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17 母の兄は頼もしい
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「ご足労願って済まないね、セネギー子爵」
「何のご用でしょうでしょうな? モルガット子爵。くだらぬ用事でない事を祈りますよ」
次の日に、私のお母様の兄だと言う現モルガット子爵であるクラウス叔父様が私の婚約者であったロシュア様のお父様であるセネギー子爵をモルガット家に呼び出していた。
「確認したい事がありましてな。セネギー子爵のご子息であるロシュア殿と我が姪セラフィーナが婚約していたことは誠ですか?」
「ええ、婚約はしておりましたな! もう過去の事ですが」
「過去のこと? それはどう言った理由で?」
「セラフィーナがふしだらな女だからですよ! 我が息子を蔑ろにし、蔑み、こともあろうか、従姉の婚約者と密通しておったのです! そのような女と婚約など続けられません!」
「……ほう?」
セネギー子爵はそう言い切ったが、それを叔父様の前で行うのはどうだろう?
しかし叔父様はとても冷静だった。
「それは確かな証拠があることですか?」
「勿論ですとも!」
私はそんな事実はないと叔父様に細かく伝えてある。叔父様も勿論信じてくれたし……なんと、人を秘密裏にバーグ伯爵家へ送り込んで調べてくれたりしていたのだ、この短期間に!
「ふむ……私の聞いた話とは違うようですな。真偽については後々として……我が姪をふしだらなどと呼ぶとは、到底許せません。この婚約、破棄で良いでしょう!」
「ふ、ふんっ! 勿論ですよ! それについて違約金など用意していただきませんとな?!」
セネギー子爵がお金を欲しているという情報も「とある筋」から入手したと後で教えて貰っていた。
「違約金ですか? ええ、用意しましょうとも。だがそれは我が姪セラフィーナに落ち度があった場合です。もし、セラフィーナに恥じるものがない場合はそちらに払っていただきますよ、違約金をね」
「そ、それは……も、勿論だとも!」
そこで叔父様はニヤリと笑ったらしい。
「いただきましたよ、言質を。でも書類にも残しておきましょうかね?」
「い、いいとも」
そうして書類を作ったそうだ。
「な、なんだこの金額は! 高額過ぎるだろう!!」
「おや? やはりセラフィーナに非がないと思っていらっしゃる?」
「そ、そんなことはない! 私の息子は常に正しい!」
「ならば問題ないではありませんか?」
「う、うむ!」
そうやってセネギー家が傾くどころか確実に潰れるくらい大きな金額の誓約書を書かせた……。
セネギー子爵が鼻息も粗く帰った後に笑いながら書類を見せてくれた。
「セネギー子爵は貴族界でも浮いた方だからね。こんな大きな穴に嵌ってしまうんだよ。セラフィーナを虐めた分、きっちり取り立てようね!」
「お、叔父様?」
「聞いているよ、阿呆のロシュアに散々バカにされたんだろう? まったくセネギー家との婚約だってバーグの野郎の独断みたいだし。まあ、あいつは莫大な違約金に目が眩んでこっちの確認は忘れてるからちょうど良いけど」
「叔父様、こっちとは?」
「セラフィーナとの婚約破棄さ。しかも即日決行。つまり先程サインをした時点でロシュアとセラフィーナの婚約はなくなったんだ」
「そ、そんな……」
私はとうとう傷物になってしまったんだ……これからどうやって生きて行けば良いんだろう?
「セラフィーナ? セラフィーナ?? どうしてそんなに青い顔をしているんだい? も、もしかしてロシュアに未練が?」
「ロシュア様に未練はありません、でも……私はこの先、どうやって生きて行けば良いのかと……婚約破棄などされた傷物では、モルガット家にも多大なご迷惑をおかけしてしまいます!」
こんな娘がいたら家の醜聞にもなる……私がジョゼ家を継げる年になればモルガット家に迷惑は掛からなくなると思うけれど、それまでどんな陰口をたたかれるか……申し訳なさすぎる。どうにか迷惑をかけずに済む方法を思案していると、叔父様は心底驚いた顔をして私を見た。
「は……? まさかここまで手を伸ばしておいて、本人に何も伝えていないと……? あ、あの方は! ああもうっ……その件は大丈夫だから、セラフィーナは何も心配しなくていい。醜聞なんて起こらないからね」
「え……どういうことでしょう?」
「それよりあいつらをどう陥れようか。私に考えがあるんだけれどいいかな?」
「えっと……」
叔父様は本当に人が悪そうににやりと笑う。あいつらとはバーグ伯爵とジュリアナのことだろうと分かったけれど、陥れるとは穏やかじゃないとは思った……でもやられっぱなしじゃ舐められる、貴族の世界はかなり厳しいんだ。
「何のご用でしょうでしょうな? モルガット子爵。くだらぬ用事でない事を祈りますよ」
次の日に、私のお母様の兄だと言う現モルガット子爵であるクラウス叔父様が私の婚約者であったロシュア様のお父様であるセネギー子爵をモルガット家に呼び出していた。
「確認したい事がありましてな。セネギー子爵のご子息であるロシュア殿と我が姪セラフィーナが婚約していたことは誠ですか?」
「ええ、婚約はしておりましたな! もう過去の事ですが」
「過去のこと? それはどう言った理由で?」
「セラフィーナがふしだらな女だからですよ! 我が息子を蔑ろにし、蔑み、こともあろうか、従姉の婚約者と密通しておったのです! そのような女と婚約など続けられません!」
「……ほう?」
セネギー子爵はそう言い切ったが、それを叔父様の前で行うのはどうだろう?
しかし叔父様はとても冷静だった。
「それは確かな証拠があることですか?」
「勿論ですとも!」
私はそんな事実はないと叔父様に細かく伝えてある。叔父様も勿論信じてくれたし……なんと、人を秘密裏にバーグ伯爵家へ送り込んで調べてくれたりしていたのだ、この短期間に!
「ふむ……私の聞いた話とは違うようですな。真偽については後々として……我が姪をふしだらなどと呼ぶとは、到底許せません。この婚約、破棄で良いでしょう!」
「ふ、ふんっ! 勿論ですよ! それについて違約金など用意していただきませんとな?!」
セネギー子爵がお金を欲しているという情報も「とある筋」から入手したと後で教えて貰っていた。
「違約金ですか? ええ、用意しましょうとも。だがそれは我が姪セラフィーナに落ち度があった場合です。もし、セラフィーナに恥じるものがない場合はそちらに払っていただきますよ、違約金をね」
「そ、それは……も、勿論だとも!」
そこで叔父様はニヤリと笑ったらしい。
「いただきましたよ、言質を。でも書類にも残しておきましょうかね?」
「い、いいとも」
そうして書類を作ったそうだ。
「な、なんだこの金額は! 高額過ぎるだろう!!」
「おや? やはりセラフィーナに非がないと思っていらっしゃる?」
「そ、そんなことはない! 私の息子は常に正しい!」
「ならば問題ないではありませんか?」
「う、うむ!」
そうやってセネギー家が傾くどころか確実に潰れるくらい大きな金額の誓約書を書かせた……。
セネギー子爵が鼻息も粗く帰った後に笑いながら書類を見せてくれた。
「セネギー子爵は貴族界でも浮いた方だからね。こんな大きな穴に嵌ってしまうんだよ。セラフィーナを虐めた分、きっちり取り立てようね!」
「お、叔父様?」
「聞いているよ、阿呆のロシュアに散々バカにされたんだろう? まったくセネギー家との婚約だってバーグの野郎の独断みたいだし。まあ、あいつは莫大な違約金に目が眩んでこっちの確認は忘れてるからちょうど良いけど」
「叔父様、こっちとは?」
「セラフィーナとの婚約破棄さ。しかも即日決行。つまり先程サインをした時点でロシュアとセラフィーナの婚約はなくなったんだ」
「そ、そんな……」
私はとうとう傷物になってしまったんだ……これからどうやって生きて行けば良いんだろう?
「セラフィーナ? セラフィーナ?? どうしてそんなに青い顔をしているんだい? も、もしかしてロシュアに未練が?」
「ロシュア様に未練はありません、でも……私はこの先、どうやって生きて行けば良いのかと……婚約破棄などされた傷物では、モルガット家にも多大なご迷惑をおかけしてしまいます!」
こんな娘がいたら家の醜聞にもなる……私がジョゼ家を継げる年になればモルガット家に迷惑は掛からなくなると思うけれど、それまでどんな陰口をたたかれるか……申し訳なさすぎる。どうにか迷惑をかけずに済む方法を思案していると、叔父様は心底驚いた顔をして私を見た。
「は……? まさかここまで手を伸ばしておいて、本人に何も伝えていないと……? あ、あの方は! ああもうっ……その件は大丈夫だから、セラフィーナは何も心配しなくていい。醜聞なんて起こらないからね」
「え……どういうことでしょう?」
「それよりあいつらをどう陥れようか。私に考えがあるんだけれどいいかな?」
「えっと……」
叔父様は本当に人が悪そうににやりと笑う。あいつらとはバーグ伯爵とジュリアナのことだろうと分かったけれど、陥れるとは穏やかじゃないとは思った……でもやられっぱなしじゃ舐められる、貴族の世界はかなり厳しいんだ。
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