【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。

鏑木 うりこ

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4 貴方の婚約者である私はもういないのですよ?

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「クリスティア・ノッカー! 話がある!」

 教室に入る前に声をかけられて、私は立ち止まりますが、そんな名前の女性はもう居ないのですが?
 
「クリスティア・ノッカーはもうおりません。私はクリスティア・ルーザです。カーター侯爵令息」

 カーテシーまではしませんが令嬢らしく微笑み、無視をして教室に入ろうとしますが、元婚約者のレオナルド様はまだ言い募ります。

「お前に払う借金とはどう言う事だ! そしてなんだ、その格好は! 地味メガネはどうした!」

「カーター家に借用書がありますでしょう? そちらをご覧くださいませ。では失礼致します」

 お馬鹿過ぎて話になりませんわ。5年ほど前でしょうか。カーター家が詐欺に遭い、お家が潰れるほどの大事件があったのです。
 その時、私の個人鉱山から大量に金が出まして、物凄い大金を手に入れたのです。カーター家とノッカー家は爵位は違えど、隣り合った領地でした。その縁で、儲かったお金を丸っとお貸ししたのです。そのお金でカーター家は持ち直しました。

「借りっぱなしでは我が家の気が収まらぬ!」

 と、カーター侯爵が無理やりに結んだ婚約でしたからね? ノッカー家には良い縁談でありましたが、私には余計なお世話だった訳です。この話がまとまれば、借金は返さなくても良い。そのかわり無くなれば即座に借金は返済するという約束の取り決めまであったんですよね。ええ、私からでなく、カーター家からの提案でしたよ?

「私がどのような姿をしていても、カーター侯爵令息に悪様に言われる所以はないと思います。そしてこれから授業ですので、失礼致します」

 こんな教室の真ん前でする話ではないですしね。皆さん興味津々で聞いておられますよ?

 さて、カーター家は全ての借金を返せるのでしょうか? ご自分からの提案でしたし、大丈夫でしょう。ただ、過去5年、一度も分割ですら返済はされていません。家が傾くほどの金額ですからね、どうするでしょうか?

 教室に入ると令嬢が一人声をかけてきました。

「ごきげんよう、クリスティア様。先だって書類にて取り交わした通り、これからはノッカー家ではなくルーザ家の方との取引でよろしいですわよね?」
「ええ、そう致しましょう。どうです? 通行税の方は」
「それはもう……オホホ! がっぽりですわ!」

 あらあら!この令嬢もルリアラの被害者の一人、リーザ・レントン伯爵令嬢です。婚約者がルリアラに入れあげ、婚約破棄。この世をはかなんでしまいそうな勢いでしたので、私が小さなアドバイスと少しの手助けをしました。

 彼女の家の領地はこの国の主要な道が交わる所。通行税割引の話や、宿屋の増設など私の思ったことをお伝えするとすぐに実行してくださり……まあ、彼女曰く「がっぽり」なのです。

「クリスティア様、私も新しい婚約者ができましたの。今度は誠実な方です」
「まあ! それはおめでとうございます」
「これであの浮気者も近づいてこなくなると思いますわ。ホント元婚約者ってどうしてああなんでしょう」
「その通りですわね」

 はぁ、私たちは揃ってため息をつきます。自分から浮気をしておいて、大きな態度でやってくるのは一体なんなのでしょうか? 理解できません。


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