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キノコ神の使徒達
36 ブラウ視点 私のおじさま*
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「ブ……ブラウ……」
「はい、おじさま」
分かっていたが、この人に名前を呼ばれるのは気持ちが良い。
私はブラウ・ジェルト。ゼードラウン王国のセアン王を支える宰相を弟のアーテルと一緒に執り行っている17歳のジェルト公爵だ。
「くるし……」
神殿からの馬車での帰り道、おじさまはこてん、と私にもたれてくる。
「大丈夫ですか?」
水の精霊王を父に持つ私は水を自由に操ることが出来る。飲めないと言うので、冷やしたタオルを乗せてやる。
大丈夫ではなくなることも想定済みだ。ほぼ初めて動きにくい女性物の服を着せられ、騙されてコルセットまで嵌められ……靴も窮屈なヒール付きを履かせた。
苦しくないはずがない。
「….ん……」
この場で襲いかからなかった私を褒めて貰いたいと思う。
「っ!可愛い……っ!」
「……?ブラウ…?」
「何でもありません」
すまし顔は得意だ。
「少し衣服を緩めますか?」
「いや、いい……」
この人はこう見えて、王として采配を振るっていた。人目がすくなくとも、王たるもの常に隙をみせてはいけないと、自らを律する。
こんな服を着させられてる時でさえ!基本的に真面目なのだ。
「もう少しで着きますから」
「……うん……」
辛そうに目を閉じて、私だけに甘えてくる……至福だ。教会への付き添いを勝ち取った甲斐があった!
さあ、急いで帰らねば!
何せ私には弟を含めて7人のライバルがいる。全て出し抜かねば、おじさまを独り占め出来ない。
馬車からおじさまを抱き上げて、廊下を走り抜ける。私が走っているのを初めてみた!と侍女や侍従が目を丸くしているが、知ったことではない。
急いで自室に走り込み、優しくおじさまをベッドに下ろした。
「……ブラウ、ついたの?…」
「ええ、着きましたよ、おじさまの部屋です。その窮屈な服を脱いでも大丈夫です」
私は息をするように嘘をつく。
「そう……良かった」
私達をまだ小さい子供だと思っているのか、おじさまは私達への警戒心が薄い。身内、だからかもしれない。そうであれば特別扱いが少し嬉しい。
首の後ろのボタンまで手が上がらないのか、モタモタしているのも可愛いらしい。手を伸ばして外してやると、敏感な所を触られてくすぐったそうに首を傾げた。
「……ごめん、全部外して……」
鼻血でそう。
好きな人の服を脱がす、とか。堪らない。馬鹿みたいにボタンがついていて、殺意を覚えるが、見えてくるうなじとか、楽になってくるのでふぅとため息をつく所とか。思わぬ所に触れたのか驚いてびくっとする所とか。
……少しづつ見えてくる白い肩とか、背中とか。
確かにこの人は男性であり、ついでに言うとキノコだ。本物のおじさまでもないし、「おじさん」と呼ばれる歳でもない。いや、記憶や精神年齢を考えるとおじさんなのかもしれないが。
ただ、私達は生まれた時から、この人が好きで好きで堪らなかった。
かなり頻繁に、男なのにお母様であるライハシュの様子を確かめに連絡してくるマメなキノコ。
「ライハ、辛いことはないか?」
「ないね!それよりしっかりエドヴァルドを補佐しろよ!」
「分かってる」
小さく笑う宰相ヨルムと呼ばれていた頃。
「お前の子供にしては……可愛いし、頭が良さそうだな?半分が良いからか?」
「黙れ!キノコ!」
そう言いながらもお母様とヨルム様は笑い合うから、仲が良いのだとわかる。
王都からたくさんの難しい本を送ってきて
「読みましゅた!」
と、報告すると
「はぁ!ブラウとアーテルは天才か!」
などと大袈裟に褒めてくれるものだから、私達は褒められたくて、調子に乗って。あるだけ知識を吸収していった。
「おじさま」
「ん……なに?ブラウ」
「……好きです」
困らせるつもりはないし、こんな事を言っても困るのは知っているが、言わずにはいられない。
やっぱりおじさまは「あー…」とか「うー」とかどう答えるべきか悩んでいる。私がどうやったら傷つかないか、どうやったら諦めるか、探っているんだろう。
そんな方法はないですよ。私の辞書からはだいぶ前におじさまを諦めると言う言葉を消してありますからね。
「おじさま」
「ブラウ、あのね。俺は普通のキノコなの、だからね。半精霊で、この国を担う若者がそんなこと」
その先は言わせない。
「抱きます」
半分服を着せたまま、「え?」「ちょっと待って」「急に何言って!」じたばする手と足を避け、スカートをたくし上げる。
騙されてつけている女性物の下着を横にずらすととにかく突っ込んだ。
「あぅっ!」
と、小さく鳴いたが、このおじさまはとても丈夫なので、若い私達にも応えてくれる。
「……!ブ、ブラウ……くるし……」
ああ、コルセットを緩めてなかった。ごめんなさい、おじさま。おじさまの背中を見てたら、もう我慢出来なかったんです。
締め上げている紐を解いてやれば、体が弛緩して行く。ついでにズブズブと飲み込まれてゆく。
「あっ!あっ!ブ、ブラウっは、いっちゃうぅ……!」
「違いますよ、入れてるんです」
イヤイヤと首を振るおじさまはとても可愛いらしい。お願いして髪でも伸ばしてもらおうかな?悦んで振り乱してくれたら、最高なのではないかな?
「だめ、抜いて……服、きたまま……。脱がなきゃ……汚れちゃう」
ここまで来て服の心配ですか!おじさま!
「着たままが良いんですよ?大聖女様を汚したいんです?ね、いいでしょう?」
おじさまはギョッとしたが、すぐに残念なものを見るように私を見返す。
「ブラウ……お前、ほんとに何言ってんの……?」
理解出来ない、と言った蔑みの冷たい視線も堪りませんよ、おじさま!
「さあ、誰かが見に来たら引くくらい汚してあげますから、覚悟してくださいね?」
「ひぃぃ!!」
おじさまはか細く哀れで、物凄く唆る悲鳴を上げて、私を誘ってくる。大好きですよ、おじさま!
「はい、おじさま」
分かっていたが、この人に名前を呼ばれるのは気持ちが良い。
私はブラウ・ジェルト。ゼードラウン王国のセアン王を支える宰相を弟のアーテルと一緒に執り行っている17歳のジェルト公爵だ。
「くるし……」
神殿からの馬車での帰り道、おじさまはこてん、と私にもたれてくる。
「大丈夫ですか?」
水の精霊王を父に持つ私は水を自由に操ることが出来る。飲めないと言うので、冷やしたタオルを乗せてやる。
大丈夫ではなくなることも想定済みだ。ほぼ初めて動きにくい女性物の服を着せられ、騙されてコルセットまで嵌められ……靴も窮屈なヒール付きを履かせた。
苦しくないはずがない。
「….ん……」
この場で襲いかからなかった私を褒めて貰いたいと思う。
「っ!可愛い……っ!」
「……?ブラウ…?」
「何でもありません」
すまし顔は得意だ。
「少し衣服を緩めますか?」
「いや、いい……」
この人はこう見えて、王として采配を振るっていた。人目がすくなくとも、王たるもの常に隙をみせてはいけないと、自らを律する。
こんな服を着させられてる時でさえ!基本的に真面目なのだ。
「もう少しで着きますから」
「……うん……」
辛そうに目を閉じて、私だけに甘えてくる……至福だ。教会への付き添いを勝ち取った甲斐があった!
さあ、急いで帰らねば!
何せ私には弟を含めて7人のライバルがいる。全て出し抜かねば、おじさまを独り占め出来ない。
馬車からおじさまを抱き上げて、廊下を走り抜ける。私が走っているのを初めてみた!と侍女や侍従が目を丸くしているが、知ったことではない。
急いで自室に走り込み、優しくおじさまをベッドに下ろした。
「……ブラウ、ついたの?…」
「ええ、着きましたよ、おじさまの部屋です。その窮屈な服を脱いでも大丈夫です」
私は息をするように嘘をつく。
「そう……良かった」
私達をまだ小さい子供だと思っているのか、おじさまは私達への警戒心が薄い。身内、だからかもしれない。そうであれば特別扱いが少し嬉しい。
首の後ろのボタンまで手が上がらないのか、モタモタしているのも可愛いらしい。手を伸ばして外してやると、敏感な所を触られてくすぐったそうに首を傾げた。
「……ごめん、全部外して……」
鼻血でそう。
好きな人の服を脱がす、とか。堪らない。馬鹿みたいにボタンがついていて、殺意を覚えるが、見えてくるうなじとか、楽になってくるのでふぅとため息をつく所とか。思わぬ所に触れたのか驚いてびくっとする所とか。
……少しづつ見えてくる白い肩とか、背中とか。
確かにこの人は男性であり、ついでに言うとキノコだ。本物のおじさまでもないし、「おじさん」と呼ばれる歳でもない。いや、記憶や精神年齢を考えるとおじさんなのかもしれないが。
ただ、私達は生まれた時から、この人が好きで好きで堪らなかった。
かなり頻繁に、男なのにお母様であるライハシュの様子を確かめに連絡してくるマメなキノコ。
「ライハ、辛いことはないか?」
「ないね!それよりしっかりエドヴァルドを補佐しろよ!」
「分かってる」
小さく笑う宰相ヨルムと呼ばれていた頃。
「お前の子供にしては……可愛いし、頭が良さそうだな?半分が良いからか?」
「黙れ!キノコ!」
そう言いながらもお母様とヨルム様は笑い合うから、仲が良いのだとわかる。
王都からたくさんの難しい本を送ってきて
「読みましゅた!」
と、報告すると
「はぁ!ブラウとアーテルは天才か!」
などと大袈裟に褒めてくれるものだから、私達は褒められたくて、調子に乗って。あるだけ知識を吸収していった。
「おじさま」
「ん……なに?ブラウ」
「……好きです」
困らせるつもりはないし、こんな事を言っても困るのは知っているが、言わずにはいられない。
やっぱりおじさまは「あー…」とか「うー」とかどう答えるべきか悩んでいる。私がどうやったら傷つかないか、どうやったら諦めるか、探っているんだろう。
そんな方法はないですよ。私の辞書からはだいぶ前におじさまを諦めると言う言葉を消してありますからね。
「おじさま」
「ブラウ、あのね。俺は普通のキノコなの、だからね。半精霊で、この国を担う若者がそんなこと」
その先は言わせない。
「抱きます」
半分服を着せたまま、「え?」「ちょっと待って」「急に何言って!」じたばする手と足を避け、スカートをたくし上げる。
騙されてつけている女性物の下着を横にずらすととにかく突っ込んだ。
「あぅっ!」
と、小さく鳴いたが、このおじさまはとても丈夫なので、若い私達にも応えてくれる。
「……!ブ、ブラウ……くるし……」
ああ、コルセットを緩めてなかった。ごめんなさい、おじさま。おじさまの背中を見てたら、もう我慢出来なかったんです。
締め上げている紐を解いてやれば、体が弛緩して行く。ついでにズブズブと飲み込まれてゆく。
「あっ!あっ!ブ、ブラウっは、いっちゃうぅ……!」
「違いますよ、入れてるんです」
イヤイヤと首を振るおじさまはとても可愛いらしい。お願いして髪でも伸ばしてもらおうかな?悦んで振り乱してくれたら、最高なのではないかな?
「だめ、抜いて……服、きたまま……。脱がなきゃ……汚れちゃう」
ここまで来て服の心配ですか!おじさま!
「着たままが良いんですよ?大聖女様を汚したいんです?ね、いいでしょう?」
おじさまはギョッとしたが、すぐに残念なものを見るように私を見返す。
「ブラウ……お前、ほんとに何言ってんの……?」
理解出来ない、と言った蔑みの冷たい視線も堪りませんよ、おじさま!
「さあ、誰かが見に来たら引くくらい汚してあげますから、覚悟してくださいね?」
「ひぃぃ!!」
おじさまはか細く哀れで、物凄く唆る悲鳴を上げて、私を誘ってくる。大好きですよ、おじさま!
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