【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

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「俺達の怪我はシロウが治してくれるのに、シロウの怪我を治してやれないなんて悔しい」

「大丈夫、だいぶ良くなってるんだよ」

 レジールは国中から医者や回復師、聖職者を集めてシロウを見せたが、あまり良くならなかった。

「……みんながね、良くなってって思ってくれるでしょう?なんだか、少しずつ治ってる気がするの」

「ほう?」

「見て、レジール様」

 伸び始めた髪を掻き分け、うなじを見せる。まだ痛々しい噛み跡がのこっている。

「……跡がだいぶ消えている」

「うん」

 シロウを連れてきた当初から比べたら格段に良くなっている。

「体の傷跡もかなり消えてるんだ……きっとみんなの……レジール様のおかげ」

「だが、折れた指も足も良くならないじゃないか?」

 それは……シロウは口籠もったが、答える。

「それは、人間にやられた怪我だから」

 何かの腹いせに思いっきり蹴られた時に足が折れた。何もしていないのに邪魔だと手を思いっきり踏まれた時に指が折れた。
 何も喋っていないのに、うるせえ!と鞭で引っ叩かれ背中が裂けた。その跡は醜く盛り上がって背中に大きく残っている。

「……獣人につけられた傷だけが癒えているのか?」

「……うん……」

 レジールは目を見張った。それはどう言う事なのか。シロウは確かに普通ではない。
 普通無くなった腕も、潰れた目玉も戻ったりはしない。折れた足もたちまち治すし、瀕死の獣人すら、何事もなかったかのように癒してしまう。それはもはや

「神の……神子」

「やめてっ!」

 レジールの言いかけた言葉を、シロウは大声で遮った。

「俺は!神とか言う存在が大っ嫌いだ!!あいつらは本当に困っていても助けてなんかくれない!俺はあいつらか憎い!絶対に許さない!!」

 シロウは穏やかな人間だとレジールは思っていた。どこまでも優しくて、労る、癒す素晴らしい手の持ち主だ。凪いだ心をしていて、獣人達を愛し、愛されるそんな存在だと。

 しかし、目の前のシロウはどうだろうか。血を吐く勢いで、神を否定した。嫌いだと、憎いと言った。

「すまない、すまないシロウ!」

 怒りで血の涙を流さんばかりのシロウを抱きしめる。かなりの時間が経ってから、ブルブルときつく握りしめられた手のひらがゆっくり開かれた。

「俺、あいつらが……嫌いなんだ……」

「分かった。もう二度と口にしない」

「うん……」

 そっとまわされた手がぬるりと滑る。血が滴るほど、怒りで震えた拳。

「俺が守ってやる」

 シロウに害なすなら、神さえも喰い千切ってやる、とレジールは心に誓った。

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