搾取された令嬢、今度は幸せになる。あの人の親愛が溺愛に変わったんです。

鏑木 うりこ

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11 どうしてここに居るのか

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 ヒソヒソと誰もかれもがこちらをを見て噂をしているような気がする。

「……セラフィーナさんよ」
「ああ……あのジュリアナ・バーグの……」
「そうなの……あの話の」
「ああ……」

 教科書をぎゅっと握り締め、身を小さくして小走りに移動する。授業は出たいしマリアンヌに会いたい。探すためには学園内を歩き回らなくてはならない……本当なら図書館の隅で小さくなって、嫌な噂に耳を塞いでいたい。でも私の無実を証明するためにはマリアンヌの証言が必要だった。

「あらぁ~? 汚らしい女が崇高なる学園にいるなんて信じられないわぁ~! ねえ、ライオット」
「本当だねえ! 従姉の婚約者にちょっかいを出すなんてなんてどこの娼婦だ。しかも見目麗しいならまだしも……ああ、ジュリアナ、君の婚約者は見る目がないんじゃない?」
「そうなのよね~。イアソンは仕事ばっかりで私に気の利いたアクセサリーも買ってくれないし。何か買ってよ、ライオット」
「んー、考えておくよ、ジュリアナ」

 一番会いたくない人達に廊下で出くわしてしまった。もしかしたらあの人達は私を探して歩き回っていたんじゃないのか? って思うくらいのいつもは寄り付かない図書館へ続く廊下だった。そして……ジュリアナがベタベタとしなだれかかっている男子生徒は……ライオット・パドマ伯爵令息。マリアンヌの婚約者だ! どうしてライオットとジュリアナがあんなに親密そうに、恋人のように寄り添っているのか私には理解できない。

「いいじゃない~、マリアンヌに渡すものを私にくれたらいいのよぉ」
「まあそうだなあ~マリアンヌよりジュリアナの方が……ふふ」
「そこな秘密よぉ、ライオットったらぁ~」

 婚約者とのふれあいも学園の生徒であれば、適度な距離を持って接しなさいと教授達にもいわれているし、学園の規則にも書いてあるのに、ジュリアナとライオットは……婚約者だったとしても適度な距離は保っていない。さっき、ライオットは私のことを娼婦と呼んだけれど、どう見てもライオットの腕にしがみ付いて胸まで押しあてているジュリアナの方が娼婦らしい……というか妹の婚約者とそんな関係になっているジュリアナの方がよっぽどではないだろうか?

「ラ、ライオット・パドマ伯爵令息……あなたはマリアンヌの婚約者だと記憶していますが」
「そうだけどぉ」
「なぜ、ジュリアナと腕を組んでいるのですか? 私のことをとやかく言う前にそういう……」
「お黙り! セラフィーナの癖に! あんたは明日から学園にもこれないし、婚約者にも捨てられるのよ! もう貴族でもないし、平民になって薄汚く生きていくの! あー笑えるわぁ~その高慢ちきな顔をもう見なくて済むと思ったら笑いが止まらないわ」

 私が言葉を言い終わる前にジュリアナの叫びに近い台詞が覆いかぶさってくる。そしてジュリアナの大きな声は辺りにいた生徒達を振り向かせるのに十分だし、内容もゴシップが好きな生徒達の足を止め振り向かせるのに十分なものだ……いくら私を貶めたいからといっても貴族令嬢が堂々と話題にしてよい話題ではないのに。ジュリアナには自分の家の名が傷ついて恥ずかしいと思う気持ちはないのだろうか……。

 
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