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ん?キノコの様子が……?

55 俺*

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 夏の暑さがおわり、風がひんやりし始める。ああ、秋が来る。

「ちくしょう、森に帰りたい」

 俺の望みはたった一つなのに、いつまで経っても敵わない……のに。

「良いよ」

「?!」

 事もなげに問題発言をゼルはする。え?!いいの?!本当に?!森に戻ったらもう2度とここには帰ってこないけど?!いいのかな??

「こっちだ」

 どっち?!俺はゼルに手を引かれて歩きだす。どこへ行こうと言うのだね?!流石にこの王宮では迷子にならないぞ!

「うわ……」 

 元後宮跡地には若い木々で森が形成されていた。は?!どういうことです?!

「ほら、ついたぞ。森だ」

 ええええーーーー!まさかの王宮内森!と、とりあえず

「入ってみても……?」

「どうぞ?」

 俺は恐る恐る作られたばかりと思われる森に足を踏み入れた。


「ふわぁ……俺、今日ここで寝る……」

「どうぞ?」

 なん……だと……?!

「い、良いのか?!」

「警備の者が回って来るだろうが、あまり話しかけないように伝えてある。ルドは働きすぎだから、秋休暇を取ると良い」

 そ、それはどう言う事ですか…?!

「秋はキノコ活動に専念して良いぞ?」

「ふぉーーー?!」

 

 秋風が気持ち良い。少し手入れの良過ぎる森だが、庭師達が頑張って手入れしてくれたようで、過ごしやすい。

「じ、地面に埋まるのはちょっと……」

 と、言われてしまったので足だけ土に埋めている。足湯ならぬ足土である。新しいリラクゼーションをどうぞ。

「はぁあ……極楽極楽」

 極楽ってなんだ?と隣で簡易ベッドに寝そべって本を読んでいたゼルが小声で呟いた。いい所だよ!
 それには答えずに目を閉じて、地面のジメジメ感とか、わさわさ這い寄るライバルキノコ達の胞子を牽制したりしている。
 この森はウスベニ裏毒茸のシマなんじゃあ!ワレェ!抜いたるでぇ?!

 秋休暇の間は俺は全く仕事をしないし、ゼルもなるべく働かないらしい。どうしても外せない仕事はこなしているが、極力キノコ活動をしている俺の側にいた。

 ばふん、と普通に胞子を出して秋を満喫し終わる頃には宰相が

「もももももももうしわけございません!も、もう無理です!回りません!!」

 と、キノコの前に土下座をしたので、諦めて土から出てきた。

「いい秋だった……」

「後宮とは妃の為の場所だろう?ならば私の妃が1番喜ぶ物を作るのが当たり前じゃないか」

「ゼル……今日はかっこ良く見えるぞ」

 2人で書類にカリカリとサインをしていたら冬になった。仕事たまり過ぎだろう!人員を増やして仕事を割り振らなければならないな。

 肌寒さに思わず身を寄せあっていたら、思わずまた卵を産んだりした。卵は年に1.2個増やしている。



「あ…っ、ん」

「ルド……ここの奥に」

 ん……知ってる。知ってるけど、入れて良いとは言ってない。

「だめ、だめ……シちゃ…だめ」

 ぐちゅ、粘度の高い音がまとわり付く。あーくそっなんだよ、だめだってよ!なんで俺がお願いみたいな事言わなきゃいけないんだ。緩く首を振っても、ただこいつを調子に乗せるだけだ。

「ふ…」

 あーやっぱり!嬉しそうな顔で薄く笑う。やだやだ!これだから、マウント取って来る奴は!

「あ、あ、あ……だめ……」

 咥え込まされて、決定的な衝撃をもらえない体は疼いてしょうがないが、奥はだめ。強すぎてトンじゃう。やめてとめて!

「だめじゃないだろう?」

「やぁ……っ」

 腰を掴む手に力が入る。やっ!だめだって!これから来る衝撃に備えるまえに
パァンと肉同士がぶつかる音が響いて目の前に星が飛ぶ。

「あっーーーっあああーーんーーっっっんん」

 背中に回した手に力が入って、思いっきり爪を立てる。

「ん。ルドっ」

「あ。ああ。ああん……」

 中で吐き出されるのをきゅうきゅうと締め上げて全身で感じる。頭の中が真っ白に弾けて、多幸感が足の先まで染み渡る。

「気持ちいい?」

「……胞子出ちゃった……」

 おかしいな、俺、こんなんだったっけ?もっとこう……。

「ゼルの事が嫌いだったはず……」

「ん……?」

 ぬぽっと音がして、埋め込まれていたモノが抜けて行く。喪失感があって、何故だろう。残念な気持ちになるのは。

「ゼルはもっと嫌な奴だったのにな?と思って」

「俺はキノコが大好きだぞ?特に毒キノコが好きだが?」

 俺の頭の上のキノコをツンツンと突いている。やめろ、本体は繊細なんだ。

「変な奴」

「ルドはさ、頑張りすぎなんだよ。だからちょっと大事されると、コロッと落ちちゃうんだ」

 え?!自分で言います?それ。

「俺は頑張りすぎてなんかないぞ?」

 出来る事しかしてねーもん。

「俺を守って2つ目の国を改善して、更に卵産んで。どれだけ凄いのかわからないよ、俺の奥さんは」

 今はた卵が入っていない腹の奥がきゅとする。あれ?俺ってば嬉しいの?

「ルド……ルド……俺の物。ずっと一緒にいてくれよ。そして秋には一緒に森に篭ろう。お前がキノコになっているのを、隣で俺に見せておくれ」

「あ」

 そうか。

「俺、欲しい物貰ったの、ゼルが初めてだったわ」

 心底願ったものを手に入れてくれたのは、隣で笑う男だけだった。


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