【完結】月とふくふく吸血鬼。囚われの優しいあなたが帰る場所

鏑木　うりこ

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20 そのサキュバスの言うことにゃ

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「みんな、ごめんねぇ」
「ははっ！お安いご用ですよ」

　私はいろいろな人から血を貰って生きている。こんな私でも生かしておいてくれるここの人達はなんて優しいんだろう。

「いやぁ、ルドガー様知らないかも知れませんがこの領、魔獣が全然いないんですよ」
「猫とコウモリに狩られたのもあるんですが、ルドガー様を恐れて手を出して来ないみたいなんですよ」
「ルドガー様って本当はとても強いんでしょう？出られないけど」

　私が強いかどうかは私にもわからない。だってこの土地から出たことないもの。まあでも私の存在が役に立っているなら、嬉しいことだ。
　私達は周りの協力をたくさん受けて子供達を育てて行く。幸いに、なのか半吸血鬼の子供達は血だけでなく人間の食べ物も食べることがてきるので、何かと助かっているが、やはり苦労の多い一生を送らせてしまいそうですとても申し訳ない。

「おーい、ルドガーちゃん。前さ、サキュバスについて知りたいって言ってたよな？サキュバス、連れてきた」
「は？！」

　ホークは突然訳の分からない人脈を持っているらしく、本当にサキュバスを一人連れて来てくれた。

「うっわ、人間なのに核ぅ？ってひっ！上位吸血鬼じゃない！殺される！話が違うじゃん！クソホーク、ちょっと話すだけっていうからきてやったのに！」
「やー本当に話すだけだよ、ねえ？ルドガーちゃん」
「やめな！上位種にタメ口聞くんじゃない！消されるわよ！早く逃げるのっ」
「大丈夫よールドガーちゃん優しいもんー」
「ひー！」

　サキュバスはメイニーという名前らしい。最初はホークの後ろに隠れてビクビクしていたけれど、すぐにそんなことなくなった。

「ほんと？ほんとに殺さない？あとなんかヤバい事になったらここに逃げて来て良い？匿ってくれる？？」
「構いませんよ」
「やたー！上位吸血鬼の協力なんて助かるー！」

　はて？本当に私は上位吸血鬼だったのだろうか？

「で、ヤっても子供が出来ない方法ね。簡単よ、出来ないで！って望めば良いわ」
「ふえ……」
「ていうか、心から愛してなきゃ子供なんて出来ないのよ。そーじゃなきゃエサの人間の子供出来ちゃうじゃん。だから大好きなダーリンとヤるときだけね、気をつけんの」
「にゃんですと？」
「だーかーらー！心から愛してる相手とヤって欲しいなーって思わなきゃ子供は出来ないのー。分かるぅ」
「へ、へえ……」
「まぁ、自分でその辺も操れちゃう所がサキュバスって感じよねぇ。それにしてもまー5個も埋め込まれてるなんて、腹の周り相当淫魔ってるわよね？淫紋、飢えてるんじゃない？喰わせてやんなよー寿命縮まるよって吸血鬼寿命ないんだったー！あはは！」

　メイニーの話はとても参考になった。にゃんこちゃんもこうちゃんも何も言わずに優しい顔をしてる、ううっ何だか恥ずかしい。だって、つまり６年前に子供ができたということは私はあの時、本当はとてもレオンのことを愛していて、レオンの子供が欲しいと願ったということなの……？

「あ、あのね」
「今日のメイニーの話はレオンにはしませんにゃ」

　さ、流石にゃんこちゃん！優しい！

「でもさっきから盗み聞きしてたようなので無駄なようです」
「きゃー？！」

　こうちゃんが指差す先にレオンがいたぁ！

「あ、愛した、相手じゃ、なきゃ……出来ないって、つまり、えっと、最初から、ルドガーは俺を、す、好き？」
「や、え、あう……あうう……」

　ち、違う、ちがうんです、違うんですよぅ……！そんなつもりは全然なかったんだあ……。

「ルドガーさま、無理にゃ。素直に白状した方が楽になるにゃ」

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