラベル様と結婚してしまいましたの。ホホホ。3年前に病気で奥様を亡くしてしまったフラベル様と奥様の忘れ形見のランベルト君6歳は両手を挙げて歓迎してくれたので仲良く暮らしていますよ。
「ウチの跡取りがいないではないか……」
「遠縁から来ていただけばいいでしょ!ライオネルなんていいんじゃない?」
「……来てくれるかなあ」
普通来るわよ、ライオネルは3男だもん、当主になれるんだから飛んでくるわよ。話を振ったらホントに飛んできたみたいだけどね。あいつ魔術使えたんだ。
お姉様もジョルジュとラブラブしちゃっていい感じにルワイト家を盛り立てて行くと思うの。ぶっちゃけあの殿下と結婚したって何にもいいことなかったと思うんだよね。
だって殿下ったら次の婚約者が決まらずに、あわてているみたいだし。そりゃそうよね、婚約者を裏切って訳の分からない断罪をして、その妹を次の婚約者に据えようとする人間はちょっと信じられないわ。
……そうさせたのは私だったけど……。ゴメン。でもあのパプリー頭じゃいつかやらかすと思うのよ。
「はあ、ホント危ない所だったわ」
あのままウェルズ殿下の婚約者になっていたら、ジョルジュの野郎に断罪返しをされて、平民落ちだったのよ。
「どうしたの?ベルお母様?」
「何でもないわよ、ランベルト君!さ、中でおやつにしましょ!」
「うん!」
二人で手を繋いで散歩から帰ってくると皆にこにこと迎え入れてくれます。あーよかった、ホント!フラベル家はお金もあるし、こうやってのんびり暮らしていけるなんて最高だわ。平民じゃ使用人なんて雇えないもんね。
こうして私はギリギリでざまあを回避し、幸せに暮らすことが出来ましたとさ!良かった良かった。おしまい!
76
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する
下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。
ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。
小説家になろう様でも投稿しています。
〖完結〗妹は私の物が大好きなようです。
藍川みいな
恋愛
カサブランカ侯爵家に双子として生まれた、姉のブレアと妹のマリベル。
妹は姉の物を全て欲しがり、全て譲ってきたブレア。
ある日、ダリアル公爵家長男のエルヴィンとの縁談が来た。
ダリアル公爵は姉のブレアを名指しし、ブレアとエルヴィンは婚約をした。
だが、マリベルはブレアの婚約者エルヴィンを欲しがり、ブレアを地下に閉じこめ、ブレアになりすまし結婚した...。
主人公ブレアがあまり出てきません。
本編6話+番外編1話で完結です。
毎日0時更新。
婚約者は妹を選ぶようです(改稿版)
鈴白理人
恋愛
アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢には妹がいる。
アドリアナが家格の同じ侯爵家の三男であるレオニード・ガイデアンの婚約者となり半年経つが、最近の彼は妹のリリアーナと急接近し、アドリアナをないがしろにし始める。
どこでも泣き出すリリアーナにアドリアナは嘆息してしまうが、レオニードはリリアーナをかばい続け、アドリアナを非難する言葉ばかりを口にするようになった。
リリアーナのデビュタント会場で、とうとうそれは起こるべくして起こった。
「アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢!僕は君との婚約を破棄して、妹のリリアーナ・ヴァンディールと婚約を結び直す!」
宜しいのでしょうか、レオニード・ガイデアン侯爵令息?
その妹は──
王女は追放されません。されるのは裏切り者の方です
といとい
恋愛
民を思い、真摯に生きる第一王女エリシア。しかしその誠実さは、貴族たちの反感と嫉妬を買い、婚約者レオンと庶民令嬢ローザの陰謀によって“冷酷な王女”の濡れ衣を着せられてしまう。
公開尋問の場に引きずり出され、すべてを失う寸前──王女は静かに微笑んだ。「では今から、真実をお見せしましょう」
逆転の証拠と共に、叩きつけられる“逆婚約破棄”!
誇り高き王女が、偽りの忠誠を裁き、玉座への道を切り開く痛快ざまぁ劇!
婚約破棄ってこんな日にするのね。私は何とお答えすればよろしいのでしょうか。
まりぃべる
恋愛
私は、ユファ=ライヴァン子爵令嬢です。
チルチェイン=ヤーヌス伯爵令息が、婚約者だったのですけれど、婚約破棄したいと言われました。
こんな日に!?
私は、何とお答えすれば良いのでしょう…。
☆現実とは違う、この作品ならではの世界観で書いております。
緩い設定だと思ってお読み下さると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
中の人が妙齢ならイケオジありですよね
家名がベルで坊ちゃんもベルで、後妻もベルですか?
まさか旦那様までベルだとか?!
こんばんは!
はっ!そういえばベルベルだ!名前つける時につい!
面白かったです!
この手のひら返しはいいですね!
寸前に回避できてよかったw
勢いあるベルローズ(作者様の勢いある性格が反映されてるのかな?w)に翻弄される侯爵の今後の話も読んでみたいと思いました。
絶対翻弄されるけど溺愛するんだろうなw息子も巻き込まれてww
こんばんは!お読みいただきありがとうございます!さくっ!ドドドドーーーー!みたいな物を書いてみたくて( ´∀`)
ロリコン気味だと言われたお父さんと息子は確実に振り回されて楽しい?日々を送りそうです。
妹とか増えそうですよね!
猪突猛進系の妹の中の人が突っ走っております((´∀`))ケラケラ